瀬戸だより632号「釉の変化」という話
- 2018.07.28 Saturday
- 16:27
さて、今週は台風接近中の瀬戸です。この地方、これから夜に向けて台風がやってきます。またさらに進路になる西日本の皆様には(先日の豪雨被害があった地方の方は特に)ご注意してお過ごしください。東から西へという変なコースの台風です。何事もなく過ぎてくれるのを願っています。
長いお付き合いのお客様と話していると「こんな感じで流れるかなあ?」「最近はどんな感じ?」と釉薬のことを確認されることがあります。数年前にお届けした商品の追加やサンプルが古いものしかない場合とかです。手作りの器を理解していただいているわけで、ありがたい言葉です。
ちょっとした釉薬の変化(元の原料が変わるとか窯元が改良を加えている)であったり、窯の調子(温度の上がり方)などで釉薬の色合いや流れ方は結構影響を受けます。同じように作っている場合でも長年のわずかな変化の蓄積で、以前のものと比べると「あれ?」と思うこともあります。
以前作っていた古いサンプルを持って窯元を訪ねると「あー、これかあ。今はもうちょっと濃くなっているよ」とか話されることもあります。
特に流れやすい釉(御深井など呉須や鉄で書かれた文様を流れで変化をつけるものなど)は流れすぎると失敗、流れなくても失敗という微妙な調合や窯の温度調整となる場合もあるので大変です。ちょっと思ったより流れちゃったかな…くらいが変化が大きくてものとしては面白く感じますが、次回もこれと全く同じでと言われると難しい場合もあります。そのあたりはもちろん作家さんも窯元もベストの条件を経験則から導き出して「いつもベスト」の状態を目指しています。
古いお客さんとは同じ作り手の同じ釉薬でも「あの頃の感じが良かった」「最近はすごく良くなった」さらには「先代の色合いにそっくりになってきていい」など、深い会話ができるようになってきます。わたしたちにとっても楽しい会話・時間です。なぜなら、お客さんと当店だけでなく作家さん(窯元)も揃って長くお付き合いが続いているということですから。楽しく会話です