〜せとものの話をしませんか〜「瀬戸だより」保存版

瀬戸の陶磁器店・加藤兆之助商店が発行しているメールマガジン「瀬戸だより」の保存版です。瀬戸のこと、焼き物のことなど、毎週土曜日お届けしています。
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瀬戸だより725号「瀬戸焼の特徴って?」という話
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     先日、ちょっとした取材を受けました。瀬戸や焼物について「瀬戸だより」という形で長くに渡り配信し続けていることに関してでした。いつもはひとりで考えて原稿を書くのですが、たまにこうした他からの問い掛けに対して答えると、あらためて考えるきっかけになったり再発見があったりします。

     

     ものすごく根本的な問なんですが「瀬戸の焼き物の特色、魅力って何ですか?」というのは簡単で難しいものです。以前に市が瀬戸焼ハンドブックの編集をするというので、お手伝いで会議に参加しました。工業組合や商業組合(私たちだ)、陶芸協会など瀬戸焼に関係する方たちが集まったのですが、その答えはなかなかまとまらなかった事を記憶しています。瀬戸の土は「白いきめ細やかな土で、何にでも使うことが出来る」。つまりは器(陶器も磁器も)から碍子や建材など工業製品にも使うことが出来るのが瀬戸の土の特徴と言うわけですが、結局この万能性は「器用貧乏」のようなイメージになりかねない……というところで意見は止まっていました。

     その後も自分の中でこの答え(瀬戸焼の特徴、魅力)考えて来ました。まあ、とにかく工業分野まで広げて考えてしまうとややこしくなってしまうんじゃないかと。純粋に器としての瀬戸の特徴(土から)を考えてみましょう。

     

     今回の取材の中でも「瀬戸の焼き物の特徴、魅力」を問われました。自分の用意した答えは次のものです。

     

     瀬戸焼の特徴は土が白いことである。これは他の産地の土に比較すれば「土味」の面白さはない。その代わりたくさんの釉薬が発展した。これは白い故の特徴。さらに技法も多岐にわたり展開された。例えば、瀬戸の土は磁器にも応用出来るので「染付」。土に顔料で色を付ける「練込」。などなど実に多彩。それがひと

    つの産地で出来るのが瀬戸。土味に縛られない分、表現はとても自由。

    「じゃあ、美濃焼の特徴とどこが違うの?」と言われたら、国境(今なら県境)で分けられた背中合わせのお隣さん。昔から職人や技術の行き来もあったから、似てる……と答える(としか言えない……しょうがない)。最近は美濃は瀬戸からの土もかなり利用されていると聞きますし。

     モノの特色ではないですが、粘土はもちろんその他の原料、窯、道具まで、陶器作りのすべてが揃っていて、陶磁器作りを周りからしっかり支えてくれる職人さんやお店がしっかりいるのも瀬戸。

     

     そんなような話をしました。たぶん、他にも答えはあるんでしょうね。「土が白いから、たくさんの釉薬、技法が発達」が私が行き着いた瀬戸焼の特徴です。

     

     いろいろ話しましたが、カットされるかどうかはわかりません。

     ひとまず(東海地方だけになってしまいますが)明日日曜、午後3時からテレビ愛知・サンデージャーナルでこの地方の焼物を特集するそうです。

    | せともの | 14:32 | comments(0) | - |
    瀬戸だより704号「今年の干支と御題茶碗」という話
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       12月ももう半ば。忙しさのピークもそろそろ越えたところ…という感じです。

       干支置物、そして御題茶碗のお届けがまだ続いています。

       

       来年の干支は子、ねずみ年です。ねずみというのは身近な動物というイメージですが、実際に目にすることはあまりないかもしれません。いつもねずみを見かけます、というのは住環境としてどうかと思います。となると、ねずみのイメージというのも現代ではイラストだったり間接的なものが中心かもしれません。

       なんとなく耳が丸く大きな(浦安にいるような)ねずみ、というのが最近はよく見られるような気がします。まあ、置物でもイラストでも、リアルにし過ぎるとちょっとばかり気持ち悪くなっちゃうわけで、かわいく(ハムスター風になったとしても)すべきなんでしょう。

       皆さんも年賀状を書く時にちょっとだけリアルなねずみかかわいいねずみか考えてみては面白いかもしれませんよ。

       

       御題茶碗は御題「望」にちなんだ茶碗になります。御題茶碗というのは皇室の新春行事・歌会始に出されるテーマ「御題」にちなんで製作される茶碗になります。新春に使うにはふさわしく、毎年変わるためコレクションとしても面白い茶碗です。

