〜せとものの話をしませんか〜「瀬戸だより」保存版

瀬戸の陶磁器店・加藤兆之助商店が発行しているメールマガジン「瀬戸だより」の保存版です。瀬戸のこと、焼き物のことなど、毎週土曜日お届けしています。
http://web-setomono.com
瀬戸だより622号「名古屋城の御深井焼」という話
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    名古屋城石垣

     

     

     前回、話題にした名古屋城のやきものワールドは今日からスタートです。なんとか時間を作って行きたいと思っていますが、どうなるか……。

     

    ■やきものワールド

    http://yakimonoworld.jp/index.html

     

     行くことができたら、ぜひ見たいと思っているのは「御深井焼と名古屋城」の展示です。

     御深井というのは今は瀬戸を代表する釉薬となっていますが、もともとはここ名古屋城内の御深井丸での御庭焼が始まりとされています。今も御深井丸展示室(特に陶器の展示じゃないみたい)があったり、隣接する名城公園には御深井池もあります。

     

     御深井というのは不思議な釉薬に思います。作家さんにより御深井の色合いや加えられる技法が違い、「御深井」と一言で言っても様々な雰囲気があります。

     一般的に瀬戸でイメージされるのは薄い水色の釉薬の御深井じゃないでしょうか。涼しげであり、夏向けな色合いです。焼成時に流れやすい釉で器の底に流れた釉が厚く溜ったり、表面もろくろ目などに沿って濃淡が見られるのもこの釉の魅力です。また流れやすい特徴を利用して、呉須で描かれた文様が流れることでさらに釉に変化をつけることもあります。また透明感があるので、彫などの文様も釉を通して楽しめます。

     よく古い御深井を見ていると水色ではないものも御深井とされています。薄い黄色で釉で流れ方次第でより濃くなったり、他の色合いに感じられたりという感じでしょうか。現代の作家さんでもそういった御深井を焼いていらっしゃる方もいます。

     色合いは違っても共通するのはよく溶け、流れる釉ということでしょうか。流れが景色になり、魅力ということです。色合いの違いは(たぶん)窯の焼成の雰囲気の違いということでしょう。焼成の雰囲気という言葉は陶芸の窯ではよく聞くものですが、一般的にはわかりにくいものかもしれません。窯を焼く時(釉薬が溶ける温度になったとき)十分に空気を取り込ませるように焼くのが「酸化焼成」、あえて空気を入れないようにするのが「還元焼成」となります。その酸化か還元かがその焼成の「雰囲気」となります。

     同じ調合をした御深井釉薬を酸化の雰囲気で焼成すると黄色みを帯びた焼き上がりに、還元の雰囲気で焼成すると水色になるということと(私はひとまず)理解しています。御深井釉はそのあたりすごく自由に応用されている釉薬に感じます。

     

     どこかで「御深井」の器を見た際は色合いなど作り手がどのような表現を御深井で行っているかを気にしてみると、楽しいと思います。

    | せともの | 13:33 | comments(0) | - |
    瀬戸だより583号「いつからせともの」という話
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       今週は夏休みをいただき、家族で富士の方まで(登ったわけじゃないですが)行ってきました。行っていた4日間はずっと雨……富士山一回も見えず……そんな夏休みでした。

       皆さんはどんなお休みを過ごされたのでしょうか。

       

       

       先週の「瀬戸だより」で旧山繁商店のことを書いてみたんですが、それから気になっていることがひとつ。「せともの」っていつから一般的に陶器のことを言うようになったのか?

       

       調べてみようと思ったんですが「昔から言われている」というような書かれ方でなかなか要領を得ないんです。いろいろあたりながら想像すると江戸時代には当然のように「せともの」だったようで、さらに前の時代、桃山あたりが始まりなのじゃないかと。

       戦国時代、織田信長が瀬戸の陶器生産を保護したあたりが瀬戸の「せともの」が全国に展開していったきっかけになるんでしょう。

       というものの、その頃は瀬戸山離散の時代(瀬戸の陶工たちが瀬戸を離れ、美濃に生産を移していた時代。徳川の時代に入り窯元が瀬戸に呼び戻される)。全国への流通に有利な美濃に移ったという説も有力です。美濃に移っても「瀬戸」のものとして出荷されていたようにも聞きます。とすれば、それ以前にはもう瀬戸の陶器「せともの」がブランド力を持って通用していても不思議ではありません。

       この件、時間があったらもっと調べてみます。

       

       夏休み中、こんなことをいろいろ考えながら過ごしました(雨空を見上げながら)。

       あと、そんなことを調べていると「東日本ではセトモノ 西日本ではカラツモノ と呼ばれていた」という話がよく出てくるのですが、私自身は陶器のことをカラツモノと呼んでいるのに出会ったことがないのですが、西日本の皆さんどうですか?

      | せともの | 10:25 | comments(0) | - |
      瀬戸だより581号「瑠璃釉」という話
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        陶祖の住居跡の碑がある公園。手前が瑠璃釉。

         

         8月に入りました。

         今週あたりは瀬戸市内でも地区ごとに行われる盆踊りが多いように思います。瀬戸音頭が聞こえる季節です。ほーんに瀬戸瀬戸よいところー 瀬戸は火の町土の町 チョイっと土の町ー です。

         

