今日と明日はせと陶祖まつりです。天気の予報がちょっと良くないようで心配ですが、盛り上がる2日間になってもらいたいものです。
■第57回せと陶祖まつり
http://www.seto-marutto.info/event/tousomatsuri/
さて、今回はろくろの話。
「瀬戸だより」では今までもろくろやろくろ周りの道具について書いてきたりしました。昔は手回しで(瀬戸では足で蹴って回す蹴ろくろは使っていません)、ろくろの表面にある穴に棒を差し込みくるくるとまわして、その勢いがあるうちに形を作るというもの。一つの器の成形でも様々なスピードで成形されているわけで、どこか面白みにつながっているんじゃないかと思います。
現代はで電気モーターで回すろくろが主流です。皆さんも見たことあるろくろと思います。普通にろくろと言えばこれのことです。
それとは別に「動力」と呼ばれるろくろがあります。動力ろくろ。
さっきろくろは電気の動力で回しているって言ったじゃん…と言われるとややこしいのですが、動力と言えば別なんです。
ろくろですから水平に回転する円盤がありその上で土を成型する…ただ動力というろくろはそこに石膏型があり(円形の)その回転する型に土を入れ、その型に合わせてセットされたヘラ(多くは金属製、てこのように一方が固定されたレバーのようなバーにセットされている)で成形するものです。つまり、器の外型は回転する石膏型で、内側は固定された金属のヘラで押さえることで成形する、そんな成型方法です。
ろくろで回転する石膏型は固定された土台部分と実際の土の入る型の部分の2点の組み合わせになっています。成型後の器はある程度乾燥するまで型部分の石膏に入ったまま外されます。この型部分の石膏型は同じものがたくさん用意されていて、次々と効率よく生産できるように工夫されています。
……と文字に書いて説明しましたが、たぶんうまく伝わらないような気がします、残念ながら。YouTubeで「動力ろくろ」で検索するといくつかその動画が出てきますので、確認いただくと言いたいことがわかると思います(普通のろくろの動画も多く混ざっていますが)。まあこんな感じ。
https://youtu.be/ryFIXRmjVhI
型から出した後は通常のろくろと同様に高台を削り出したりという仕上げを行い、装飾を施します。出来上がりは鋳込みなどとは違うろくろ独特の雰囲気が出てきます。
効率よい量産の道具といった感じですが、これもやはり職人技が必要です。器の大きさに見合った土の塊の感覚、ヘラの力加減など一朝一夕では出来ないようです。実際にこの作業をされているのを見ていると、放り込まれた土がヘラで型に押し付けられ、型から余ってはみ出す土の処理など、リズミカルに形を変えていく土を見ているのも気持ちのいいものです。まさに職人仕事のリズムです。
型をいくつも用意しなくてはいけない、ヘラの位置など意外と手間のかかるセッティングなど面倒な部分もあります。瀬戸の窯元さんが少量多品種を手作業で対応という傾向が多いので、最近はこの作業も見る機会が減っているように思います。