       望という御題。今年は平成から令和への代替わりもあり、例年は正月の歌会始で発表される次回の御題も令和になってから発表となりました。歌の題としては新しい時代に希望を感じられる、作りやすい題になるように思いますが、これを茶碗として表現するには難しいものがあります。

       「新幹線描くわけにはいかないもんなあ」という話も作家さんからよく聞きました(昨年の「光」から続いたということもありますし)。結果、文字で「望」を書くという作家さんも多かったです。また、望を含んだ「望月」、つまりは満月を描いたものも多い印象です。

       御題にちなんで、というのは茶碗だけでなく和菓子などもよく作られるようですので、菓子職人のアイデア、表現も気になるところです。

       

       いろいろ頭を使ってアイデア出して作っていただいた茶碗・置物も大部分が当店からお客様の手元にほぼ届いたようです。

       年末に向けて、さらに忙しくなっていくという方もいらっしゃると思います。寒さが増していくようですが、あと少し風邪をひかないようにお互い乗り切りましょう!

       

      | せともの | 11:04 | comments(0) | - |
      瀬戸だより683号「せともの≒メイド・イン・瀬戸」という話
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         相変わらずの梅雨空です。今年の梅雨はよく降ります。曇りか雨かの日々です。そろそろ梅雨明けの話も聞こえてきそうですが、そうしたらまた暑い夏が……でも、そろそろお日様が恋しい季節ですね。

         今週予定されていた「せともの祭の準備作業」も天候不良で延期になりました。来週また会場を実測して、出店場所を確定する作業を行います。せともの祭は9月14日土曜と15日日曜(9月第二土日)……カレンダー上では最も遅いパターンのせともの祭日程です。つまりはあと2ヶ月を切りました!!さあ、本格的に準備を始めなければ!!

         

         「せともの」という言葉は文字通り「せとのもの」という意味ですが、一般的には陶器(焼き物)全体を示す言葉として使われています。このあたりの「せともの」という言葉のややこしさがあるようです。

         今のせともの祭の「せともの」も後者の焼き物全体を示す意の「せともの」となっています。瀬戸の業者や窯元などの出店が中心になっていますが、他産地からの出店も増えています。逆に美濃や他産地の同じような焼き物のお祭り・イベントにも瀬戸から出店される方も少なくありませんので、まあ相互乗り入れが行われているわけです。

         

         ここで問題になるのが、純粋に前者の意味、つまりは「せともの=メイド・イン・瀬戸」ととらえていらっしゃる方からすれば、せともの祭で瀬戸以外の産地のものが並べられているのは「???」となるのも理解できます。ややこしいです、実に。焼き物一般を表すせとものと瀬戸のものを表すせともの…両方正解なだけに、ややこしい。そのややこしさを解消するために瀬戸は地域ブランドとして「瀬戸焼」を使っています。これは間違うことなく「瀬戸焼=メイド・イン・瀬戸」となります。

         せっかく瀬戸のせともの祭に行くのだからメイド・イン・瀬戸のものを買いたいという方は廉売市で「これは瀬戸焼ですか?」と確認することもいいと思います。当店は廉売市で瀬戸以外のものも並べますが、瀬戸のものは分かりやすく区別できるようにはしようと思っております。

         

         現在の焼き物全体を「せともの」呼ぶのはどうしてか?というのは概ね瀬戸で作られて出荷された焼き物が質がよく全国的に産地名とともに広がったということと思われています。(ここからは私個人の「多分そういうことだろう」を多く含んだ話になります。違う点もあるかもです)

         

         鎌倉時代に瀬戸でそれまで日本では作られていなかった施釉陶器が作られ始めます。もちろんそれは中国の影響もあった(技術的に)と思います。日本国内でも中国から距離のある内陸の瀬戸の地に他の地域を超えて技術が伝わったというのはちょっと謎を感じます。加藤景正(藤四郎)の陶祖伝説では全国を巡った後に瀬戸の地で理想の土に出会ったという事になっています。

         ともかく当時は瀬戸が施釉陶器を産み出す最先端の技術を持つ産地だったことは間違いありません。そこから出荷される焼き物は珍重され他の今までの焼き物とは区別され「せともの」と呼ばれて行くようになります。たぶん、ここまでは「せともの=メイド・イン・瀬戸」のみのせとものです。

         すると次に何が起こるだろうか?せとものを手にした各地の有力者(この時代に大名とか殿さまとかいう呼び方が正しいかはわかりませんが)は「うちの国(土地)でもせとものを作りたい」となるでしょう。職人を瀬戸に修行に出す、瀬戸から職人をスカウトする、ということが行われたに違いありません。江戸時代に瀬戸から九州に磁器の製法を伝えた加藤民吉のように瀬戸から各地方に施釉

