〜せとものの話をしませんか〜「瀬戸だより」保存版

瀬戸の陶磁器店・加藤兆之助商店が発行しているメールマガジン「瀬戸だより」の保存版です。瀬戸のこと、焼き物のことなど、毎週土曜日お届けしています。
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瀬戸だより700号「織部とクエン酸」という話
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     「瀬戸だより」。みなさんの応援で今日で700号になりました!

     個人が書いているメールマガジンですので、なかなか伝えたいことがある時ない時、皆さんの興味があるものないもの、時々によりいろいろですが、これからもよろしくお願いいたします。

     

     

     年末が近づくにつれ、干支の置物や御題茶碗の時期になって来ています。サンプルが遅れている作家さんもまだまだいらっしゃって(もう!!)、思うように進まずイライラは毎年のことです。例年の干支は「子」、御題は「望」となっています。

     

     諸事情から今週は織部の置物を当店の窯で焼いております。うちには小さな電気窯があります。その窯のメーカーさんの電気窯としては一番小型のものだったと思います。それでも自作の何かを焼くには丁度いいサイズではあります。たぶん趣味の陶芸の窯を欲しいという方にはちょうどいいくらいの大きさと思います。とは言っても今回のような量では回数を重ねて対応するしかなく、2日おきに4回の焼成(今4回目が740度を超えたあたりです)を行っています。何かにつれ、この小さな窯であっても助けられることしばしばです。

     

     以前にも書いたことがありますが、織部は窯から出たそのまま完成とは行きません。窯出し直後の織部は表面に酸化被膜があり、光を当たると油膜のような輝きを見せています。それを除去する作業が必要となります。

     昔からの(伝統的な)方法は栃シブを使う(うちも基本的にはこれです)やり方になります。栃のドングリを集めて、そのハカマの部分を水に浸けます。それで出来た真っ黒な水に織部の器などを浸けるわけです。夏場なら1晩から1昼夜というところでしょうか。この方法のメリットはシブが表面の貫入(釉薬のひび割れ)に入り込み独特の風情が出てきます。織部以外でも黄瀬戸や灰志野の貫入のシブ入れというのもこの栃渋で行います(もちろん墨を使ったりと他の方法もあるんでしょうが)。

     他には塩酸を使う方法もあります。貫入にはシブは入りませんが、時間はかかりません。問題は塩酸の入手が簡単ではない、扱うのも危険、しっかりとした水洗いが必要など。最近は入手がなかなか大変とも聞きます。

     

     さて、今週は織部の焼き上がりとともにその栃シブ作業を行っているのですが、冷え込むようになったこの季節では水温が低くなかなかその効果が上がってきません。窯元などではその対策で水中に投げ入れるようなヒーターを使ったりされているようです。うちにはヒーターなどはありません。では、お湯を入れて温かくするというのも、どんどん薄めていくことになりますのでそれも出来ません。塩酸ならその時その時でお湯で希釈することになりますので、調整できそうですが急いで入手するのも大変そうです。

     そこでちょっと調べたら「クエン酸」というのが候補に上がってきました。クエン酸。食品にも使われるすっぱいやつです。口に入れられるくらいですので安全です。どこで買えるんだということですが、一番手軽なの百均です。ダイソーの掃除用洗剤のコーナー。酸性の洗剤としても使われるんですね。そこで売っているクエン酸一袋でバケツ2杯分くらいの温水(かなり熱い)に溶かして、織部を浸けてみました。効果十分、数時間で酸化被膜はとることが出来ました。まあ、外で作業していますのであっという間に水温は下がってしまうことを考えればもっと短時間でも大丈夫でしょう。栃シブと違い透明な液ですので、変化も観察しやすいとも言えます。

     コストと安全性、そして何より手軽さを考えると、これからは栃シブとクエン酸の併用で織部の処理はいこうと思った次第です。

     

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