         暑い季節には陶器より磁器の器が似合います。薄手の磁器に涼し気な呉須で描かれた染付。そんな器で冷たいものを楽しみたいところです。

         この染付に使う「呉須」はコバルトの青を発色させた顔料です。呉須を使った釉薬、「瑠璃釉」をテーマにした展示が瀬戸蔵ミュージアムで行われています。「瑠璃釉のやきもの〜深遠な青の世界〜」11月5日まで。

         

         瑠璃釉は瀬戸で磁器の生産が開始された19世紀初めに作られはじめました。瀬戸は日本では数少ない天然の呉須を入手できる産地でした。と言っても、量は限られ貴重な材料でした。その天然の呉須を瑠璃釉は贅沢に使う釉薬。瑠璃釉の器も高価で貴重な特別の器だったことは想像できます。

         

         瀬戸を代表するような織部や黄瀬戸に比べればずいぶん後発な釉薬なんですね。伝統的な赤津七釉の釉の中には含まれませんが、比較的新しい釉薬が見られる瀬戸七釉には含まれてくるようです。

         

         呉須を含む釉薬を何度も掛け重ねてあの濃い、まさに瑠璃色の釉薬の発色に仕上げます。そこにはレリーフ状に装飾がつけられた部分は白く浮き出ています。美しい装飾です。が、なかなか手が込んだ(特に釉掛けはかなり面倒くさい)作りです。

         今回の展示でも瑠璃釉の植木鉢が何点か展示されています。植木鉢に高価な瑠璃釉……不思議な感じがします。江戸時代の終わりにはたいへんな園芸ブームが起こったとか。その際に金に糸目をつけず瀬戸まで特注で植木鉢を依頼する……当時の粋だったのでしょう。

         

         その後、明治期に入り安価な人口呉須がヨーロッパから安定的に供給されるようになり、幅広く使われるようになります。数多く輸出もされていきます。海外から輸入した顔料を使って出来た製品が再び海を渡って戻っていくというのは面白く感じます(というものの、日本からの工業輸出品って多くがそんなのもかもしれません)。

         

        ■瀬戸蔵ミュージアム企画展情報

        http://www.city.seto.aichi.jp/docs/2011031500146/

         

         なかなか目に触れにくい釉薬という印象もある瑠璃釉。まとめて見る貴重な機会かもしれません。瀬戸蔵ミュージアムのコンパクトな企画展はいつも楽しみです。

        | せともの | 10:22 | comments(0) | - |
        瀬戸だより547号「御題『野』」という話
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          野鳥、というのも「野」の御題にOKです。

           

           寝不足の日々です。

           ここのところ、干支やお歳暮関係の商品が集中して窯元から出来上がってきました。梱包包装作業に追われていますが、昼間は接客や集荷の仕事も多く、どうしても集中できる夜が作業の中心となっています。あと数日でなんとかこの忙しさのピークから抜けられるんじゃないかと、頑張っているところです。

           

           干支と並んで当店でこの時期に注文が多いのが「御題茶碗」です。

           御題というのは(この季節になると毎年「瀬戸だより」で紹介していますが)新春に行われる宮中の歌会始の儀で決められている御題(テーマ)のこと。そしてそれに合わせて製作される抹茶茶碗が御題茶碗となります。

           元々が歌(和歌)の題ですので。茶碗にそれを表現するのは難しい年もあります。最近ですと「笑」とか「光」とかの年には相当苦労して茶碗を製作しました。

           この御題というのは、和歌の応募に際してもそうなんですが、テーマそのものでもいいし文字として含まれる単語(光ならば「日光」や「光線」のようでも)でも構いません。

           

           今年製作していただいている来春の御題は「野」となっています。

           

           つまり「野」そのものでもいいし「野菜」「野球」「視野」のような単語でもいいわけです。比較的デザインするにはやりやすい御題じゃないかとおもいます。

           

          野菜で「野」。織部の茶碗です。

           

           毎年、作家さんからどんなデザイン、どんな茶碗が出来てくるかというのはドキドキ・ワクワクします。やっぱりそうか、こう来たか、など作家さんの個性を考え想像していくのはとても楽しいじかんです。たぶんうちのお客様の中にも同様な楽しみをされている方もいると思います。

           ところが意外と今年のようないろいろな具体的イメージが膨らみそうな年は逆にシンプルかつ普通のデザインが揃ってくるように思います。今年は枯野、すすき野のイメージから、というのも多い感じです。茶碗にのせやすくしっくりする、分かりやすいということのようです。

           先に書いたような「笑」などの時はテーマを広く探りつつ、デザイン化していく苦労は大きいようですが出来上がった茶碗はとてもユニークで面白いものになるようです。

           

           おとなしい茶碗が揃ったという印象の今年の御題茶碗。別な見方をすれば、お題ということを離れても普段使いの茶碗としてより楽しみやすくなっているとも言えます。

           

           興味のある方はざひお問い合わせください。

          | せともの | 21:06 | comments(0) | - |
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          このブログの内容は加藤兆之助商店の発行するメールマガジン「瀬戸だより」のバックナンバー(保存版)になります。 文章は発行当時の内容になっています。日付など内容にはご注意ください。記事の全文あるいは一部を無断で転載・複製は禁止します。 http://web-setomono.com
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