〜せとものの話をしませんか〜「瀬戸だより」保存版

瀬戸の陶磁器店・加藤兆之助商店が発行しているメールマガジン「瀬戸だより」の保存版です。瀬戸のこと、焼き物のことなど、毎週土曜日お届けしています。
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瀬戸だより630号「市之倉さかづき美術館」という話
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     時々、仕入れなどで多治見方面に出かけることがあります。瀬戸から国道に沿って多治見市に入ると(248号)、市之倉という地区となります。ここに「市之倉さかづき美術館」があります。

     いつも看板を横目に通り過ぎていましたが、先日初めて立ち寄ることができました(いったい何年前を通ってきているのか!?)。

     

     この多治見市市之倉という地域は古くからさかづき(盃)の生産が盛んで明治期には全国の盃生産の大多数占めていた、とのことです。美濃焼の産地、多治見でもかなり中心からは離れた地域ということもあり、少量の土で作ることができ、出荷もしやすいという背景もあったようです。付加価値の高い分野とも言えます。

     

     美術館の展示も小さな美しい盃がたくさん並んでいます。美術館展示室は比較的小さいのですが、展示される「品」も小さなものですから、点数も多く密度の濃い展示です。

     料亭など宴席で手に取り眺める「器」ですので、細かな装飾や模様を施すことができます。他の料理の器とは違った距離感での鑑賞を作り手も意識せざるを得ない…そのことに気が付きます。

     時代に沿った展示、他産地の盃の展示も含めて、様々な盃が並びます。その中で兵隊盃というものがありました。戦中に戦意高揚のためや除隊の記念、師団などの様々な記念に作られたという盃です。その記念を示す文字のほか、日の丸や戦車など、人物の写真、様々な時代を感じる絵柄があります。その盃を見ているとその戦争の時代に生きた様々な人の思いが伝わってくるようです。

     

     ここの美術館は盃の展示だけではなく2階は巨匠館として地元にゆかりの人間国宝や巨匠の作品が常設で展示されています。加藤 土師萌・五代 加藤 幸兵衛・荒川 豊蔵・加藤 唐九郎・塚本 快示・加藤 卓男・鈴木 蔵・加藤 孝造の8名の作家の茶碗などの展示は狭い空間の中で圧倒的な迫力を感じます。

     

     展示室を上回るほどの面積のあるミュージアムショップでは今作られている器の数々が手に取って見ることができ、これはまた別の刺激を与えてくれます。

     

     いつも前を通り過ぎていたことが悔やまれる美術館でした。

     

    ■市之倉さかづき美術館

    http://www.sakazuki.or.jp/

     

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