先週お伝えした通り、お雛めぐりはスタートしています。いつもの年なら、お祭りを華やかに演出する飾りつけもいっぱいですが、今年は控えめな感じです。まあ、それは仕方ない。何しろ緊急事態宣言発出中であります。それでも市内あちこちにひなの飾りつけは見られ、春らしさを感じます(まだ寒いけど)。
■第20回陶のまち瀬戸のお雛めぐり
http://www.seto-marutto.info/event-post/ohinameguri/
その雛めぐりのひなミッドも置かれてる瀬戸蔵で開催中の企画展「瀬戸の青磁−その始まりと展開−」を見てきました。瀬戸蔵ミュージアム内のこの企画展示スペース、狭いです。狭く展示点数も限られる代わりに小まめなこうした企画展が行われるのが個人的には気に入っています。大きな展示は展示点数も必要だったり、なかなか企画を進めるのもたいへんだろうと想像できますが、この規模なら「ちょっと気になる展示」には向いています。
瀬戸の青磁。瀬戸は陶器と磁器の両方を生産できる稀有な産地というのはこの瀬戸だよりでも繰り返して話してきました。磁器は染付に代表されますが、もちろん青磁も磁器であり、九州からその技法が磁祖・民吉により瀬戸に伝えられたのち(早い段階で)生産がスタートしています。
青磁というと、中国の銘品として伝来している文化財クラスのものもたくさんありますし、今も韓国の焼き物の代表格でお土産に買ってきたという経験がある方もいるでしょう。そういうものを見ていると感じるのは、一言で「青磁」と言っても千差万別、色合いも表現方法も様々です。鉄を含む釉である…これが青磁ですが、水色だったり薄い緑だったり様々な発色です。釉に厚みを持たせることでその色合いの深みを出したり(そういう生産過程も展示解説されている)、素地自体の性質で色合いも違ったりします。もちろん還元焼成の雰囲気も影響します。私が瀬戸窯業高校専攻科で学んでいたころの恩師は青磁を研究されていて「青磁には手を出すなよ、やり始めると奥が深くてたいへんだ」と話されていました。様々な要素の組み合わせであの魅力的な翡翠のような色が完成していると思うとより感慨深く感じます。実に奥深い釉です。
瀬戸の青磁ですが、今回の展示でも器や花器などだけでなく建材やトイレ(!)などまでも紹介されています。用途が幅広いのも瀬戸の特徴です。雛めぐりの見学といっしょにこの展示も楽しむのもおすすめです。(4月18日まで、瀬戸蔵ミュージアム)
ここ数日、瀬戸も雪がちらつく寒い日が続いていますが、今日から瀬戸では「陶のまち瀬戸のお雛めぐり」が始まりました。今回で20回目。瀬戸の春の始まりを告げるイベントになっています(3月7日まで)。
コロナ対策、緊急事態宣言……いろいろなイベントが中止、延期、縮小されていますが、いつも通りにお雛めぐりは開催されるようです。先日も市の中心にある瀬戸蔵に行ってきましたが、1000体もの創作ひなを展示する高さ4メートルの「ひなミッド」の準備が行われていました。
■第20回陶のまち瀬戸のお雛めぐり
http://www.seto-marutto.info/event-post/ohinameguri/
まあ、基本的には「密」にはならないイベントですので安心でしょう。(「密にならないイベント」とかいうとなんか失礼な言い方に聞こえますけど)どこかに多くの人が集中してしまうということはなく、街中の商店街の店先や各ポイントポイントでひな人形などの展示を見ながらの散策が中心になりますから密にはなることはないだろうということですね。会場周辺の飲食店では例年通りにお雛めぐりにちなんだ特別なメニューを用意されていますし、お雛はしおきプレゼントも準備されています。
展示のほかにも様々な体験イベントも要視されています。上記のホームページ内のチラシを見て確認して楽しみましょう。……とはいうものの、ひなミッドの観覧時間が午後8時までになっていたりと、変更点があっても不思議ではない現状ですので、それぞれの問い合わせ先に確認した方が安心かもですね。
このイベントが始まると、瀬戸も少しずつ春らしさを感じるようになる……春が来て、コロナが落ち着いて、安心できる日が早く来るといいですね。
このステイホームの時期だから、もう一度せともの・瀬戸について考えてみようと先週から書いています。先週書いたのは「瀬戸は名古屋の隣で、海はない」という場所の説明でした。
瀬戸は六古窯のひとつになっているように、千年以上の歴史を持つ焼き物の産地です。土の特徴は白くきめ細かなことです。鉄分が多く含まれたりして、焼いたときに独特な風合いを醸し出すというような土ではありません。土味を味わうという点では物足りなさがあるでしょうか。しかし、白く細かな土というのは様々な陶器はもちろん、アレンジ次第では磁器の土にもなります。結果、食器だけでなく配電に使う碍子(電線についているようなやつ)や便器などの衛生陶器など様々な工業製品も生みだしてきました。そういう部分では安っぽさを感じがちな土かもしれません。実際にせともの作りに携わる人の中にも瀬戸の土を何でも作れる「器用貧乏」なイメージを持っている方もいるようで……。うーん、ちょっと残念。
白いことが瀬戸の土の特徴。だからこそ発展してきたのが「釉薬」です。様々な釉薬が白い素地の上に掛けられてきました。瀬戸七釉とか赤津七釉とか言われることがあるように、織部や黄瀬戸や志野や古瀬戸や……実に色とりどり(日本で釉薬を器に掛けて焼いた施釉陶器も瀬戸が始まり)!さらに呉須絵や鉄絵など様々な文様が描かれてきました。自由な表現を支えるすばらしいキャンバスとしての素質はどこの土よりも優れていると思います。最近人気の「練り込みの技法」(色付けされた土を組み合わせることで様々な文様を作る技法)なども土が白いからこそできる多彩な表現のひとつと思います。
その白い良質な土が豊富にある産地、それが瀬戸です。
来週は、春は近くに来ているか「雛めぐり」の話です(予定)。
]]> 非常事態宣言の中、なかなかモノの動きも悪いようで、忙しく作家さんや窯元さんを行ったり来たりということも少なくなったようです。また、美術館やギャラリーにいそいそと出かけるという気分にもなりません。毎週このメールマガジンのネタを探すのもたいへんです。振り返るとなんだかんだと15年も続いているわけで、新しい話というものが見つかりにくいというのも当然と言えば当然ですね。
たぶん、この「瀬戸だより」スタート時からずっと読んでいただいているという方もさほど多くないのじゃないかと……。最初にせともののことについて基本的なところを書いていましたが、今15年たって再度そのあたりを書き直してみるのも面白いかなぁと思い立ちました。15年前と同じことを書いても、(当然だけど)見方や思いが変化していますし、知識や経験も(たぶん)積み重ねられている(はず)です。ということで、このコロナ禍のステイホームを活かしてせともののことなど1からまたぼちぼち書いていこうと思います。よろしくお願いします。
そもそもですが、瀬戸ってどこにあるかご存知ですか?
まあ、瀬戸やその周辺に住んでいる方なら当然わかっているわけですが、意外とそのあたりが知られていないこともあります。学生時代に東京で出身地を話す時、瀬戸って答えると……「四国?」とか「広島の方?」とか瀬戸内イメージに引っ張られている方が結構多いことに驚きました。まあ、そんなものかな。
もちろん、せとものの瀬戸市は愛知県にあります。名古屋市ともちょっと接しています。北に行けばすぐ岐阜県境で美濃焼の産地(多治見とかね)に入ります。南に行けば自動車産業の中心豊田市。そこそこ便利な土地です。冬は雪は少ないかわりに夏はこれでもかというほど暑いです。あ、はっきりしておかなきゃいけませんが「海はありません」。
瀬戸という地名も、昔は陶器を作る場所「すえと(陶処)」がなまって「せと」になり、「瀬戸」の字があてられたという説があります。それだけ古い時代から陶器を作っていた土地なんです。瀬戸内海とは全く無縁です。
瀬戸は「愛知県にあって海はない陶磁器の産地」。瀬戸の知識の初歩中の初歩です。
新たらしい年はスタートしましたが、「緊急事態宣言」もあり重い気持ちになりますね。今後、愛知県も発出の可能性は高いようです。
成人式の中止・延期がニュースになっています。瀬戸市内の成人式は行うと発表がありました。もともと瀬戸市の成人式は一カ所で行う形ではなく、地域(小学校区に近い)ごとに公民館で行っています。新成人も小学校の卒業生が集まるという(比較的少人数な)同窓会的な雰囲気で、うちの地域では小中学校の恩師がゲストに来ていただくようなアットホームなものです。
今回は公民館よりずっと大きい小学校などの体育館などの会場に、来賓の制限をかけて、ごく短時間で行うなどの感染対策をしっかり行っての式典に。あとは「会食」を我慢して家に帰る……そんな成人式になるようです。
そう言えば、来週は宮中の「歌会始の儀」が予定されていましたが、こちらは先日延期が発表されています。「瀬戸だより」でもよく話題にする歌会始。御題(テーマ)にちなんで製作する御題茶碗に関係するために注目しているのですが、それ以上に古式に則って発表される多くの入選された歌を聴くことも楽しみにしています。
昨年は最初に発表された高校生の歌にジーンときてしまいました。今年の入選も最年少は高校生と発表されています。若い人の歌にいつも注目しています。
歌会始が延期後いつ行われるかはわからないようですが、楽しみに待ちます。
2021年がスタートしました!本年もよろしくお願いいたします。
本来なら昨日が今年最初の土曜日で「瀬戸だより」の配信だったわけですが、正月明けてのんびりしてしまい今日日曜の配信になります。今年もそんな調子でのんびりスタートですが、また一年よろしくお願いいたします。
寒波が来ると言われていた年末年始ですが、雪などのトラブルもなく穏やかな年の始まりとなりました。とは言うものの、どこかしこに(年は替わっても)コロナの影というか不安が付きまとっているのは変わりません。瀬戸市内の深川神社も(個人としては喪中なので参拝には行っていませんが)例年よりずっと人出がないように見えました。近所の神社も近くを通っても静かなようでした。
今年はどうなるんだろう?いつまで続くのか?オリンピックはどうなる?……というのが最近の会話になっていますが、いい方に変わっていくことを信じています。昨年は中止になってしまったせともの祭などで皆さんとお会いできると信じて、今しばらくは耐えましょう!がんばりましょう!
