〜せとものの話をしませんか〜「瀬戸だより」保存版

瀬戸の陶磁器店・加藤兆之助商店が発行しているメールマガジン「瀬戸だより」の保存版です。瀬戸のこと、焼き物のことなど、毎週土曜日お届けしています。
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瀬戸だより634号「器の変化」という話
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    くじ引きの結果

     

     今週はせともの祭廉売市の出店場所の抽選会がありました、今年の当店の出店場所は瀬戸川沿いのツチヤスポーツさん前となりました。駅からも比較的近い場所になりますので、当日はぜひ多くのご来店をお待ちしています。よろしくおねがいします。

     せともの祭は毎年9月の第2土日、今年は9月8日土曜と9日日曜です。

     

     

     最近、作家さんから「今はお客さんが器が汚れることを嫌うので、焼き上がったあと汚れ防止のコーティングを行うこともある」という話を聞くことがあります。

     陶器という素材は表面に凸凹があったり、釉によっては貫入が入っていたり、もともとの素地が吸水性があったりと(たとえば)ガラスや磁器に比べると汚れやすいものです。

     長く使っているうちに茶渋とかでなんとなく色合いが変わったり、貫入に染み込んだりと変化していくことがあります。高台などの無釉の部分などは顕著です。それを防止するために最近は処理を行うことがあるということです。

     

     具体的には「液体セラミック」(これは商品名のようですが)などを刷毛で塗るなどしてコーティング処理することになります。もちろん人体に有害なものではなく、長期に表面をコーティング保護することが可能です。汚れない、つまりは表面の雰囲気を変化させない処理です。

     

     最近はそういう薬品での処理がされていますが、昔から同様の目的で様々なことがされてきています。例えば新しい器を米の研ぎ汁につけて煮沸してみたり、器を使用前に水にくぐらせたりという方法などは聞いたことがあるかと思います。また貫入については使用中に徐々に入ってムラになる前にトチ渋につけるなどして最初から器の装飾としてしまう(織部や黄瀬戸で見られる技法です)…これも先人の知恵です。

     

     さらに茶人など器の使い手は愛用するうちに現れる変化を「器の成長」としてその育つ様を楽しむこともあります。その人と(破損することなく大切に扱われ)長く時間を過ごした器は作り手の想像を超えて素晴らしい魅力をそなえた器に育つこともあるようです。

     作家さんがかつて作った器にお客様のところで数十年ぶりに再会して、その器の成長(変化)に感動したという話も聞いたことがあります。売り手としての私たちの立場でも、以前お届けした器に再会するときは同様の感情を持つことがあります。

     そこまで深い話ではないですが、以前私が自作したマグカップを友人にプレゼントしたことがありました。その友人の部屋を数年ぶりに訪ねた際に茶渋で汚れたそのマグを流しで見つけた時は、「自作の器が友と同じ時間を長く過ごしている」ことに単純に喜びを感じました。

     

     日々使う器。使っているうちの変化はなかなか感じないこともあります。他人から見たら薄汚れた器に見えるかもしれません。でも、器と一緒に過ごした時間は器自身の魅力となり「育って」愛着のあるものになっているはずです。

     

     もちろん処理を施し、買ったままの状態、美しいままを維持しながら使いたい気持ちも十分理解できます。最近の傾向はたしかにそれを強く感じます。ただ、よごれないまま陶器を使い続けるにはコツなり約束ごとは多少は必要です。面倒かもしれません。

     ただ、汚れたり、傷ついたり、時には割れてしまうことすらも陶器の魅力と感じられれば、器の楽しみが更に広がっていくと思います。大切に使い続けた器は必ず魅力を増すはずです。

     

    | 選ぶ・使う | 16:20 | comments(0) | - |
    瀬戸だより631号「盃の相方」という話
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       言わないようにと思いますが、毎日暑いですね。もちろん、瀬戸も暑いです!子どもたちもいよいよ夏休み突入ですね!

       

       今週は金曜日にせともの祭の廉売市会場の出店場所の線引作業に参加してきました。先週までに申し込みが終了し、出店数が決まったのを受けて実際の会場(瀬戸川沿いの路上など)に必要なだけの出店場所を実際に測り目印を付ける作業です。せともの祭は9月ですが、毎年このタイミングで実測、来月には出店場所決定の抽選となります。

       概ね昨年と変わらない出店申込数ということでした。昨年はかなりの出店数でしたので……今年も盛り上がりそうです!

