〜せとものの話をしませんか〜「瀬戸だより」保存版

瀬戸の陶磁器店・加藤兆之助商店が発行しているメールマガジン「瀬戸だより」の保存版です。瀬戸のこと、焼き物のことなど、毎週土曜日お届けしています。
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瀬戸だより705号「3人の巨匠」という話
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     サンタクロースが出発のカウントダウンを始めようかという頃になりました。

     当店もどうやら年末の忙しいシーズンも終わりになってきたようで、ちょっとほっとしています。10月からずっと気になっていた展示をやっと見に行くことが出来ました。

     

    ■小森忍・河井郤]此濱田庄司 −陶磁器研究とそれぞれの開花−(瀬戸市美術館)

    http://www.seto-cul.jp/information/index.php?s=1569032106

     

     明日12月22日までの展示期間になるのですが(またギリギリです…)、なかなか内容の濃い展示でした。なにしろこの3人の巨匠の展示ですから面白くないわけはありません。

     大陸で、瀬戸で、最後は北海道で窯を開き中国陶磁の研究に邁進した小森忍。民藝運動に参加し独特の作風に到達した河井寛次郎と益子で民藝を追求した浜田庄司。「陶磁器界の三天才」と呼ばれた3人。戦前戦後を通じて文字通り日本の陶芸の発展の中心にいた3人。

     共通する点は3名が同時期に京都市陶磁器試験場において釉薬の研究を突き詰めていたことになります。そこは明治の開国以降、海外に向けた陶磁器生産の需要が伸びる中、近代的な窯業技術(あらゆる点において)の近代化を進めるために造られた試験場でした。その時代にあらゆる釉の知識・技術を身に着け、その後それぞれの作風の発展させていく様子がわかりやすく時代に沿って展示されています。晩年の中国古陶磁、民藝とそれは続いていきますが、その釉薬の技術は自在に作風を展開していく上で大きな要素だったのは言うまでもありません。

     

     陶芸の技術というと一般にはろくろの技術だったり、窯の焼成だったりが目立ちますが、個人的には「釉」というものが重要な知識・技術という気がします。もちろん現代では完成された釉薬として気軽に購入することもできます。調合の割合も情報として手に入れて調合することも可能です。しかし、作家が自分自身の「釉」を見つけ、安定させ発展させていくには、科学的・近代的な知識に裏打ちされたテスト(膨大なテストピース)を繰り返すことが必ず必要です。器の形というのはある程度決まったスタイルというのがあります。人の手の大きさや、食文化というのが大きく変わらない限りは器形や大きな変化はないでしょう。その中で作家が独特な作風を展開していくスペースが最も広く残されているのは釉(などの装飾)ではないかと思います。釉を自在に扱える作家はそれだけで魅力を感じてしまいます。

     この3人の巨匠をの作品(とその作風の展開)を見ていると、釉の魅力というものを感じざるを得ません。

     

     今回また、見るたびにため息が出る大好きな小森忍作の「辰砂長頸瓶」を見ることが出来たのが、今年の展示鑑賞の締めになりました。窯の雰囲気の変化を計算して2色に分かれたこの小さくシンプルな花瓶は本当に不思議で魅力的です。どこかで見る機会があればぜひ見ることをお勧めします。

     

     来週は今年最後の「瀬戸だより」になります。年末の忙しい(そして冷え込む)時季です。お気をつけてお過ごしください。

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