昨年はイベントの中止はもちろん、美術館の展示なども減った関係でこのメールマガジンでお届けできる話題自体が少なかったです。今年はあらためてせとものを楽しむという原点に戻って、様々な話題を配信していきたいと思います。
今年もよろしくお願いいたします!
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今年最後の「瀬戸だより」の配信になります。
まずは先週は急にお休みをいただきました。ホームページなどではお知らせいたしましたが、体調不良でした。体調不良と言っても、味覚異常とか高熱が続くという、「アレ」ではございません(安心ください)。先月あたりから「めまい」が続いており、耳鼻科で「良性」のものと診断されたものの(良性なんて言うけど、脳や心臓から来るものではなくその点では安心ということのようで、つらいことは十分つらい…)、さらにいただいた薬が合わなかったようでめまい+吐き気で全く動けなかったということです。今までこんなことはなかったのですが、まあ年齢を重ねて来るといろいろ出て来るようです。今はかなり回復してきて、日常生活は問題なくできるようになりました。ご心配、ご迷惑をおかけした皆様、すいませんでした!
最終最後の体調不良でしたが、なんとかご注文いただいた商品は無事すべてのお客様のもとにお届けすることが出来ました。ここ数日で支払い等も順調に済んできており、ほっとしています。一年、無事に暮れていくようです。
この一年を振り返れば、コロナの影響大(これは誰もがいっしょでしょうね)でした。瀬戸も春の「陶祖まつり」、秋の「せともの祭」と「招き猫まつり」と軒並みイベントは中止になってしまいました。全くさみしいものです。
新型コロナウイルスの感染者も瀬戸市内でも12月にはいり、一日平均3名以上という新規感染者が発表されるなど厳しい状況が続いています。おかげさまで自分の周辺ではまだ感染されたという方はいないようですが、油断はできません。皆さまも十分にお気をつけて年末年始をお過ごしください。
瀬戸市でこの一年、明るい話題と言えば将棋の藤井聡太二冠の大活躍となるでしょう。対局ごとに瀬戸市内の応援スポットでたくさんの市民が応援する風景はテレビのニュースなどではよく流されていました。ご覧になった方も多いのではないでしょうか。コロナ感染予防のため、大人数での応援というのは最近は減って来たような感ですが、それでも街中のモニター前などでは対局を足を止めているファンも今もいらっしゃいますね。いよいよ藤井二冠も来春は高校卒業。さらに将棋に邁進されるのではないでしょうか。期待しています。
まあ今年は、コロナコロナでいったい何だったかわからない一年でした。来年は安心して暮らせる年になりますように!元気に過ごせる年になりますように!心よりお祈りして、今年の「瀬戸だより」を締めくくらせていただきます!よいお年をお迎えください!ありがとうございました。
この一年はコロナだ、イベント中止だ、なんだかんだと、仕事ということでは例年以上にヒマな年になりました。多くの業界でも同じような感じかもしれません。中には事業の存続すら考えている、という話も聞くことあります。
それでもこの時期だけは(本当にこの時期のみ!)忙しくさせていただきます。まあ、短い時期ですが。
一昨日は今年初めて「それではよいお年をお迎えください」というご挨拶をしました。そんな頃になったとびっくりしました。昨日はたまたま前を走るトラックがたくさんの太い青竹を山のように積んでいました………あっ!門松か!!いつもより年の瀬を感じることが多いように感じます。なんとなく例年よりクリスマスが自粛なのか一足飛びに新年がやってくるようです。そういえば、個人的には忘年会の予定なしです。
そんな年の瀬に届いた瀬戸市の広報誌ですが、例年4月の陶祖まつりの出店募集がありました。出店募集と言っても若手を対象にしたものですが。今年は同様なイベントも中止になっていましたから、来年は今年の分まで取り返していただきたいと思います。
■瀬戸市広報
http://www.city.seto.aichi.jp/docs/2020121000091/
結構、市が企画するイベントなどを見ていると「若手」を対象にしたものが多いように思います。次代のものづくりを担ってくれる人たちを育てたい、支援したいという気持ちは伝わってきます。
個人的には今までの瀬戸を作ってきたベテランの作り手と若手がそろって何かを行うということがより魅力的じゃないかとも思います。瀬戸という土地の伝統というか空気というかそういうものをより伝えていけるのじゃないかと思います。古い時代のせともの作りの話というのも、若手に役に立つと思います(場合によってはうっとしく感じることもあるかもしれませんが)。
弟子入りして独立して、という時代じゃなくなってきている今はそういう機会もなくなってきていますしね。
お知らせしたとおり今年のせともの祭は中止となりました。せともの祭、何しろ「密」です。特に花火の時間なんかは濃密です。残念ですが、今年の状況を考えれば仕方ないとは思います。まあ、それでも来年につながる何かを、ということでいろいろ検討されています。時期が来たら、こちらでもお知らせいたします。(今後、今まで同様に気楽に「陶器の法螺貝、吹いてみてねー」みたいなのは無理なんだろうなぁ)
落ち込みがちな瀬戸の街ですが、こんな時に希望を与えてくれるのが藤井聡太7段になります。瀬戸市の出身(在住)ということで、また最近は瀬戸市内は盛り上がっています。初タイトル、それも最年少でのタイトル獲得に期待がかかります。やっぱり藤井7段、すごい。
梅雨と言いながらも、この季節の晴れた日は気持ちいいものです。外出自粛も緩和され、県をまたいでの観光も出来るようになってきました。出掛けたい気分になりますねぇ。
昔、よく窯元ではこの季節に「今年は山行きはどうするの?」なんて声を聞いたものです。初夏の山は気持ちいいですからね……ということではなく、「山行き」というのは瀬戸では職場の慰安旅行のことです。もともとは瀬戸は山の神信仰があったようです。土も火(を燃やす薪)も山からの恵です。それに感謝するのは当然ですね。そのお参りを兼ねて、窯の仲間でお酒や弁当を持って楽しんできたのでしょう。それが時代を経て、慰安旅行のことを指すように変化したようの思います。
今は瀬戸も窯元自体が少人数のところが増えてきたり、家族中心の窯元も多いので「慰安旅行」としての山行きも行うところは減ってきているように感じます。楽しく窯元の職人さんたちが山行きに行くのは窯のチームワークを見るようでいい雰囲気で仕事をされているように感じていました。
さあ、私も個人的にどこか山行きしたいところです。こちらは瀬戸周辺の本当の山に登りに行きたいのですがね。
]]>たまたま今回1984年に講談社から復刻されたものを入手できました。内容はもとより、体裁も活字も変えることなく復刻されたものです。旧時代の活字は慣れるまでちょっと読みにくかったですね。
内容は「黄瀬戸」の変遷を時代と場所をたどりながら読み解いていくものになっています。これは加藤唐九郎自身による窯跡の発掘などのフィールドワークと大量の古文書の研究に裏打ちされた内容です。今となっては郷土史(焼物史)的には常識になっていることが多いのですが(これは唐九郎氏の研究の正しさを物語る)当時の定説とは異なる画期的(衝撃的?)なものだったはずです。
猿投周辺で焼かれ始めた施釉陶器が山伝いに瀬戸へ、そして美濃へと移動していくさまがフィールドワークの成果とともに活き活きと描かれています。当時の窖窯はその構造上、山の尾根や頂上付近に作られ、土や燃料が尽きると移動していく。施釉陶器の技術の広がりも山の尾根をまた同じように移動していきます。やがて国境を超え美濃に達し、窯の技術革新により山から里に降りてくる……それは黄瀬戸のスタイル(釉調)の変化を伴いながら移動していきます。氏が作家であると同時に優れた「研究家」であった事がよくわかります。
焚書騒ぎはこの本の内容に怒った瀬戸の人(一部の人であったようですが)によりおきました。瀬戸の人にとっては偉人であった陶祖・藤四郎の存在を否定し、いたとしても「山窩の親分」だったかもという書き方をしています。窯跡の陶片を調べていけば、陶祖の時代より前から施釉陶器は作られており、陶祖が中国から持ち帰って起きたであろう「技術革新」の展開がわからない、ということを考えれば、氏の説は正しいとは思います(山窩かはともかくにしろ)。
焚書騒ぎまでに発展したのはそれ相応の原因はあったと考えます。明治以降、特にこの昭和になる頃には瀬戸の陶磁器作りの流れが量産へと大きく変化していっています。唐九郎氏などの従来の焼物作りとは異なる価値観の生産(大量量産)が時代の中心になってきていたわけです。そのあたりのこともあるためか、結構この「黄瀬戸」の中でもトゲのある表現で当時の”工人”を批判している部分もあります。
また、輸出などを含めて伸びてきた瀬戸の陶磁器産業が世界恐慌のため、急ブレーキがかかった時代でもあります(大量の在庫を抱え、その処理と給料の支払いのため「せともの祭の廉売市」が始まったのもこの前年です)。人々のストレスや不満がこの本の内容に対して一気に吹き出したのかもしれません。
しかし、そもそもこの本は今で言う「大炎上」になりそうな表現を感じます……そりゃ、怒るだろうと。案外、唐九郎氏は古陶器の再興のため、注目を集めるためにあえてそこを狙ってそういう書き方をしたのかもしれませんね。
※アマゾンでも復刻版の古書は入手できるようです。
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今週、9月に予定されていた「せともの祭」と「来る福招き猫まつりin瀬戸」の中止が発表されました。特にせともの祭は毎年当店も出店することもあり、たいへん残念に思います。
延期しての開催なども期待していましたが、コロナ禍のこの状況の中では今年は仕方ありません。神事のみは行われるようです。1937年にせともの祭は始まり、終戦を挟んで1944年と45年は中止されたと記録にあります。それ以外は毎年行われてきた歴史がありますので、今回のコロナ禍はいかに大きな影響を各方面に与えてきているかをあらためて知らされる思いです。
楽しみにされていたお客様も多いと思います。何か来年につながることを行いたいと、今後アイデアを出し合っていくことになると思います。どんな事ができるかわかりませんが、その点はお楽しみにしていてください。
そして来年のせともの祭ではまた廉売市会場で皆さんとお会いできるのを楽しみにしています。
招き猫祭りもファン(リピーター)の多いイベントですのでさみしく思われる方も多いでしょう。今年は9月の瀬戸の2大イベントが揃って中止になってしまいました。残念。
それでも瀬戸には今週明るいニュースもありました。瀬戸出身の藤井聡太7段が史上最年少でのタイトル挑戦(棋聖戦)を決めました。もう瀬戸の明るいニュースというと彼の話題に尽きるような気さえします。五番勝負は厳しい対戦になると思いますが、ぜひ「史上最年少のタイトル獲得」も決めてほしいと思います!がんばれ!!
