〜せとものの話をしませんか〜「瀬戸だより」保存版

瀬戸の陶磁器店・加藤兆之助商店が発行しているメールマガジン「瀬戸だより」の保存版です。瀬戸のこと、焼き物のことなど、毎週土曜日お届けしています。
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瀬戸だより614号「釉の調整」という話
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     ここのところ、何人かの作家さんから釉薬の調子が変わってしまったという連絡を受けました。こういうことは時々あります。

     長年、同じ釉薬を使い続けていたり、得意とする釉薬でも調子が何かおかしいという……原因は何でしょう?窯の故障などで還元酸化のコントロールがおかしくなったということも考えられますが、最近多いのは土や釉の原料が変わってしまったということじゃないかと思います。土などは天然の原料、大地から掘り出し精製して使うわけですが、昔から掘り出している鉱山はより良質なところから堀つくしていくわけで、時代が過ぎれば質が変わっていくことも想像がつきます。釉の原料もまた同様で、土地土地で特色ある原料が採収されていたものがやはりそこが枯渇して別の土地のものに変わったり別の原料で代用しなきゃいけないことが多くなっています。その結果、何か色合いや溶け方など調子が合わないことが起きます。

     もちろん、今まで使ってきた(調合してきた)釉薬がこういう変化をしてきたら調合を変更して合わせ直すということをすることになります。長年の経験と知識であれを増やしたりこれを減らしたりで試し焼きををして……になります。結構、面倒な作業です。膨大な経験と知識の裏付けがあっても原料の組成が変わってしまっていたら修正には時間がかかります。

     

     瀬戸窯業高校専攻科時代の釉調合の実習は経験に基づくというより、化学分析表をベースにした化学式、ゼーゲル式を徹底して学ぶというものでした。伝統的な手仕事である陶芸の作家さんが古い仕事場でNaやらCaなどの元素記号のメモを見ながら釉薬を考えているというのは不思議な光景かもしれません。化学分析がされている原料をもとに調合されたテストピースを系統別に比較して一目でわかるように整理しておけば、いざ焼き上がりがずれてきた時も調整する方法というのが分かりやすくなります。原料を他のものに置き換える場合でも、ゼーゲル式が同じ釉になるようにすれば簡単にできます(まあ、分析表に現れない微量な違いがあるのですべて完璧にとはいかないかもですが)。

     経験感覚に頼らないという意味でもゼーゲル式は便利です。私は専攻科で2年間、陶芸の基礎を習ったわけですが、このゼーゲル式とそれに基づく大量のテストピースがなによりの財産になっているように思います(なかなか今の仕事上では生かせる機会がないですが)。

     まあ、ゼーゲル式を使っても釉の調整には試し焼きをしないといけないわけですから、その時間や手間はかかりますがね。

     

     というわけで、今ご注文いただいても2〜3人の作家さんの品物については対応に時間がかかるかも…というお知らせでした。

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