瀬戸だより731号「どこか行きたい季節」という話

  • 2020.06.20 Saturday
  • 15:17

 梅雨入りしましたが、今年の梅雨は雨が続いたあとはカラッと晴れて夏の日差し……暑いなあと思ったらまた雨が、というオンオフがはっきりした梅雨のようです。長いステイホーム期間がありましたので、何か今年は季節とカレンダーにずれがあるように感じてしまってます。

 お知らせしたとおり今年のせともの祭は中止となりました。せともの祭、何しろ「密」です。特に花火の時間なんかは濃密です。残念ですが、今年の状況を考えれば仕方ないとは思います。まあ、それでも来年につながる何かを、ということでいろいろ検討されています。時期が来たら、こちらでもお知らせいたします。(今後、今まで同様に気楽に「陶器の法螺貝、吹いてみてねー」みたいなのは無理なんだろうなぁ)

 落ち込みがちな瀬戸の街ですが、こんな時に希望を与えてくれるのが藤井聡太7段になります。瀬戸市の出身(在住)ということで、また最近は瀬戸市内は盛り上がっています。初タイトル、それも最年少でのタイトル獲得に期待がかかります。やっぱり藤井7段、すごい。

パルティせとの藤井7段応援コーナー

 

 

 梅雨と言いながらも、この季節の晴れた日は気持ちいいものです。外出自粛も緩和され、県をまたいでの観光も出来るようになってきました。出掛けたい気分になりますねぇ。

 昔、よく窯元ではこの季節に「今年は山行きはどうするの?」なんて声を聞いたものです。初夏の山は気持ちいいですからね……ということではなく、「山行き」というのは瀬戸では職場の慰安旅行のことです。もともとは瀬戸は山の神信仰があったようです。土も火(を燃やす薪)も山からの恵です。それに感謝するのは当然ですね。そのお参りを兼ねて、窯の仲間でお酒や弁当を持って楽しんできたのでしょう。それが時代を経て、慰安旅行のことを指すように変化したようの思います。

 今は瀬戸も窯元自体が少人数のところが増えてきたり、家族中心の窯元も多いので「慰安旅行」としての山行きも行うところは減ってきているように感じます。楽しく窯元の職人さんたちが山行きに行くのは窯のチームワークを見るようでいい雰囲気で仕事をされているように感じていました。

 

 さあ、私も個人的にどこか山行きしたいところです。こちらは瀬戸周辺の本当の山に登りに行きたいのですがね。

瀬戸だより728号「窯垣っぽく庭を」という話

  • 2020.05.30 Saturday
  • 11:27

 非常事態宣言が全国的に解除されましたが、早くも第2波の心配もされています。せっかくみんなで頑張って取り戻した日常(まだまだ完全ではないですが)、気を引き締めて守っていきたいところです。

 

 ステイホームの期間中、まったく手付かずで何年も放置されていた家の庭の徹底的な改造を行っていました。伸び過ぎた木、何か勝手に生えてきた木を整理して、必要ないものは思い切って伐採、根っこも掘り出すという作業を何日も行ってずいぶんすっきりしました(疲れました)。広い庭ではないのですが、それでも空いたスペースが幾分できました。そこで1坪ほどの家庭菜園など作ることにしました。レンガやブロックで区分けしようと思いましたが、たまたま古い窯で使っていた棚板やツクが手に入りましたので、ちょっと窯垣っぽい仕上げにしました。

 

 棚板というのは窯に製品を詰める時使う横板、ツクというのはその棚板を支える柱になります。現在も棚板、ツクは窯の現場で使っていますが、素材はより耐火性の優れたものになっており薄く軽量なものになっていますが、昔の(薪窯の時代)棚板は5センチはあるかという厚み、ツクも6〜7センチ(昔の2寸と言うことでしょう)の直系の円筒。窯の熱で繰り返し焼かれるものなので、このくらいの厚みがなければ耐えられないということでしょう。とにかく重いです。狭い窯の中でこれらで棚を作り、製品を窯詰めする作業を想像するとそれだけで腰が痛くなりそうです。窯の仕事が今以上に重労働であったことが偲ばれます。


 この棚板やツクやエンゴロ(製品を保護するケースの様な器)の不用になったものを垣根や塀などに再利用したものが瀬戸に多く残る「窯垣」です。板の直線やツクの丸を組み合わせて作られた窯垣の幾何学模様は瀬戸のシンボルともいえます。


 なかなか他の産地では見かけないものと聞きます。瀬戸は製品に使う陶土だけでなく、こうした窯道具に使う耐火性の優れた道具土も豊富に採れました。そのため棚板やツクも傷みすぎる前に交換でき、(形がしっかりしているので)窯垣の材料として再利用できたようです。


 窯垣の多く残る「窯垣の小径」は瀬戸の観光ポイントのひとつです。今はまだ外出を控える状況ですが、また自由に(気兼ねなく)観光できる時期が来たらぜひ窯垣を見に来てください!