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ステイホームの期間中、まったく手付かずで何年も放置されていた家の庭の徹底的な改造を行っていました。伸び過ぎた木、何か勝手に生えてきた木を整理して、必要ないものは思い切って伐採、根っこも掘り出すという作業を何日も行ってずいぶんすっきりしました(疲れました)。広い庭ではないのですが、それでも空いたスペースが幾分できました。そこで1坪ほどの家庭菜園など作ることにしました。レンガやブロックで区分けしようと思いましたが、たまたま古い窯で使っていた棚板やツクが手に入りましたので、ちょっと窯垣っぽい仕上げにしました。
棚板というのは窯に製品を詰める時使う横板、ツクというのはその棚板を支える柱になります。現在も棚板、ツクは窯の現場で使っていますが、素材はより耐火性の優れたものになっており薄く軽量なものになっていますが、昔の(薪窯の時代)棚板は5センチはあるかという厚み、ツクも6〜7センチ(昔の2寸と言うことでしょう)の直系の円筒。窯の熱で繰り返し焼かれるものなので、このくらいの厚みがなければ耐えられないということでしょう。とにかく重いです。狭い窯の中でこれらで棚を作り、製品を窯詰めする作業を想像するとそれだけで腰が痛くなりそうです。窯の仕事が今以上に重労働であったことが偲ばれます。
この棚板やツクやエンゴロ(製品を保護するケースの様な器)の不用になったものを垣根や塀などに再利用したものが瀬戸に多く残る「窯垣」です。板の直線やツクの丸を組み合わせて作られた窯垣の幾何学模様は瀬戸のシンボルともいえます。
なかなか他の産地では見かけないものと聞きます。瀬戸は製品に使う陶土だけでなく、こうした窯道具に使う耐火性の優れた道具土も豊富に採れました。そのため棚板やツクも傷みすぎる前に交換でき、(形がしっかりしているので)窯垣の材料として再利用できたようです。
窯垣の多く残る「窯垣の小径」は瀬戸の観光ポイントのひとつです。今はまだ外出を控える状況ですが、また自由に(気兼ねなく)観光できる時期が来たらぜひ窯垣を見に来てください!
解除された瀬戸の街ですが、市内の公共施設は今月いっぱいは休業が多いようです。瀬戸市美術館も瀬戸蔵も6月から再開になっているようです。しかし、市内にあっても県立の愛知陶磁美術館はもうすでに再開されています。ということで、久しぶりに美術館に出かけてきました。
開催中の企画展は「異才 辻晉堂の陶彫 ―陶芸であらざるの造形から―」。当初は5月31日までの会期でしたが、コロナ休館の関係で6月21日まで延長されています。
■「異才 辻晉堂の陶彫 ―陶芸であらざるの造形から―」
https://www.pref.aichi.jp/touji/exhibition/2020/t_tsuji/index.html
辻晉堂は日本を代表する彫刻家。陶芸以外の分野の作家の「土」を素材にした作品というのは興味深いものがあります。陶磁器とかかわり合いの強い環境にいると、器の観念に知らず識らずに囚われ、素材「土」の特徴の一部しか見られていないことが多いように思います。今回の展示でもタイトルに「陶芸であらざる」とされています。
「陶彫」という作品になります。陶の彫刻。作家は戦前より彫刻家として活躍していましたが、戦後に京都市立美術専門学校(現・京都市立芸術大学)の教授に就任後、京都に移り住んだことから始まります。そこには京焼があり土と出会える環境だったということです。
ポスターにもある「犬」という作品。抽象化された陶彫ですが、展示ケースの中の作品を見ていると、その焼き締められた信楽の土が犬として動き出すように思いました。タイトルとそれに添えられた解説プレートを見ていくと様々な作品がより生き生きと自己主張してくるような展示でした。
その解説の中で気になった言葉が「空洞性」というものでした。土(陶器)の特徴として空洞性があげられていました。なるほど土は彫刻の素材としてよく使われる木や石や金属と違ってある程度の厚みを持って、そして内側に空間を内包する素材です。無垢な土は乾燥焼成の段階で割れることが多くなります。どうしても中に空間が必要です。今回の展示でも最初は裏側から土を掘り出し空洞に、そして内なる空洞を表現として意識した作品になっています。ヘラで彫るような表現から始まり、最終的には薪窯が(京都の条例で)禁止ななり、電気窯と移行していくなかで、土の柔らかさを感じる作風のものも見られるように感じました。
とにかく刺激的な展示でした。
緊急事態宣言解除後の再開でしたが、入場の際にはソーシャルディスタンスなどの注意の他、氏名と連絡先を提出するなど、まだまだコロナ克服までの道のりを感じさせられました。でも、こうして美術館で鑑賞が可能になったということは、日常を取り戻すその一歩という印象を持ちました。
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以前にお世話になった作家さんがこんなことをおっしゃっていました。「衣食住の食というのは、器を変えるだけで変化出来る。一番簡単によくすることが出来る」ということでした。
実際の料理は外食はともかく、急に料理の腕が上がる、上手になるとかはなかなか難しく同じようなレパートリー…ということもありがちです。ステイホームで時間があるから、普段出来ない料理をクックパッドとかを見ながらチャレンジされている方もいらっしゃるでしょう。また、最近多くなっている飲食店からのテイクアウトでも食卓に変化を加えられる方法です。でも、新しい料理を作ってもいつもと変わらない器では変化の幅も感じにくい。テイクアウトの使い捨ての器のまま食事していては味気なさがある。この「瀬戸だより」を購読いただいている方は多少でも器というものに興味はあり方と思います。いつもの料理にアレンジをしたら、いつもの違った器に盛り付ければより変化を感じることが出来る。テイクアウトの料理を使い捨ての器からお気に入りの器に盛り直すだけで、よりおいしくいただくことが出来る(気持ちの問題と言えばそうですが)。
料理が盛られる器というのは食事の質をより良いものにしてくれるはずです。よく言う「料理のひと手間」の中には器を選ぶというのもあると思います。
ステイホームから(完全に)解放されたら、器を探しに街に出るのを楽しみにしてください。私たちもより楽しい器、素敵な器をお届けできるよう今は準備の時期だと思います。ぜひ、テイクアウトの料理や買ってきたお惣菜は手持ちの器に盛り直して楽しみましょう。盛り直す手間、洗う手間はかかりますが、かならずよりおいしく感じるはずです。食事を楽しむ時間は、器を楽しむ最高の時間でもあるのですから。ステイホームでも楽しみましょう!
