〜せとものの話をしませんか〜「瀬戸だより」保存版

瀬戸の陶磁器店・加藤兆之助商店が発行しているメールマガジン「瀬戸だより」の保存版です。瀬戸のこと、焼き物のことなど、毎週土曜日お届けしています。
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644号「織部を考える」という話
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    ある料理屋さんの織部の器。形の自由さがわかります。

     

     今年は例年より秋の到来が早い気がします。朝晩一枚余分に羽織るものが欲しくなります。そんな季節になると織部の器が気になりだします。

     

     グリーンの織部。茶事などでは冬の器としてのイメージが強いようです。まあ、季節に関係なく様々な用途で使われるのが織部釉の器ですが、冬にそれを手に取ってみたくなるのは冬枯れの山野を前に、夏の深い緑を懐かしむような感傷的な気分からでしょうか。

     織部という名は戦国から江戸時代の極初期に活躍した戦国大名であり、天下の茶人だった古田織部に由来します。その後の茶道の世界だけでなく、日本の価値観や美意識に最も大きな影響を与えた人物と思います。
     今は緑色の銅釉を織部と言いますが、もともとは織部好みの器をまとめて織部と呼んでいたようで、志野でも黄瀬戸でも「織部の器」だったわけです。その中でも(織部好みとして)最も印象的な緑釉は青織部と呼ばれていましたが、時代が下がるとその釉の呼び名が織部となっていったようです。古田織部自身の最期が家康により切腹を命じられた関係で資料なども処分され謎も多いのですが、近年になり織部自身が器の製造にも具体的指示を出していた資料も見つかっているようです。

     

     織部は色のみでなく、器の形自体も自由でユニークです。様々な形で歪みや切れまでもその魅力にしてしまう……実に不思議な器です。
     織部釉一色の施釉のみでなく、白釉と掛分けられ、そこに描かれる文様も織部の魅力です。それまでの陶器のデザインで見られなかったような幾何学的な不思議な文様。
     今週、織部茶碗のデザインを考える機会があり、織部の様々な画像や写真をあらためて見直したのですが、実に面白い。一体何からこのパターンを思いついたのか?

     

     今も瀬戸焼、美濃焼として代表的な釉薬で人気もある織部。織部の器の魅力というのは単に緑の色というだけでなく、形やデザインを含めて作り手の発想の自由さや考え方を試されるような器じゃないかと思います。古田織部の美意識を400年を経てなぞってみる、あるいは全く別の発想を試してみるなど、自由な器であることは間違いないように感じます(しかし、400年前の「織部の器」を見ても全く古さを感じないのは驚異です!)。

    | せともの | 21:47 | comments(0) | - |









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