〜せとものの話をしませんか〜「瀬戸だより」保存版

瀬戸の陶磁器店・加藤兆之助商店が発行しているメールマガジン「瀬戸だより」の保存版です。瀬戸のこと、焼き物のことなど、毎週土曜日お届けしています。
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瀬戸だより723号「ステイホームで器の点検」という話
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     さあ、ステイホーム。家の中で出来ることを探してみましょうという話です。

     

     このメールマガジンにお付き合いいただいている皆さま(ありがとうございます)はそれなりに陶磁器に興味がある方と思います(まあ、そうでしょう)。家の中でお手持ちの陶磁器の鑑賞というのも、ステイホームの過ごし方と思います。また、陶芸教室に通われている(多くは自粛中かも)という方は、新しいデザインや文様を考えて過ごす、というのも(再開された時にそなえて)いいかもしれません。でも、うちにはコレクションなんてないし、自作を楽しむなんてこともないですよぉ……という方はどうしましょう。

     普段使っている器を食器棚から取り出して点検をしてみるのはいかがでしょう。忘れていた思い出の器が置くから発見されるということもあるかもしてません。もう少し取り皿を増やさなきゃね、という気付きもあるかもしれません。

     そして、一点一点、手に取って欠けやひびがないかと点検してみましょう。あらあら、こんなところが欠けていた、ちょっとあぶないね。ひびが入ってるから怖いなあ。とかいろいろな問題が見つかるかもしれません。欠けは思わぬケガになるかもしれません。ひびは突然割れて熱いものが手にかかるかもしれません。思い切って処分するとか、大切な思い出のあるものは使用せず保管するようにするとかしましょう。

     その時に目で見る以外の点検方法として指で器をはじいてみることもしてみましょう。テレビの骨董の鑑定シーンでよく鑑定士がやってるやり方です。問題のない磁器はピーンと澄んだ音が、陶器はそれより低い音ですがコーンと音がします。ひびがあったりすれば、響くことがない濁った音がします(例えるなら、ギターできちんとコードを押さえればいい音が出ますが、押さえ方が弱かったりすると濁った鈍い音になる…ということに似ているでしょうか)。音により表面に見えるわかりやすいひびだけでなく、見た目にはわからない「かざけ」と呼ばれる状態も発見できます。かざけは風裂とも書きます。表面の釉薬にはキズがなくても、素地の中が割れている状態です。ちょっとした衝撃や温度の変化で突然パカっと割れるリスクがあります。これは音で判断するしかありませんが、使用を続けるのは危険です。すべての器を指ではじいてみましょう。問題があった食器の買い替えは、リストアップして落ち着いてからゆっくり選んで買いましょう(通販というのもありますね)。

     

     ステイホームで器の点検。おすすめです。

    | 選ぶ・使う | 14:47 | comments(0) | - |
    瀬戸だより696号「干支の季節スタート」という話
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      「先週末の台風19号で被害に遭われた皆様には心よりお見舞い申し上げます」

       

       

       瀬戸市内は台風の被害はほとんどなかったようです。事前のニュースなどでいつもより警戒された人も多かったようです。ホームセンターではテープやロープなど補強に使用する資材は売り切れ、またスーパーやコンビニでもパンなどの食品は品薄になっていました。今回は思ったより雨風が強くならなかったというだけで、いつこの地方にも災害が降りかかるかはわかりません。普段から備えなければとあらためて思いました。

       

       

       さあ、10月も半ばを過ぎました。仕事の上では干支置物や年末向けの御題茶碗の製作や出荷が徐々に始まります。

       来年の干支は「子」。ねずみ年となります。新しい十二支の始まりの年です。作家物の干支置物をコレクションされていたり、年末の挨拶に配られているというお客様もこの機会に別の作家さんに切り替える、もしくは新しくスタートされるということもあるように思います。12年間はひとりの作家さんをコレクションされるという楽しみ方が干支にはあるようです。

       もちろん、作家物ではない手頃な干支も用意しています。ある程度量産されているものになりますが、ここ数年の傾向としてはメーカーも数量を絞ってきているようで、意外なほど早く人気のものは売り切れとなることが多いようです。

       

       そして、御題茶碗の御題は「望」となっています。御題茶碗は新春の宮中歌会始の題にちなんで製作される抹茶茶碗となりまます。普段の作家さんの茶碗の価格と比較するとお値打ちになったいます。またその年だけの製作になりますのでこれもコレクションされるお客様も多くいらっしゃいます。今年の御題「望」はかなり茶碗としては難題になりそうです。どんな茶碗になるかは…私も楽しみです。

       

       干支置物、御題茶碗、興味のある方はぜひ当店までお問い合わせください。このメールマガジンに返信すると当店に届きます。よろしくお願いいたします。(まだ、サンプルも届いていないのですが)

      | 選ぶ・使う | 13:39 | comments(0) | - |
      瀬戸だより695号「器選び」という話
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         台風、今まさに接近中です(現在12日正午)。徐々に風も吹き始めていますが、まだ今は静かな瀬戸です。

         大きな被害が出る可能性も高いと、警戒するニュースが流され続けています。全国各地に大きな被害が出ないことを、心よりお祈りしています。

         

         何度かこの「瀬戸だより」でも書いているのですが、日本は器を手に持って食事をする食文化を持っています。コップやカップを別にすれば、他国の食文化にはあまりない特徴です。同じ箸の文化圏である韓国は箸とスプーンを使うのが基本です。金属製の器もあり、手に持つには向きません。