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ものすごく根本的な問なんですが「瀬戸の焼き物の特色、魅力って何ですか?」というのは簡単で難しいものです。以前に市が瀬戸焼ハンドブックの編集をするというので、お手伝いで会議に参加しました。工業組合や商業組合(私たちだ)、陶芸協会など瀬戸焼に関係する方たちが集まったのですが、その答えはなかなかまとまらなかった事を記憶しています。瀬戸の土は「白いきめ細やかな土で、何にでも使うことが出来る」。つまりは器(陶器も磁器も)から碍子や建材など工業製品にも使うことが出来るのが瀬戸の土の特徴と言うわけですが、結局この万能性は「器用貧乏」のようなイメージになりかねない……というところで意見は止まっていました。
その後も自分の中でこの答え(瀬戸焼の特徴、魅力)考えて来ました。まあ、とにかく工業分野まで広げて考えてしまうとややこしくなってしまうんじゃないかと。純粋に器としての瀬戸の特徴(土から)を考えてみましょう。
今回の取材の中でも「瀬戸の焼き物の特徴、魅力」を問われました。自分の用意した答えは次のものです。
瀬戸焼の特徴は土が白いことである。これは他の産地の土に比較すれば「土味」の面白さはない。その代わりたくさんの釉薬が発展した。これは白い故の特徴。さらに技法も多岐にわたり展開された。例えば、瀬戸の土は磁器にも応用出来るので「染付」。土に顔料で色を付ける「練込」。などなど実に多彩。それがひと
つの産地で出来るのが瀬戸。土味に縛られない分、表現はとても自由。
「じゃあ、美濃焼の特徴とどこが違うの?」と言われたら、国境(今なら県境)で分けられた背中合わせのお隣さん。昔から職人や技術の行き来もあったから、似てる……と答える(としか言えない……しょうがない)。最近は美濃は瀬戸からの土もかなり利用されていると聞きますし。
モノの特色ではないですが、粘土はもちろんその他の原料、窯、道具まで、陶器作りのすべてが揃っていて、陶磁器作りを周りからしっかり支えてくれる職人さんやお店がしっかりいるのも瀬戸。
そんなような話をしました。たぶん、他にも答えはあるんでしょうね。「土が白いから、たくさんの釉薬、技法が発達」が私が行き着いた瀬戸焼の特徴です。
いろいろ話しましたが、カットされるかどうかはわかりません。
ひとまず(東海地方だけになってしまいますが)明日日曜、午後3時からテレビ愛知・サンデージャーナルでこの地方の焼物を特集するそうです。
]]>瀬戸市関連のホームページを見ていたら「せとモノがたり」というのを見つけました。3月にスタートしたようです。
「瀬戸市歴史文化基本構想を活用した観光拠点形成のための協議会」という長い名前の固そうなところが作成したようです。というものの、内容はイラストで描かれたキャラクターが会話する形式でわかりやすいものになっています。
■せとモノがたり
http://seto-guide.jp/setostory
テーマ分けは4つ。
「新時代のツクリテは何処に?」陶祖と磁祖から現代のツクリテ(瀬戸市はこの「ツクリテ」というカタカナ表記にこだわってる)までのもの作りの歴史文化。
「尾張・三河・美濃 三国の交わるところ」江戸時代、尾張藩代々の藩主の墓のある定光寺など寺院や城跡の歴史。
「美しい自然に親しむ」特別天然記念物のオオサンショウウオ(瀬戸が生息の東限)を代表とする豊かな自然。
「祭りと伝承」各地域に根ざした祭りや伝承。
この「瀬戸だより」も700号以上続いていますが、扱っていない話題もたくさんあります。そういう部分は自分の苦手な分野ということになりますが、このホームページはそこのところがきちんと網羅されているようです。瀬戸以外の人もそうですが、瀬戸に生まれ住んできて知ってるつもりになっている人(私だ!)にも興味深い内容になっています。タイトルにも「せとの魅力再発見」とされていますが、確かに再発見する事が多いようです。シンプルで簡単に読める半面、難しそうな単語などはクリックすれば事細かな解説が読めるという親切な作りになっています。そこも含めて読んでいけば、ステイホームの時間も楽しく過ごせそうです。
私ももう一回しっかり勉強させていただきます!
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このメールマガジンにお付き合いいただいている皆さま(ありがとうございます)はそれなりに陶磁器に興味がある方と思います(まあ、そうでしょう)。家の中でお手持ちの陶磁器の鑑賞というのも、ステイホームの過ごし方と思います。また、陶芸教室に通われている(多くは自粛中かも)という方は、新しいデザインや文様を考えて過ごす、というのも(再開された時にそなえて)いいかもしれません。でも、うちにはコレクションなんてないし、自作を楽しむなんてこともないですよぉ……という方はどうしましょう。
普段使っている器を食器棚から取り出して点検をしてみるのはいかがでしょう。忘れていた思い出の器が置くから発見されるということもあるかもしてません。もう少し取り皿を増やさなきゃね、という気付きもあるかもしれません。
そして、一点一点、手に取って欠けやひびがないかと点検してみましょう。あらあら、こんなところが欠けていた、ちょっとあぶないね。ひびが入ってるから怖いなあ。とかいろいろな問題が見つかるかもしれません。欠けは思わぬケガになるかもしれません。ひびは突然割れて熱いものが手にかかるかもしれません。思い切って処分するとか、大切な思い出のあるものは使用せず保管するようにするとかしましょう。
その時に目で見る以外の点検方法として指で器をはじいてみることもしてみましょう。テレビの骨董の鑑定シーンでよく鑑定士がやってるやり方です。問題のない磁器はピーンと澄んだ音が、陶器はそれより低い音ですがコーンと音がします。ひびがあったりすれば、響くことがない濁った音がします(例えるなら、ギターできちんとコードを押さえればいい音が出ますが、押さえ方が弱かったりすると濁った鈍い音になる…ということに似ているでしょうか)。音により表面に見えるわかりやすいひびだけでなく、見た目にはわからない「かざけ」と呼ばれる状態も発見できます。かざけは風裂とも書きます。表面の釉薬にはキズがなくても、素地の中が割れている状態です。ちょっとした衝撃や温度の変化で突然パカっと割れるリスクがあります。これは音で判断するしかありませんが、使用を続けるのは危険です。すべての器を指ではじいてみましょう。問題があった食器の買い替えは、リストアップして落ち着いてからゆっくり選んで買いましょう(通販というのもありますね)。
ステイホームで器の点検。おすすめです。
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家の中で過ごす時間が長くなると、どうしてもテレビやインターネットに費やす時間も長くなります。まあ、テレビは繰り返しウイルス関連のニュース話題が流されますので、気持ちもふさがりがちになります。そんな中、ネット動画を見ていると陶芸関係の動画も多いことに気が付きます。
あたりまえですが、ネットというのはすごいものです。日本国内はもちろん、地球のはるか遠くでろくろを回す姿すら、家にいて見ることが出来るわけです。インスタグラムで何気なく見ていた外人さんの作業、あらためて見直すと南アフリカからの投稿だったりということもありました。
国内でもあちこちにある陶芸教室だったり陶房だったりが、初心者向けのものからかなり高度な内容まで配信したりしています。長年疑問に思っていたことが解決したり、また今後作りたいものへのヒントがあったり、なかなか興味深いものがあります。半面、「えっ、そのやり方で大丈夫なの?」と思うものも正直あります。
陶芸、ものづくりというのは、結局ひとりでその現場でものに向き合うことになります。そこで見つけていく(身に着けていく)ノウハウというのは、「自己流」になりがち(良くも悪くも)です。まあ、そういう繰り返しが面白く、個性や作風の展開につながっていくのは間違いないです。自分のやり方とは違っていても、同じ結果にたどり着ける方法はいくらでもあるので、新鮮に感じます。
しかし、見ていて何か違う、ちょっとおかしいということもたまにあります。そうならないためにはやはり基礎が大切になってくると思います。なぜこの作業が必要か、このひと手間にはどんな意味があるか……それらがなぜそうなるかを科学的な内容を含めて最初に身に着けているかが作業過程で見えてくるように思います。
というものの、自分の作業過程も他人から見たら、そこそこいいかげんな仕事ぶりに見えるんだろうなと反省しております。
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「ドベ」という言葉があります。名古屋弁としても紹介されることもありますが、西日本では使われることが多いようです。東日本では「ビリ」に当たる言葉です。最下位という意味です。瀬戸の陶器作りの現場では別の意味で使われます。重要な役割をするものです。
器を作る際に土と土をくっつける時、例えばマグカップの取っ手をくっつけるなどの作業の時、接着剤の役割をするのがドベ。やわらかく水に溶かした粘土です。瀬戸の言葉でその様子を伝えるなら「シャビシャビ」の状態、最近の言い方なら「ジェル状」ということでしょうか。
ドベなしで作業すると乾燥途中でぽろっと外れたり、焼きあがった後でも外れやすかったりします。使い方は接着面にキズをつけ、そこに糊を使うのと同じように筆でペタペタと塗ってくっ着ける。ちょっとした手間ですが、大切な作業です。
「ヌタ」と呼んだり「ノタ」と言ったりもします(自分の中ではヌタです)。呼び方がいろいろあるのはものすごく身近なものであり、それぞれの陶房、作業場の中だけで使われてきたという背景もあるからと思います。陶房の中だけなら「アレ」で通じてしまうし、「名前なんてあったっけ」になってしまうかもしれません。