        陶器の技術は広まっていったのでしょう。「うちの国でもせとものが作れるようになった!!」「うちの村からもせとものを売り出していける!!」という段階になり。瀬戸という一点から出荷されていた「せともの」は多くの産地から「せともの」の名のもとに一気に広がったと考えます。「◯◯せともの」という地域の名前をつけたせとものの名称があったというのをなにかの折に読んだ記憶があ

        ります(出典がよくわからないのでごめんなさい)。ここにおいて瀬戸を離れて「せともの=一般的な焼き物全体」になったのではないかと想像します。古くから施釉陶器を焼いている産地というのは、瀬戸からの影響を受けている(直接か間接か、その大小は違えど)ことは間違いないように思いますがどうでしょう?

         

         瀬戸から始まった多彩な「せともの(焼き物)文化」の広がりと現在を楽しむのがせともの祭じゃないかと思います。そしてそこでメイド・イン・瀬戸である瀬戸焼の品物も手にとっていただければと思います(さらにそこがうちの店ならなお嬉しい!!)。

        ぜひ、今年の9月14日土曜と15日日曜のカレンダーに印を付けていただき、2ヶ月後廉売市会場でお会いできればと思います!!

        | せともの | 12:14 | comments(0) | - |
        647号「干支と御題茶碗」という話
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          御題茶碗「光」。これは安藤敏彦さんの作。

           

           今週の土日は「第19回せと・まるっとミュージアム大回遊 ゆるり秋の窯めぐり」が行われます。こちらは赤津、品野、水野などの窯元を実際に訪ねることができるというもの。昨日会場周辺を通りましたが、準備が進んでいました。
           天気も良好。山の木々の紅葉も始まっているようです。

           

          ■「第19回せと・まるっとミュージアム大回遊 ゆるり秋の窯めぐり」
          http://www.seto-marutto.info/event/kamameguri/

           

           先週、話題にした宝泉寺のお薬師様。当日はずいぶん暖かな日になりました。なかなか寒くはなりませんが11月になってからお客様からの干支置物、御題茶碗のお問い合わせも多くなっています。

           

           干支置物。来春の干支は「亥」(イノシシ)です。


           中国では亥年はブタのことだと聞きます。金運の象徴だとか。干支が日本に伝来した頃はブタは日本人に馴染みがなく、身近にいてブタに近いイノシシで置き換えたという話です。


           瀬戸に住んでいると、最近はずいぶん身近な存在になっていますね、イノシシ。畑が荒らされるとかの被害はもともとは山に近い場所に限られていましたが、今はもうこんな町中で!というところでも遭遇することも。実際に市内の中心の山林にもイノシシの荒らした痕跡があったり、道を横切る姿を見た(車とぶつかった)ということも聞きます。
           年賀状のデザインを見ているとかわいいウリ坊だったり愛らしい姿のイノシシが描かれています。干支の置物でもそういったものがあります。当店が扱っている作家さん手作りの干支置物を見ているとかわいいと言うより迫力のある顔付きのイノシシが多いように思います。もっとわかりやすく言うなら「悪そうな顔」のイノシシです。作家さんの陶房や住まいが比較的山に近い場所にあることが多く、普段から野生のイノシシの被害にあったり出くわすこともあるんでしょう。野性味あるイノシシ置物が出来上がってきています。

           

           御題茶碗は毎年この頃になると話題に上げているのですが、「新春の宮中行事である歌会始の題(御題)をテーマに製作される抹茶茶碗」になります。来春のお題は「光」となっています。最近よく聞く言い方ですが「平成最期の歌会始の御題」になります。
           「光」はテーマとしてはデザインしやすいように思いますが、戦後の御題としては3回目の登場、さらには平成22年という比較的最近にも御題となっています。その点は難しいように思います。
           「光、もしくは光を含む単語」というイメージになりますが、「月光」などが人気になっているようです。ホタルなどは季節感的に正月にあいませんので、新春の茶碗という制約もありますね。

           

           干支置物、御題茶碗、興味があるという方はお気軽にお問い合わせください。

          | せともの | 10:41 | comments(0) | - |
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          このブログの内容は加藤兆之助商店の発行するメールマガジン「瀬戸だより」のバックナンバー(保存版)になります。 文章は発行当時の内容になっています。日付など内容にはご注意ください。記事の全文あるいは一部を無断で転載・複製は禁止します。 http://web-setomono.com
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