〜せとものの話をしませんか〜「瀬戸だより」保存版

瀬戸の陶磁器店・加藤兆之助商店が発行しているメールマガジン「瀬戸だより」の保存版です。瀬戸のこと、焼き物のことなど、毎週土曜日お届けしています。
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瀬戸だより625号「土練機がやってきた」という話
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    乾燥防止でビニールがかけてある土練機

     

     

     土練機の話です。土練機。どれんき。

     

     

     すべての陶磁器は「土」から生まれます。土が柔らかすぎれば作る際に形が崩れてしまったり、また固すぎればまた作りにくい……ちょうどいい感じの固さで作業したいものです。また、いくつもの土をブレンドして好みの土を作るということもよくあります。

     本来なら手で土を練り(あるいは足で踏んだり)その作業をするのですが、それを手助けするのが土練機となります。

     

     時代によって様々なスタイルもあったようですが、一般的には大砲のような形という感じです。上に四角い桝形の枠がありその中に土を放り込んでいきます。そこから伸びる(大砲で言うところの)砲身のような筒な中で練られながら押し出され、出口から(歯磨きのチューブのように)出てきます。これが基本形です。

     

     真空土練機というものもあり、これは練りながら真空ポンプで空気を抜いてくれる……菊練りをしなくてもそのままろくろへ、ということも可能です。

     

     

     ずっと前から、個人的に欲しくて欲しくてというのが土練機でした。

     日常的に土を使っているわけではなく、時々ろくろを回す、窯を焼くというマイペースでやっているくらいなら手で練ればいいのじゃないか……とも思われるかもしれません。でも、たまに作業しようとすると、実際の製作より土の管理や後始末に時間を取られ(というかそれで疲れてしまい)思うように進まないことばかりなんです。土練機があれば短い時間で効率よく作業ができるはず……。

     

     その土練機が今週、うちにやってきました。ある作家さんが使われていたもので、もう使わないというものでした。

     土練機は電気のモーターで動かすものなんですが、大きなものは動力線など家庭用とは違う電力が必要になります。そのあたりが問題になるのですが、今回の土練機はかなり小型で家庭用のコンセントで使えるものでした(うちにはピッタリ)。もちろん常圧(真空土練機ではない)です。

     

     小型でモーターのパワーも強力ではないのでちょっとのんびりした感じですが、手で作業するのとは格段に楽に短時間で土の始末が出来るようになりました。

     たぶん昔はなかったコンパクトサイズの土練機と思います。個人が趣味で陶芸を楽しむというニーズに対応したものでしょうか。作家さんや窯元でも、普段使う土以外にも多少は違う土を使いたいとかの場合にも便利のようです。

     買ってきたものの時間が経って固くなり始めた粘土を黙々と練り直してくれるのを眺めつつ、さあいろいろ作ってみよう(というか、サボる理由がなくなった)と思います。

     土の枯渇が話題になる昨今です。無駄なく土を使いましょう。

     

    | 作る | 16:47 | comments(0) | - |
    瀬戸だより617号「動力ろくろ」という話
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       今日と明日はせと陶祖まつりです。天気の予報がちょっと良くないようで心配ですが、盛り上がる2日間になってもらいたいものです。

       

      ■第57回せと陶祖まつり

      http://www.seto-marutto.info/event/tousomatsuri/

       

       さて、今回はろくろの話。

       「瀬戸だより」では今までもろくろやろくろ周りの道具について書いてきたりしました。昔は手回しで(瀬戸では足で蹴って回す蹴ろくろは使っていません)、ろくろの表面にある穴に棒を差し込みくるくるとまわして、その勢いがあるうちに形を作るというもの。一つの器の成形でも様々なスピードで成形されているわけで、どこか面白みにつながっているんじゃないかと思います。

       現代はで電気モーターで回すろくろが主流です。皆さんも見たことあるろくろと思います。普通にろくろと言えばこれのことです。

       それとは別に「動力」と呼ばれるろくろがあります。動力ろくろ。

       さっきろくろは電気の動力で回しているって言ったじゃん…と言われるとややこしいのですが、動力と言えば別なんです。

       ろくろですから水平に回転する円盤がありその上で土を成型する…ただ動力というろくろはそこに石膏型があり(円形の)その回転する型に土を入れ、その型に合わせてセットされたヘラ(多くは金属製、てこのように一方が固定されたレバーのようなバーにセットされている)で成形するものです。つまり、器の外型は回転する石膏型で、内側は固定された金属のヘラで押さえることで成形する、そんな成型方法です。

       ろくろで回転する石膏型は固定された土台部分と実際の土の入る型の部分の2点の組み合わせになっています。成型後の器はある程度乾燥するまで型部分の石膏に入ったまま外されます。この型部分の石膏型は同じものがたくさん用意されていて、次々と効率よく生産できるように工夫されています。

       ……と文字に書いて説明しましたが、たぶんうまく伝わらないような気がします、残念ながら。YouTubeで「動力ろくろ」で検索するといくつかその動画が出てきますので、確認いただくと言いたいことがわかると思います(普通のろくろの動画も多く混ざっていますが)。まあこんな感じ。

       

      https://youtu.be/ryFIXRmjVhI 

       

       型から出した後は通常のろくろと同様に高台を削り出したりという仕上げを行い、装飾を施します。出来上がりは鋳込みなどとは違うろくろ独特の雰囲気が出てきます。

       効率よい量産の道具といった感じですが、これもやはり職人技が必要です。器の大きさに見合った土の塊の感覚、ヘラの力加減など一朝一夕では出来ないようです。実際にこの作業をされているのを見ていると、放り込まれた土がヘラで型に押し付けられ、型から余ってはみ出す土の処理など、リズミカルに形を変えていく土を見ているのも気持ちのいいものです。まさに職人仕事のリズムです。