陶芸をされている皆さん、陶芸教室に通っている皆さん、何て読んでいますか?陶芸に限らず、身近過ぎてそれぞれの家庭独自の呼び方があるものって他にも何かあるかもしれませんね。うちだけの呼び方のあるもの、そんなものを探すっていうのも、週末の家の中でのちょっと楽しい過ごし方かもしれません。
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先週、義父の工場の片付けを手伝いに行ったのですが、その際に古い窯(たぶん登り窯)から出てきたという「分炎柱(ぶんえんちゅう)」をいただきました。かつてはすり鉢を専門にする窯元でしたので、いろいろ古いものが出て来るので興味深いのです。
「ぶんえん」と言えば、この4月から煙草の「分煙」が厳しくなりましたが、今回は「分炎」。煙じゃなくて炎。炎を分ける柱。今のガスや電気の窯にはありませんが薪窯には必要な柱でした。
この「瀬戸だより」でも「穴窯」は何かと話には登場していますが、どんな窯かはあまり説明したこともなかったように思います。
陶器の焼き始めたころは(土器の時代ですね)、作った器の周りで焚火をして焼いていました。まだ窯らしいものはなかった時代です。やがて周りを囲み上も蓋をして、トンネルの様な窯を使い始めます。それを熱がうまく行きわたるよう斜面に作っていったのが穴窯となります。もっと具体的な形を説明するなら「山の斜面に頭を下にした大きなツチノコ(幻のヘビね)を張り付けたような感じです(ネットで検索すれば穴窯の構造の図は出てくると思います。ツチノコってわかると思います)。そのツチノコの口の部分が焚口になります。頭の部分が燃焼室(薪の燃えるところ)、広がった胴体部分が焼成室(製品を焼くところ)、尻尾の部分が排煙道で煙の出口になります。熱が斜面を登りながら窯の中を抜けていくわけです。その薪が燃焼し、炎が焼成室に入っていくところ(ツチノコの首のあたりね)に置かれるのが分炎柱という柱です。大きさは窯の大きさにもよりますが、ペットボトルくらいのものを想像していただければ…まあそんな大きさの棒状の柱です。ここに炎が最初に当たり、左右に分かれて焼成室全体に効率よく熱が回っていくようになります。奈良時代ころに分炎柱は登場したようですが、効率よく高温で焼きあがるようになり陶器の質がぐんと高まりました。
古い窯の分炎柱は何度も窯を焼くたびに高温と薪の灰を浴びてガラス質の独特な釉が厚く掛かった状態になります。古い薪窯の壁にも同様な灰被りを見ることが出来ますが、まさに製品を焼くだけでなく窯自体も焼かれてきたという証拠で、なかなか美しいものです。
昭和の40年代ころまでは登り窯は現役でしたので、そのころまでが分炎柱の時代だってと思います。古い窯跡を見る機会があれば、低い位置にある焚口奥の分炎柱をぜひ探してみてください。
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今年は2020年。15年前は2005年。つまりはあの2005年から15年。愛・地球博の15周年になるんですね。開幕が3月でしたので、15年前の今ごろは瀬戸の街もお祭り騒ぎになっていました。
会場は瀬戸会場と長久手会場に分かれていましたが、ゴンドラやバスで移動すれば数分でした。入場パスを買って毎日のように通ったという人も多くいました(我が家もよく通いました)。瀬戸の人(というかこの周辺の人)にはさまざまな思い出が出来たと思います。
瀬戸会場は公園や里山を体験(散策)出来る場所になっています。瀬戸会場のシンボルだった大きな天水皿のモニュメントは住宅地に隣接する公園に今もそびえています(移築したわけでなく周りが住宅が増えた)。今見てもなかなかの迫力です。
長久手会場は全体が愛・地球博記念公園(通称モリコロパーク)として整備され、人気だったサツキとメイの家はそのまま残され、今も人気です。さらには22年秋にはジブリパークとして整備・オープンされる予定です。
15年前のあの半年の熱狂は今もこの地方にはさまざまな形で物や施設や、人々の中に残されているように感じます。15周年を記念するイベントや展示などの予定されていたようですが、多くは中止延期になってしまっているようです(もうこれ以上は何も言いません…)。
この「瀬戸だより」をスタートさせたのは、万博の翌年の6月でした。おかげさまで、なんだかんだと14年続いています。
]]>4月18・19日に予定されていた「せと陶祖まつり」の中止が発表されました。陶祖というのは瀬戸の土地に中国から優れた陶器作りの技術を伝えたという藤四郎(加藤景正)。実在の人物か伝説上の人物か不明な点もありますが、市中心にある深川神社内の陶彦社に祀られています。その陶祖を偲ぶお祭りが「陶祖まつり」となります。春(4月)の陶祖まつり、秋(9月)のせともの祭は瀬戸の伝統的な2大イベントになります。
残念ながら今年の陶祖まつりは中止です。せともの祭ほど盛大じゃないものの廉売市があったり、若手の作家たちの展示即売、協賛のスポーツ大会など様々なイベントが予定されていました(すべてが中止なのか、神事などは行われるのか、不明な点もありますが)。まだ1ヶ月先なのに…という感じもしますが、準備(各種キャンセルの手続きなど)の都合を考えると、まあこのタイミングなんでしょうねぇ。残念。
市内の公共の展示施設なども閉館しているため、今瀬戸に来ても見るものが少ないのが現状です。が、今週は一つ展示を見てきました。「愛知県瀬戸窯業高等学校セラミック陶芸専攻科 十人展」公立陶生病院内ギャラリー天青。公共施設は閉館になってもさすがに病院は休みません。ギャラリー天青は病院内の通路などを利用した展示スペースです。待ち時間など気軽に楽しめます。
この陶芸専攻科、高校に付属する学校ですが高校卒業以上の方が陶芸の基礎を本格的に学ぶ場になっています(自分もそこのOB)。今年の修了生のうち10名の展示のようです。先に行われた「終了展」は名古屋で行われ、見に行く機会がなかったため、ここで(出展されていない人もいるだろうし、作品も小さいものになるし、点数も少ないのですが)全体ではないにしろ見ることが出来てよかったです。様々な技法や作風の作品、コンパクトな展示でしたが個性が感じられる魅力的な展示でした。自分たちの終了展のころを思い出すと、ここまでの技術も個性もなかったと思います。それでも懐かしい気分になるのは、瀬戸窯業高校専攻科の中に流れ続ける共通する「雰囲気」を感じるからでしょう。伝統、校風といったものですね、きっと。
展示は5月25日まで。陶生病院に行く機会があれば、ぜひ。
]]>瀬戸も、いえ全国的に自粛ムードが続いています。今月中は少なくともこんな感じなんでしょうね。
瀬戸は日本で施釉陶器が初めて作りだされた土地というのはこの「瀬戸だより」でも何度か書いてきました(正確には瀬戸に隣接する猿投山あたりとなります)。陶祖・加藤藤四郎景正が中国から技術を伝えたというのが陶祖伝説。鎌倉時代ころの話です。中国では施釉磁器が作られており、日本の貴族はそれを所有することがステイタスであったわけで、それに近いもの(磁器でないにしろ)が瀬戸で作られ、人気となります。中国の高級品の写しであったわけです。
ところが中国(宋)との貿易が盛んになると、「本物」が中国から多くもたらされるようになり瀬戸の施釉陶器の需要は減ってきます。その時、瀬戸は再び無釉の陶器も作り始めます。量産・実用を意識した「山茶碗」と呼ばれる茶碗です。
私が初めてアルバイトをしたのは大学に入学する前の春休み、30数年前のちょうど今くらいの時期です。瀬戸では山で宅地や道路など開発工事が入ると古い窯跡が発見されて発掘調査することがしばしばあります。その発掘調査の仕事でした。決められたグリッド(範囲)を地層ごとにまっすぐ縦に掘り進む作業でした。そこで運よくモノが出てくると(全く出てこない場所もよくある)結構興奮したものです。そこで見たものが重なった山茶碗でした。
シンプルな形です。小ぶりなご飯茶碗といった大きさ、丸味は少なく直線的なスタイル、高台も付けられずまっすぐ平らな底……というのが特徴です。しっかり高温で焼かれているものの、もちろん施釉はなく、大量生産のために作られていたのはよくわかります。無釉だから重ねて窯に大量に入れることも可能です。そもそも「山茶碗」という名前も後の時代になり、山の中の窯跡からやたらいっぱい出てくることからそう呼ばれたとも聞きます。
素朴です。シンプルです。でも何か見ているとその時代の人々の(一般の)生活の息吹が感じらます。施釉の高級品だけでなく、量産のこうした製品も作っているというのが、とにかくいろいろな製品を幅広く作っていたその後の瀬戸の歴史のルーツを見るようです。
春、この季節になると、私は山の中で出会った山茶碗を思い出すのです。
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今週は瀬戸市内で行われている展示を見てきて紹介しようと思っていたのですが、例の新型コロナウイルスです。今週になり瀬戸市内の公共施設は臨時休館に入り、展示など紹介しようにもできない状態になっています。例年なら1ヶ月に及んだ雛めぐりのイベントも終わり春らしくなり、どこかに出かけたくなる季節的なタイミングなんですが……残念です。
北海道が多くの感染があるということが報道されていますが、愛知県も結構な感染者数を出している関係上致し方ありません。このトンネルの出口はいつどんな形で終わるのかというのがわからないだけに困りものです。
おかげさまで自分の周りには感染されたという方はいまだ出ていません。
今週はひな祭りがありました。普段ならわが家でも「おこしもの」を作ってお供えして食べます。おこしものというのは尾張地方で主にあるひな祭りの風習で米粉を練ったものを様々な形の木型に押し込み形を作り、蒸し上げて作るお菓子(いや?、お餅…ではないなあ、まあ食べ物)です。これを家のお雛様にお供えするほか、親せきや友人に届けたりしています。しかし、今年は手でこねたりして作るおこしものは時節柄どんなものかと思い、作るのをやめました。ちょっと残念でした。