瀬戸だより711号「星空を見上げる」という話

  • 2020.02.01 Saturday
  • 15:06

 先週、先々週、2月の瀬戸と東京でのおすすめイベントを紹介しましたが、ついにその2月がスタートです。

 

■テーブルウェア・フェスティバル2020

https://www.tokyo-dome.co.jp/tableware/

 

■第19回 陶のまち 瀬戸のお雛めぐり

http://www.seto-marutto.info/event-post/ohinameguri/

 

 お近くの方、興味のある方は、ぜひお出かけください。

 

 瀬戸は陶磁器の産地ですが、市内でも名古屋に近い地域は新しい住宅が立ち並んだり、大きなマンションが建っていたりとベットタウンになっています(交通の便もいいですし)。その反対側が旧来からの陶磁器の生産の中心になっています。山々に囲まれ、自然の豊かな地域とも言えます。普段、そんな品野や赤津と呼ばれる地域の窯元や作家さんを行ったり来たりというのが私たちの仕事…というわけです。

 赤津地区の方やそこの出身の友だちと話をしていると、「あれ、何か星座や星についてくわしいね」と思うことが度々あります。さりげなく星座のことを話していたり、結構大きな天体望遠鏡を持っていたり…。まあ、個人の趣味や興味のことだと思っていたのですが、たまたま夜に作家さんを訪ねた時、ああそういうことかと納得したことがあります。赤津あたりはとにかく星がきれいに見えるんです、特に今の季節は。

 大きな道が少なく街路灯なども少ない。大きな建物なども少ない。もちろんネオンなども含めて、「光害」と呼ばれるものが極端に少ないのです。特に冬場は星にさしてくわしくない自分にも「わかる星座」があちこちに見えます。瀬戸の中心部の空とは明らかに違います。

 こういう環境に住んでいたら(育ったら)、星空に興味を持たない訳がないだろうと。もちろん、ここから先に進めばもっと家などは少なくなるのでもっと星空はきれいになっていくのでしょう。でも、瀬戸市の中心からちょっと山側に進んだところで、人が住んでいる「町」の上に、これだけの星空があるというのは素敵なことだなと思うのです。

 夜に作家さんを訪ねるということはそうそうあることでもないのです。基本昼間です。たいていは時間的に切羽詰まっていたり(年末の繁忙期)、何かの理由がある時にあります(何かしら困った事態ということもあります)。冬、赤津の(比較的奥の方で)夜空を見上げるのだけはちょっと楽しみにしています。まあ、のんびりという余裕はないのですが…。

瀬戸だより682号「夏休み突入」という話

  • 2019.07.13 Saturday
  • 12:41

 タイトル通り瀬戸の小中学校は昨日が終業式。夏休みに入りました。

 

 瀬戸は暑い街です。とてもとても暑いです、夏は。この地方で夏の暑さと言えば、毎年記録的な暑さを記録する岐阜県の多治見市となりますが、県境を挟んですぐ隣となります。多治見にはアメダスの観測所があり、瀬戸にはありません。正式な比較ができないだけで差はない、日によっては負けていない気さえします。瀬戸にも観測所を置いてほしいといつも思います。ものすごく暑い思いをしているのに、記録が残っていないのはちょっと……いや、かなり悔しい。

 

 という瀬戸ですが、市立の小中学校の教室には冷房がありません(職員室にはありますが)。暑い暑い中で授業は行われています。今年度中の冷房の設置を目指していましたが、夏には間に合わなかったようです。まだ体が暑さに慣れていない今の時期が体力的にはきつい、という判断もあり、今年は全校一斉に夏休みを1週間早くスタートすることに決めたようです。早めたということでその終わりは1週間早くなり8月の終わりには2学期がスタートします。

 なかなかの英断だったと思います。しかし、今年の7月は梅雨空の下とても涼しいわけで……こればかりは予想しようもありませんね。ともかく子どもたちは夏休みスタートです。まあ、高校などは通常通りの日程で夏休みなので、小中学生と高校生がいる家庭では夏休みが都合1週間長いわけで、長い夏休みがさらに長く感じられるかもしれませんね。

 

 来週は岩屋堂も近い品野地区では恒例の品野祇園祭も行われます(20日夜)。そろそろ梅雨明けのニュースが西から聞こえて来るようです。梅雨明けになれば岩屋堂の天然プールもまた賑やかになるでしょうね。瀬戸の(暑い)夏もいよいよ本番です。

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