       型をいくつも用意しなくてはいけない、ヘラの位置など意外と手間のかかるセッティングなど面倒な部分もあります。瀬戸の窯元さんが少量多品種を手作業で対応という傾向が多いので、最近はこの作業も見る機会が減っているように思います。

      | 作る | 23:30 | comments(0) | - |
      瀬戸だより614号「釉の調整」という話
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         ここのところ、何人かの作家さんから釉薬の調子が変わってしまったという連絡を受けました。こういうことは時々あります。

         長年、同じ釉薬を使い続けていたり、得意とする釉薬でも調子が何かおかしいという……原因は何でしょう?窯の故障などで還元酸化のコントロールがおかしくなったということも考えられますが、最近多いのは土や釉の原料が変わってしまったということじゃないかと思います。土などは天然の原料、大地から掘り出し精製して使うわけですが、昔から掘り出している鉱山はより良質なところから堀つくしていくわけで、時代が過ぎれば質が変わっていくことも想像がつきます。釉の原料もまた同様で、土地土地で特色ある原料が採収されていたものがやはりそこが枯渇して別の土地のものに変わったり別の原料で代用しなきゃいけないことが多くなっています。その結果、何か色合いや溶け方など調子が合わないことが起きます。

         もちろん、今まで使ってきた(調合してきた)釉薬がこういう変化をしてきたら調合を変更して合わせ直すということをすることになります。長年の経験と知識であれを増やしたりこれを減らしたりで試し焼きををして……になります。結構、面倒な作業です。膨大な経験と知識の裏付けがあっても原料の組成が変わってしまっていたら修正には時間がかかります。

         

         瀬戸窯業高校専攻科時代の釉調合の実習は経験に基づくというより、化学分析表をベースにした化学式、ゼーゲル式を徹底して学ぶというものでした。伝統的な手仕事である陶芸の作家さんが古い仕事場でNaやらCaなどの元素記号のメモを見ながら釉薬を考えているというのは不思議な光景かもしれません。化学分析がされている原料をもとに調合されたテストピースを系統別に比較して一目でわかるように整理しておけば、いざ焼き上がりがずれてきた時も調整する方法というのが分かりやすくなります。原料を他のものに置き換える場合でも、ゼーゲル式が同じ釉になるようにすれば簡単にできます(まあ、分析表に現れない微量な違いがあるのですべて完璧にとはいかないかもですが)。

         経験感覚に頼らないという意味でもゼーゲル式は便利です。私は専攻科で2年間、陶芸の基礎を習ったわけですが、このゼーゲル式とそれに基づく大量のテストピースがなによりの財産になっているように思います(なかなか今の仕事上では生かせる機会がないですが)。

         まあ、ゼーゲル式を使っても釉の調整には試し焼きをしないといけないわけですから、その時間や手間はかかりますがね。

         

         というわけで、今ご注文いただいても2〜3人の作家さんの品物については対応に時間がかかるかも…というお知らせでした。

        | 作る | 00:51 | comments(0) | - |
        瀬戸だより556号「土練機」という話
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          瀬戸蔵ミュージアムに展示されている土練機(真空土練機)

           

           今朝は雪がうっすら積もった瀬戸でした。寒い日が続きます。

           我が家も風邪をひいたり、インフルエンザになったりと、体調を崩しがちになっています。みなさんも体調に気をつけてお過ごしくださいね。

           

           陶芸をされている方にはつらい季節です。氷のように冷えきった粘土。ろくろの横には昔から「かんぶろ」と呼ばれる木の桶が置かれています。かんぶろには昔なら炭を、今なら電気のヒーターを入れるようになっていて、ろくろ作業で水を手につけたり凍てつく手を温めたりしながらものを作ってきました。今でも昔ながらのかんぶろを愛用している作家さん、職人さんは多くいらっしゃいますね。

           実際の陶磁器作りの現場ではろくろの作業以外でも冷たい土を触る作業はもちろんたくさんあります。土を錬る作業は文字通り土に触り続ける作業です。土を錬るというのは、作業しやすい固さ(柔らかさ)に調整する、土全体が同じ固さになるようにする役割があります。さらに一度使用した粘土を再生する際にも錬る作業は必要です。

           陶芸教室に通ったという方なら聞いたことがあると思いますが、菊練りという土の中に含まれる空気を出すための練り方もあります。

           考えると陶芸という作業の多くの部分は土の管理ということに費やされているわけです(しかも冬は冷たい冷たい作業…)。

           陶芸のそういうつらい作業を助けてくれるのが「土練機」というものです。形式はいろいろあったようですが、今普通に見かけるのは大砲ような形でしょうか。大砲の胴の部分の上から粘土を入れると、砲身(筒)の中で金属製の羽で練りあわされ、筒の先から円筒状の粘土が出てくるというものです。さらにこれに真空ポンプをつけた真空土練機というものもあり、土の中の空気を抜く作業(菊練り)まで行ってくれます。

           

           土練機があるなしでは作業の効率が全く違いますね。というか基本的には必須と言ってもいいかもしれません。

           

           小さな電気窯を置いた我が作業場には土練機はありません。どうしても土の管理に手間を取られてしまうわけで、ずっと土練機がほしいと思っていますが、結構高価なわけでなかなか入手できないのが、実はずっと悩みです。

          | 作る | 23:25 | comments(0) | - |
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          このブログの内容は加藤兆之助商店の発行するメールマガジン「瀬戸だより」のバックナンバー(保存版)になります。 文章は発行当時の内容になっています。日付など内容にはご注意ください。記事の全文あるいは一部を無断で転載・複製は禁止します。 http://web-setomono.com
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