学校も休校になり、様々なイベントが中止延期になる中、今週は話題も準備できずこんな配信になったしまいましたが、来週までにしっかりネタを準備いたしますので、今週はこれで失礼いたします。くれぐれも皆様もお気をつけてお過ごしください。
]]>瀬戸市でも様々なイベントが中止になっているようです。
突然に政府が対策を打ち出して、週明けから子どもたちは実質春休みに入ります。卒業式はどうなる?入試はどうなる?が問題になってきます。さらに瀬戸市では小学校5校(道泉小、深川小、古瀬戸小、東明小、祖母懐小)、2校の中学校(本山中、祖東中)を統合し小中一貫の「にじの丘学園」が4月からスタートします。その対象になる学校にとっては最後の卒業式になり、合わせて閉校式の式典も行われるようです。そのあたりがどうなっていくのか、とても気になります。
コロナウイルスも不安ですが、それから派生する不安というのも困ったものです。少しでも早く、終息し、普段の生活に戻れますように。また、実際に感染された方(このメールマガジンの読者にいらっしゃるかはわかりませんが)の回復も心よりお祈りいたします。
本当に怖いもの(逆に本当に大切なもの)は目に見えないことが多いと思います。ウイルスも目に見えずに静かに近くにやってくるのが怖い。
陶器の現場でも怖いのはガスの類です。ブタンなどの燃料としてのガス、これは臭いはするものの目には見えません。漏れていて、あるいは窯の中で炎が消えて窯に充満して引火という事故は時々聞きます。窯は耐火煉瓦を積んで作られていますが、外側は金属のフレームで囲まれています。また、蓋はしっかりと固定できるようになっています。実は窯(ガス窯)は上の部分が弱く作られていて、もし窯の中でガス爆発が起きた時、上に爆風が抜け周辺の被害を少なくする工夫がされています。
しかし、燃料のガスより怖いのは一酸化炭素です。不完全燃焼で発生する一酸化炭素は臭いもなく、知らずに吸っていて体が動かなくなって気が付くという怖いものです。生死にかかわる危険なものです。還元の焼成などは窯の内部で酸素の供給を減らして行う焼成なので煙突で抜けていくものの不安はあります。これも時々、不幸な事故が起きてしまいます。そのために昔から窯は母屋や仕事場から離した別棟に作られてきました(火災の心配もありましたし)。風通しがいい建物です(屋根だけとか)。
一酸化炭素事故の話を聞くと、母屋と窯が離れていなかったとか、窯の近くで仮眠していてということが多いようです。窯もコンパクトになり火のコントロールも簡単になった今の時代、生活する家の中でも設置が出来るようになっています。昔からの窯元はきちんとそこは区別して窯を設置しますが、新しい窯の設置では危なっかしいものも見られるように思います。ちょっと怖いです。
窯を設置しようかなという方は設置場所にも十分注意をお願いします。
]]>マラソンなど大きなイベントの中止が続いていますが、必要以上にあわてることなく、普段のこの季節に行っているようなインフルエンザ対策をしっかり行って過ごしましょう。
一日も早い終息が望まれます。この夏にはオリンピックが開かれます。それに影響が出ないように願います。
今週、3月26日にそのオリンピックの聖火リレーがスタートします。福島を出発した聖火は日本全国をリレーされます。愛知県は4月6日・7日の2日間で聖火リレーが行われます。その愛知県内の聖火リレーのスタートが瀬戸市となっています。
6日の9時45分、市内中心の深川神社で出発式ののち聖火リレーはスタート、瀬戸市役所までリレーされるとのことです。聖火ランナーとしてプロ棋士の藤井聡太七段が走ると発表され、注目されています。瀬戸のスターですからね。
当日は11時ころまでコースに当たる瀬戸街道の聖火コース周辺は交通規制がされますので地元の皆さんは注意が必要なようです。というか、うちの店の前の道も規制の範囲に入ってるじゃないですか!これは当日午前中は仕事より道沿いで見物になりそうですね(もう、しょうがないなあ!)。
その頃にはコロナウイルス騒ぎもどうなっているんでしょう。多少でも落ち着いているといいんですが…。
今年はオリンピックという大きなイベントがひかえている日本。無事何の心配もなく開催できることを心よりお祈りしております。
■愛知県の聖火リレールート
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「窯出し」という言葉を最近目にすることが多いようです。窯出しプリンだったり窯出しチーズケーキだったりとスイーツの商品名になっていたりします。焼きたてというのは新鮮出来立てでおいしいイメージになるようです。
陶器の世界では「窯出し」と言えば、窯から焼成された製品を取り出す作業になります。今までの仕事の完成を迎える瞬間です。たぶんどんなベテランの作家さん窯元さんでも、多かれ少なかれ緊張する瞬間と思います。結局は窯を開けるまではわからないというのが陶芸の難しさというわけです。
窯出しのことを「窯起こし」と言ったりします。瀬戸では普通に「週末に火が入るから、月曜に(窯は)起こせるよ」というような会話がされます。他の産地では窯起こしとか言うのでしょうか?
考えてみると「窯起こし」という言い方、実にユニークです。
昔は薪を燃料に昼夜を問わず窯を焼き続けて数日、窯は焼成温度に達します。その後冷めて中の製品を取り出せるようになるまでさらに日数がかかります。製品を焼き上げた窯はその間は仕事を終えて眠っているような状態。窯の入口を開けて中の製品を取り出すというのは、まさに眠っていた窯を「起こす」ようなことじゃないのかと。「そろそろ次の仕事、起きなさいよ」と。
瀬戸の人は1000年以上、この窯を起こすという緊張と喜びの瞬間を繰り返してきました。今は燃料がガスなどに替わり、窯の規模も小さくなり、焼成の時間も焼成後の窯起こしまでの休憩も短くなりました。というものの、最近廃業とかで眠り続ける窯も増えているのはさみしい限りです。
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ろくろです。くるくる回るろくろです。
上から見て時計回りに回ります…というのがよく知ってるろくろです。という書き方をするのは「よく知らないろくろ」があるんだな、と鋭い人は感じている……そのとおり。実は欧米のろくろは反時計回りの回転なんです。反対回転、不思議です。
「外国では反対回りだよ」というのは学生時代にも聞いたことがあり、ああそんなものなのか、と思っていました。ところが最近、実際にインスタグラムなどのSNSで海外の陶芸作家(アーティストって言った方がいいのかなぁ、この場合)の製作過程の動画を見る機会が増えるにつれ、この「欧米ろくろ反対回り」が気になって気になって…。
欧米はほとんどの人が左利きなんだよというわけでもないでしょう。道具の使い方も違ってきます。変な気分です。
ろくろと言う道具は最初は紐づくりで粘土を積み上げていくなか、粘土を回した方が便利だなあとか思って下に大きい葉っぱとか敷いて、ずりずり回しながら作業したのが始まりじゃないかと想像します(あ、これ勝手な想像ですよ)。だとすると、右手で葉っぱの端っこを持って手前に引きながら回すのが自然じゃないですか?ほら、中華料理屋の回る丸いテーブルだって右手でスッと回すと自然に時計回りに回るのと同じ。反時計回りに回すようになったきっかけは何なんでしょうね。
そもそも、ろくろの回転が違うというのは、日本などのろくろとヨーロッパのろくろと言うのは全く違ったルーツを持っているということなんでしょうか?この謎の回答を持っていらっしゃる方、教えてください。
たぶん、自分がそう感じるように欧米の陶芸家が日本のろくろ動画見て、不思議な気分になっているだろうな、ということは間違いなく想像できます。
反対回りのろくろはインスタグラムで#potterywheelなどで検索すると出てきますよ。
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■テーブルウェア・フェスティバル2020
https://www.tokyo-dome.co.jp/tableware/
■第19回 陶のまち 瀬戸のお雛めぐり
http://www.seto-marutto.info/event-post/ohinameguri/
お近くの方、興味のある方は、ぜひお出かけください。
瀬戸は陶磁器の産地ですが、市内でも名古屋に近い地域は新しい住宅が立ち並んだり、大きなマンションが建っていたりとベットタウンになっています(交通の便もいいですし)。その反対側が旧来からの陶磁器の生産の中心になっています。山々に囲まれ、自然の豊かな地域とも言えます。普段、そんな品野や赤津と呼ばれる地域の窯元や作家さんを行ったり来たりというのが私たちの仕事…というわけです。
赤津地区の方やそこの出身の友だちと話をしていると、「あれ、何か星座や星についてくわしいね」と思うことが度々あります。さりげなく星座のことを話していたり、結構大きな天体望遠鏡を持っていたり…。まあ、個人の趣味や興味のことだと思っていたのですが、たまたま夜に作家さんを訪ねた時、ああそういうことかと納得したことがあります。赤津あたりはとにかく星がきれいに見えるんです、特に今の季節は。
大きな道が少なく街路灯なども少ない。大きな建物なども少ない。もちろんネオンなども含めて、「光害」と呼ばれるものが極端に少ないのです。特に冬場は星にさしてくわしくない自分にも「わかる星座」があちこちに見えます。瀬戸の中心部の空とは明らかに違います。
こういう環境に住んでいたら(育ったら)、星空に興味を持たない訳がないだろうと。もちろん、ここから先に進めばもっと家などは少なくなるのでもっと星空はきれいになっていくのでしょう。でも、瀬戸市の中心からちょっと山側に進んだところで、人が住んでいる「町」の上に、これだけの星空があるというのは素敵なことだなと思うのです。