         日本での(日本食での)器選びというのは器の大きさやデザインだけでなく、持ち心地やバランスも重要になるのは間違いありません。器選びは見るだけでなく持ってみることも大切になります。

         樹脂製や金属製の器というのはキャンプであったり、例えば給食のような場面に置いて、軽いことが良い、また扱いが雑でも割れないことが優先という場合には仕方ないとしても……やっぱり普段からの食事は陶器の器にこだわらなきゃ、と思っていました(仕事柄ね)。持ち心地とバランスです。

         

         うちの母、87歳になりました。ここ数年はさすがに年老いてきたという印象です。認知機能も低下してきました。気が付くと食事の際に器を持たず、食べるようになってきました。食べにくそうに、器に顔を近づけ、俗に犬食いと言われるような姿勢に。時々は声をかけたり注意をしたりはしますが、直ることはありません。

         ところが、先日ちょっと体調を崩して母が入院したんです。その時に食事しているのを見たら、ちゃんと器を持って美味しそうに食事をしてるんです。気付きました、普段の器は母にとって重すぎたんだと。病院の器は樹脂製の軽いもの。バランスとか持ち心地とかでやっぱり陶器で、と思っていた自分には驚きでした。当たり前ですがその人に合った器というのがいいんですね。

         退院後は急ぎ買い揃えた軽い樹脂の器で日々母は食事と摂っています。もちろん器を持って(百均のものですが)。

         

         なかなか普段気付かないことを(そして当たり前のことを)知ることが出来た一件でした。やっぱり器選びは「使う本人の」持ち心地やバランスが大切です。

         

        | 選ぶ・使う | 13:41 | comments(0) | - |
        瀬戸だより634号「器の変化」という話
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          くじ引きの結果

           

           今週はせともの祭廉売市の出店場所の抽選会がありました、今年の当店の出店場所は瀬戸川沿いのツチヤスポーツさん前となりました。駅からも比較的近い場所になりますので、当日はぜひ多くのご来店をお待ちしています。よろしくおねがいします。

           せともの祭は毎年9月の第2土日、今年は9月8日土曜と9日日曜です。

           

           

           最近、作家さんから「今はお客さんが器が汚れることを嫌うので、焼き上がったあと汚れ防止のコーティングを行うこともある」という話を聞くことがあります。

           陶器という素材は表面に凸凹があったり、釉によっては貫入が入っていたり、もともとの素地が吸水性があったりと(たとえば)ガラスや磁器に比べると汚れやすいものです。

           長く使っているうちに茶渋とかでなんとなく色合いが変わったり、貫入に染み込んだりと変化していくことがあります。高台などの無釉の部分などは顕著です。それを防止するために最近は処理を行うことがあるということです。

           

           具体的には「液体セラミック」(これは商品名のようですが)などを刷毛で塗るなどしてコーティング処理することになります。もちろん人体に有害なものではなく、長期に表面をコーティング保護することが可能です。汚れない、つまりは表面の雰囲気を変化させない処理です。

           

           最近はそういう薬品での処理がされていますが、昔から同様の目的で様々なことがされてきています。例えば新しい器を米の研ぎ汁につけて煮沸してみたり、器を使用前に水にくぐらせたりという方法などは聞いたことがあるかと思います。また貫入については使用中に徐々に入ってムラになる前にトチ渋につけるなどして最初から器の装飾としてしまう(織部や黄瀬戸で見られる技法です)…これも先人の知恵です。

           

           さらに茶人など器の使い手は愛用するうちに現れる変化を「器の成長」としてその育つ様を楽しむこともあります。その人と(破損することなく大切に扱われ)長く時間を過ごした器は作り手の想像を超えて素晴らしい魅力をそなえた器に育つこともあるようです。

           作家さんがかつて作った器にお客様のところで数十年ぶりに再会して、その器の成長(変化)に感動したという話も聞いたことがあります。売り手としての私たちの立場でも、以前お届けした器に再会するときは同様の感情を持つことがあります。

           そこまで深い話ではないですが、以前私が自作したマグカップを友人にプレゼントしたことがありました。その友人の部屋を数年ぶりに訪ねた際に茶渋で汚れたそのマグを流しで見つけた時は、「自作の器が友と同じ時間を長く過ごしている」ことに単純に喜びを感じました。

           

           日々使う器。使っているうちの変化はなかなか感じないこともあります。他人から見たら薄汚れた器に見えるかもしれません。でも、器と一緒に過ごした時間は器自身の魅力となり「育って」愛着のあるものになっているはずです。

           

           もちろん処理を施し、買ったままの状態、美しいままを維持しながら使いたい気持ちも十分理解できます。最近の傾向はたしかにそれを強く感じます。ただ、よごれないまま陶器を使い続けるにはコツなり約束ごとは多少は必要です。面倒かもしれません。

           ただ、汚れたり、傷ついたり、時には割れてしまうことすらも陶器の魅力と感じられれば、器の楽しみが更に広がっていくと思います。大切に使い続けた器は必ず魅力を増すはずです。

           

          | 選ぶ・使う | 16:20 | comments(0) | - |
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          このブログの内容は加藤兆之助商店の発行するメールマガジン「瀬戸だより」のバックナンバー(保存版)になります。 文章は発行当時の内容になっています。日付など内容にはご注意ください。記事の全文あるいは一部を無断で転載・複製は禁止します。 http://web-setomono.com
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