       まあ、毎年のことですがとても暑い作業でした。

       

       

       先週はさかずき(盃)の話題だったのですが、盃と対になる相方…「徳利(とっくり)」について少し書きます。

       

       盃のことを考えていましたら、そういえば最近は徳利の出荷は少ないなあと…。

       最近は冷酒で日本酒を楽しむということも普通になってきました。冷酒ならガラスなどの徳利のほうが馴染むでしょうし、最初からコップに注ぐことも自然に成りました。

       熱燗なら徳利の出番でしょうが、その機会も昔と比べると減っているんじゃないでしょうか。

       

       作家物のぐい呑などは人気があります。本格的な日本酒を楽しむというファンが増えている中、器にもこだわることはよくわかります。

       そんな「家呑み」なんていう楽しみ方もあるなら、ますます徳利の出番は飲食店での熱燗に限られてきそうです。

       

       先日も他業種の方々と飲む機会があったのですが、その時テーブルの徳利を眺めながら飲食に関係する方々が「うちの2合徳利はもうちょっと入る」とか「昔はもっと小さかったんじゃないか」とか話すのが興味深かったですね。飲食店の徳利は何合というのは概ね目安のような感じでしょうか。多く入っているように見えて、実際は少ない容量という徳利の形が商売上は理想かもしれません。

       そこが酒飲みの方には不満があるようで、酒メーカーの蓋をとってそのまま熱燗できるような容器(ガラスとかの瓶入り)の方が納得できていいという意見もよく聞きます。

       

       うちに古い徳利があるけど全く使わないなあ、という話も最近はよく聞きます。そんなときに話すのは一輪立として花を飾るのに使ってみてはどうでしょうということです。大きさや形も様々なんで結構楽しめます。

       実際、徳利を(とくに作家の土物とかは)一輪立てとして最初から求める方もいらっしゃいます。もちろん、あらためてもう一度熱燗を楽しむのもおすすめです。

      | 選ぶ・使う | 16:28 | comments(0) | - |
      瀬戸だより623号「箱の話2〜真田紐」という話
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         名古屋城のやきものワールド。今週末までですね。まだ行けていませんが、にぎわっているようです。

         

        ■やきものワールド

        http://yakimonoworld.jp/index.html

         

         少し前の「瀬戸だより」で木箱の話をしました。最近では桐箱(輸入材)が主になってます。抹茶茶碗などはそこに紐が掛けられることもあります。真田紐です。

         

         真田紐はいくつもの色の糸を織ることによって作られる平らな紐です。糸の織り方によって作られる様々な文様が美しい紐です。古くは刀の下げ緒や鎧兜の紐、着物の帯留などにも使われています。高級で丈夫なんですね。

         関ヶ原の戦いに敗れた真田昌幸・信繁父子が蟄居していた九度山で作り広めていったという逸話が名前の由来のようです。

         

         真田紐は素材は木綿と絹があり、一重に織ったもの(平紐)から袋状に織られている袋紐に大きく分かれます。陶器の木箱の紐としては通常は木綿が多く使われています。幅も様々ありますが、抹茶茶碗なら4分、ぐい呑みなら3分くらいが合うように思います。

         当店の抹茶茶碗などには木綿の平紐を通常使っています。色合いや模様は作家さんが選んだものが木箱とともに納品されればそのままの真田紐ですが、作家さんから特に指定がない場合などは作家さんの作風やその器に合わせた色や模様を選ぶようにしています。そのため、綿の平紐はいくつもの種類を用意するようにしています。

         時折、木箱のみの注文もいただくのですが(自作の茶碗用や箱を紛失したコレクション用などに)、その際も好みの紐を選んでいただいています。

         

         最近はカメラのストラップやアクセサリーにこの真田紐を使うこともあるようです。私も趣味のカメラ用に真田紐を使ってみたことがあります。通常の平紐より厚みがある袋紐の方がその用途には合っているように思いました。

        | 選ぶ・使う | 11:40 | comments(0) | - |
        瀬戸だより561号「大きな花瓶」という話
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           今週は小学校で卒業式が行われました。毎年小学校の卒業式には招待をされています(ちょっとした役を引き受けていますので)。

           袴で式に臨む女子が年々増えていましたが、今年は少なくなっていました。華美になりすぎると言う指摘も多くなってきた関係でしょうか。落ち着いた式でした。

           金曜日には公立高校の合格発表もあり、いよいよ「桜咲くシーズン」も近づいてきたようです。

           

           卒業式など大きな会場で行われる式典では花台の上に大きな花瓶に活けられた花もよく見かけます。時々、このような場所で使う花瓶(壷)のご相談も受けます。

           大きな花瓶。探すとなかなか見つけられないようです。飾壺のような色とりどりな絵付けがされたものなどもありますが、実際花を活ける花屋さんに聞くと、シンプルで花と喧嘩をしない白などのおとなしいものが好ましいようです。

           

           花瓶でそのような用途に使うとなると、予算的にもかかるようになります。そんな時に(裏技的に)おすすめなのは傘立ての流用です。傘立てのデザインも様々ですが、大きな壺型のものも少なくありません。傘立てが多く生産されている信楽あたりのメーカーさんではそのあたりはかなり意識されているという話も聞いたりします。水漏れなどを注意したり(と言っても、このようなサイズの壷などは直接水をいれることはなく、筒やバケツのようなものを中に入れるのが普通です)、デザインも傘立てっぽくないものを考えたりされています。

           大きな花瓶が必要になった時、傘立ての流用という手もあり……覚えていても損はないと思いますよ。

          | 選ぶ・使う | 22:59 | comments(0) | - |
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          このブログの内容は加藤兆之助商店の発行するメールマガジン「瀬戸だより」のバックナンバー(保存版)になります。 文章は発行当時の内容になっています。日付など内容にはご注意ください。記事の全文あるいは一部を無断で転載・複製は禁止します。 http://web-setomono.com
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