夜に作家さんを訪ねるということはそうそうあることでもないのです。基本昼間です。たいていは時間的に切羽詰まっていたり(年末の繁忙期)、何かの理由がある時にあります(何かしら困った事態ということもあります)。冬、赤津の(比較的奥の方で)夜空を見上げるのだけはちょっと楽しみにしています。まあ、のんびりという余裕はないのですが…。
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■テーブルウェア・フェスティバル2020
https://www.tokyo-dome.co.jp/tableware/
その中で「来週はいよいよ2月」みたいなことを書いていますが、当然今日もまだ1月。早まりました。すいません。
今週こそは、いよいよ来週は2月です。
2月の瀬戸は恒例のあれが始まります。
■第19回 陶のまち 瀬戸のお雛めぐり
http://www.seto-marutto.info/event-post/ohinameguri/
瀬戸の街が2月1日から3月8日までひな祭り一色になります。もうすでに今週は市内中心部の商店街などのお店のインスタグラムやフェイスブックでは準備を進める様子が投稿されたりしています。
まだまだ寒い時期ですが、雛飾りを見ていると春がすぐそこまで近づいているような気分で……とは、例年。今年は暖冬ということで、暖かな雛めぐりになりそうです。
上記のリンク先を確認していただければわかりますが、恒例のイベントが用意されています。いろいろなひな人形が(陶器のひな、ガラスのひな以外にも)街中のお店のショーウインドウなどあちこちに飾られ、レストランなどには限定のランチが用意されていて、ひなにちなんだワークショップや体験教室などが開催されます。そして、イベントのシンボルと言える瀬戸蔵の「ひなミッド」は今年も展示されます。ピラミッド状に4メートルの高さまで積みあがった雛段に陶器・ガラスで製作されたお雛様が約1000体飾られます。この前で記念撮影という人で賑わいます。SNS「映え」する場所ですね。ただ、瀬戸蔵内にあったセラミックプラザは現在、改装のため一時閉店中となっています。ひなミッドのすぐ前でしたので、例年はひなミッドを見た後お土産物などを買ったという方も多いと思いますが、3月(のいつ?)までは閉店です(予定)。
とにかく、瀬戸に春を告げる1カ月にわたるイベントが今年もやってくるという話でした。
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来週末はもう2月になります。2月になるとまた今年も瀬戸市内では「雛めぐり」のイベントで1ヶ月にわたり雛で彩られます。でも、これもまたあらためて紹介しますね。
ということで、今回は東京の話題。毎年この時期に東京ドームで開催されている「テーブルウェア・フェスティバル」についてです。
■テーブルウェア・フェスティバル2020
https://www.tokyo-dome.co.jp/tableware/
28回目となるこのイベントは日本最大級の「器の祭典」。日本各地の窯元はもちろん、世界各国の陶磁器、ガラス、漆器などが並びます。展示、販売、ステージイベントなど器好きの方にはたまらないイベントになっています。
今回特にここで力を入れてお勧めしたいのは『「温故知新」彩りの器〜瀬戸焼〜』の特集企画の展示がされることです。
なかなか瀬戸焼と言っても具体的な特徴が思い浮かばないという方もいるかもしれません。瀬戸の業界関係者でもその特徴をきかれて「特徴がないのが瀬戸の特徴」とか開き直りのように答える人すらいます。もちろん、そんなことはないのですがね。
ここでおさらい。「瀬戸だより」で何度も繰り返し伝えていますが、瀬戸焼の特徴です。
土は真っ白、きめ細やか。他産地の鉄分が混ざって色が着く「くせの強い土」とは違い、万能に使用できる「くせのない土」です。それをもって「特徴がない」と言ってしまいがちなんですが、その白い土を彩るため、また白いキャンバスの様な素地であったため、様々な色合いの釉薬が生みだされ、表現方法が発展しました。
また、このきめ細かな白い土はアレンジすることにより磁器生産にも対応でき、陶器と並行して染付をはじめとする磁器を生産できる稀有な産地でもあります。その可塑性の磁器土はノベルティなどの複雑な形状の生産にも対応できました。
瀬戸の焼き物は器だけでなく碍子やガス機器の燃焼ノズルなど器以外の分野でも活用されています。現在でも市内には配電盤やガス機器の関連工場が多くあります。
様々な色、様々な形、様々な生産、これが瀬戸焼の特徴(と私は思っています)。
今回の『「温故知新」彩りの器 〜瀬戸焼〜』の特集展示ではそのあたりの瀬戸の器の持つ、彩りや形状の豊かさを感じていただけると思います。
窯元、問屋など瀬戸の瀬戸焼の関わる皆さんが協力しての展示。見応えある魅力ある展示になっていると思いますので、関東の皆さん、ぜひ東京ドームに行って、瀬戸焼の魅力に触れて、ぜひぜひ会場で瀬戸焼をお求めいただければ……と思っています。
なお、当店は参加しておりません。出店される皆さん、がんばってください!
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一年の計は元旦にありと言いますが、今年は何を目標にしようかとゆっくり考えることが出来るのもこの時期です。昨年も年の初めにやりたいことをリストアップしてはいましたが、実際できた事はわずかです。唯一と言ってやってみたことは「日常生活の中でお茶(抹茶)を飲む」ということです。
作家さんを訪ねた時などに工房で抹茶をいただく機会くらいで、年に何度かあるかないか程度。でもそういう時のお茶って、茶室に通されて緊張しながら横の人のまねをしながらいただくお茶とは違い(お茶のたしなみはないもので)、変な緊張感がなくいい時間を過ごしている気分になります。
尾張地方には「野良茶」と呼ばれる習慣があったようです(もっと全国的なものと思っていましたが、ちょっと調べるとこの地方の習慣のようです)。野良仕事の休憩時間にあぜ道に座ってお茶を点てて飲む習慣です。そういう道具をもって田畑に仕事に行っていたということですね。また、ふと家に訪ねてきた方と縁側に座って気楽に楽しむなど、日常の中のお茶というのがかつては普通に行われていたようです。先の工房で飲むお茶というのもこの野良茶的なものと思います。
私たちの業界でも「お茶道具は売れなくなった」という声をよく聞きます。そんな中、ある方から「そう言うけど、自分でお茶飲んでいるのか?」と言われて、何も言えなくなってしまいました。毎日の生活の中でコーヒーは日に何杯も飲んでいます。その中の1杯を抹茶にしてみようと思いました。
まったくお茶の作法は知りません。道具は茶碗だけは手元にあります(売るほどあります)。Amazonで探したら、茶筅や茶杓は想像以上に安く手に入るようです。まあ最初はそれでいいかと。お茶は近所のスーパーで探したら、お茶の棚の隅っこにあったので、ひとまずこれで。(百均のダイソーでもありました、あまりおいしくはなかったけど)。さあ、お茶を点て方は……こちらはYouTubeを参考にして。とにかくお茶を自分で点てるということのハードルは思ったより低いようです(ネットに感謝)。
インスタントコーヒーよりは面倒かもしれませんが、ドリップしてコーヒーを淹れることと比べれば手間はかわりません。のんびりした時間を日常の中に作るという野良茶気分の日常のお茶。始めて見ると意外とたのしいですよ。
]]>本年もよろしくお願いいたします。
のんびりした新年でした。箱根駅伝テレビ応援で2日間はテレビの前から動くこと出来ず。まあ例年ならば、午後からはごそごそと動き出すわけですが、今年はちょっと介護(を理由に)ずっと家にこもっている正月です。
昨年、一つネタにしようと思いつつ書いていなかった話題があるので、これを正月の「瀬戸だより」初めにします。
昔、ちょっとお世話になった方(結構なお年のおじいさんです)から連絡をいただきました。陶磁器関係のお仕事はされていない方でしたが、瀬戸市内で長年仕事されていた関係で顔は広い方です。
電話での話では「国宝を作ったから見て欲しい」と、……謎です。
こういう仕事をしてますと、「一度見て欲しい」「見て欲しい陶器がある」とか言われることがしばしばあります(鑑定とかはしませんし、買取もしませんよ。念のため)。国宝というのは初めてのパターンです。
待ち合わせて、見せていただいたのは有名な野々村仁清作の「色絵藤花文茶壷」、国宝!……の写しでした。サイズは実物と同じ、絵柄も色合いも実物通りに作ったと言います。正確に言えば「作らせた」とのことです。
「なーんだ、ばかばかしい」と言ってしまいそうな話なんですけどね、でも実にこれ興味深い壷と思ったんです。作ったのは瀬戸で一番のろくろの職人さん。絵付も上絵付では高い技術を持っている職人さん。それぞれに個別に依頼して……ということは、瀬戸を代表する「職人さん」がそれぞれの技術による作品ということになります。「現代の瀬戸の職人の技術をもって国宝の写しを作ったらどんなものが出来る?」という実験的な壷、としてみると実に興味深いじゃないですか(そう思いません?)。
出来は細かな線や色合いなどは本物(と言っても写真と比較ですが)とはちょっと違う(当たり前ですがね)のですが、もののレベルとしては「写し」としては通用するくらいの(かと言って、本物間違えることはないのかな)仕上がりでした。これ1点で瀬戸の職人のレベルの高さは十分に証明できるんじゃないかと思いました。
この壷、作るのに(製作を依頼するのには)結構大変だったようです。金額も結構かかっているとのことで、単なる思い付きだけでは(どんな思いで作られたかは不明だけど)依頼できないものです。逆にこういったものを思い付き(企画して)実際に製作したというのは、職人の技術、仕事の知る意味で価値がありそうです。
ともかく、不思議なもの(そしてちょっと興味深いもの)を見せていただいたという話でした。今年も一年、いろいろ楽しいもの、素敵なものが見られることに期待です!!
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この一年を振り返りますと……なんかのんびりと過ぎていってしまいました。ここ数年(ずっと)、作家さん窯元、同業者のあいさつのように「なかなか景気良くならないね」とお互い確認しているような気がします。まあ、忙しくされているところはないわけではないのですが、概ね業界の雰囲気はそんな感じです。
どの商売をされている方も今年はキャッシュレスが話題になったと思います。当店も一部キャッシュレスに対応してせともの祭にのぞみました。廉売市会場のテントの下でもスマートフォンで決済できるというのは、画期的なことだったんじゃないでしょうか。テレビニュースの取材があったりと注目(時期的にも9月でしたし)されたようです。来年もさらにその傾向は進むのでしょうね。
せともの祭で言えば、毎年(なかなか売れないと言いながら)抹茶茶碗を並べているのですが、年々手にとっていただくお客様が増えているように思います。気軽にお茶を楽しまれる他、抹茶じゃなくても器として楽しまれる方(カフェオレボウルなんてほぼ近い形ですし)も多いようです。
最近は自分自身も普段から意識的に抹茶を点ててみるように心がけるようにしています。流儀などはお構い無しですが、一日に何杯か飲んでいたコーヒーを一杯分だけお茶に置き換えるだけでも生活になんとなく余裕ができたような気分になるものです(単純です)。
作家さんもご高齢になられた方もいらっしゃって、その分お手伝いというかそんな作業をする機会も増えたのも今年でした。今まで頭では知っていたことを、再確認しながらやってみるというのは勉強になりました。来年はもう少しいろいろ(例えば釉の調合など)知識を増やしていきたいと思っています(例年そんなこと言ってますが)。
来年はオリンピックの年ですね。瀬戸でも聖火のパレードが行われるようで、先日はそのランナーとして棋士の藤井聡太さんも選ばれたこともニュースになっていました。たぶん、今年がラブ日ーワールドカップで盛り上がったように、さらにオリンピック一色になっていくのでしょうね。
いろいろと国の内外で心配される事柄も多いのですが、みなさんにとって素晴らしい一年になりますようにお祈りいたします。
本年も一年ありがとうございました。それでは良いお年を。
]]>当店もどうやら年末の忙しいシーズンも終わりになってきたようで、ちょっとほっとしています。10月からずっと気になっていた展示をやっと見に行くことが出来ました。
■小森忍・河井?次郎・濱田庄司 −陶磁器研究とそれぞれの開花−(瀬戸市美術館)
http://www.seto-cul.jp/information/index.php?s=1569032106
明日12月22日までの展示期間になるのですが(またギリギリです…)、なかなか内容の濃い展示でした。なにしろこの3人の巨匠の展示ですから面白くないわけはありません。
大陸で、瀬戸で、最後は北海道で窯を開き中国陶磁の研究に邁進した小森忍。民藝運動に参加し独特の作風に到達した河井寛次郎と益子で民藝を追求した浜田庄司。「陶磁器界の三天才」と呼ばれた3人。戦前戦後を通じて文字通り日本の陶芸の発展の中心にいた3人。
共通する点は3名が同時期に京都市陶磁器試験場において釉薬の研究を突き詰めていたことになります。そこは明治の開国以降、海外に向けた陶磁器生産の需要が伸びる中、近代的な窯業技術(あらゆる点において)の近代化を進めるために造られた試験場でした。その時代にあらゆる釉の知識・技術を身に着け、その後それぞれの作風の発展させていく様子がわかりやすく時代に沿って展示されています。晩年の中国古陶磁、民藝とそれは続いていきますが、その釉薬の技術は自在に作風を展開していく上で大きな要素だったのは言うまでもありません。
陶芸の技術というと一般にはろくろの技術だったり、窯の焼成だったりが目立ちますが、個人的には「釉」というものが重要な知識・技術という気がします。もちろん現代では完成された釉薬として気軽に購入することもできます。調合の割合も情報として手に入れて調合することも可能です。しかし、作家が自分自身の「釉」を見つけ、安定させ発展させていくには、科学的・近代的な知識に裏打ちされたテスト(膨大なテストピース)を繰り返すことが必ず必要です。器の形というのはある程度決まったスタイルというのがあります。人の手の大きさや、食文化というのが大きく変わらない限りは器形や大きな変化はないでしょう。その中で作家が独特な作風を展開していくスペースが最も広く残されているのは釉(などの装飾)ではないかと思います。釉を自在に扱える作家はそれだけで魅力を感じてしまいます。
この3人の巨匠をの作品(とその作風の展開)を見ていると、釉の魅力というものを感じざるを得ません。
今回また、見るたびにため息が出る大好きな小森忍作の「辰砂長頸瓶」を見ることが出来たのが、今年の展示鑑賞の締めになりました。窯の雰囲気の変化を計算して2色に分かれたこの小さくシンプルな花瓶は本当に不思議で魅力的です。どこかで見る機会があればぜひ見ることをお勧めします。
来週は今年最後の「瀬戸だより」になります。年末の忙しい(そして冷え込む)時季です。お気をつけてお過ごしください。
]]>干支置物、そして御題茶碗のお届けがまだ続いています。
来年の干支は子、ねずみ年です。ねずみというのは身近な動物というイメージですが、実際に目にすることはあまりないかもしれません。いつもねずみを見かけます、というのは住環境としてどうかと思います。となると、ねずみのイメージというのも現代ではイラストだったり間接的なものが中心かもしれません。
なんとなく耳が丸く大きな(浦安にいるような)ねずみ、というのが最近はよく見られるような気がします。まあ、置物でもイラストでも、リアルにし過ぎるとちょっとばかり気持ち悪くなっちゃうわけで、かわいく(ハムスター風になったとしても)すべきなんでしょう。
皆さんも年賀状を書く時にちょっとだけリアルなねずみかかわいいねずみか考えてみては面白いかもしれませんよ。
御題茶碗は御題「望」にちなんだ茶碗になります。御題茶碗というのは皇室の新春行事・歌会始に出されるテーマ「御題」にちなんで製作される茶碗になります。新春に使うにはふさわしく、毎年変わるためコレクションとしても面白い茶碗です。
望という御題。今年は平成から令和への代替わりもあり、例年は正月の歌会始で発表される次回の御題も令和になってから発表となりました。歌の題としては新しい時代に希望を感じられる、作りやすい題になるように思いますが、これを茶碗として表現するには難しいものがあります。
「新幹線描くわけにはいかないもんなあ」という話も作家さんからよく聞きました(昨年の「光」から続いたということもありますし)。結果、文字で「望」を書くという作家さんも多かったです。また、望を含んだ「望月」、つまりは満月を描いたものも多い印象です。
御題にちなんで、というのは茶碗だけでなく和菓子などもよく作られるようですので、菓子職人のアイデア、表現も気になるところです。
いろいろ頭を使ってアイデア出して作っていただいた茶碗・置物も大部分が当店からお客様の手元にほぼ届いたようです。
年末に向けて、さらに忙しくなっていくという方もいらっしゃると思います。寒さが増していくようですが、あと少し風邪をひかないようにお互い乗り切りましょう!
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先週は名古屋城近くの(というより、城内?)ドルフィンズアリーナ(愛知県体育館)で開催中だった「やきものワールド」の話題でした。その時はまだ行っていないけど…という状態でした。で、翌日行ってきました。今週はその感想など。
9時のオープン前に到着したのですが、駅から会場へは多くの人の波が続いていました。まあ、名古屋城を訪れる観光客も多いということなんですが(外国人観光客も多い)、ちょっと驚きました。ドルフィンズアリーナにもすでに入り口に列が出来ていました。それがオープン直前にはかなりの長い列に伸びていました。
ドームで開催されていたころは毎年のように出かけていましたが、会場を替わってからは初めて行きました。ナゴヤドームは圧倒的な広さが印象的でした。特に観客席の上部から入場、高い位置から会場をまず眺めるという導線はインパクトあるものでした。その印象を持って入場すると、このドルフィンズアリーナの会場はずいぶんコンパクトになったという感じです。ただ、どこから見たらいいのか、ここ全体を見て回るのはどうしたらいいのか、困るくらいのナゴヤドームと比べると一店一店、一点一点、見て回るというにはちょうどいいように思いました。以前はやきもの関連以外のブースの展示も多くありましたが、会場の狭くなったおかげか整理され見やすくなったかもしれません。
展示ですが、相変わらず九州の産地の元気のいいのが印象的です。地元以外の産地では件数も多く、目立つ存在でした。ブースもまとまって大きな面積で展示していて、なかなか見ごたえがありました。
楽しみにしていたのは「瀬戸染付と磁祖民吉」の初期の瀬戸染付の展示でした。 ちょっと展示数が少ないというのが残念でした。しかし、民吉が九州修行から技術を伝える前の瀬戸の初期染付の展示は興味深かったです。色合いが何かパッとしない、未完成の試行錯誤の製品といったもの。それが民吉の活躍以降は一気にレベルが上がるというのがだれが見てもわかる、比較しやすい展示がされていました。返す返すももう少し資料の展示数が多ければ、さらにそれがわかりやすく思えました。そしてその中間に民吉の作品が(「伝」でも構わない)置かれたらよかったと……ただ、美術館などではない多数の人が行き交うような場所での展示となれば持ち出せる資料も限られてくるのは理解できますので、その条件の中ではいい展示だったと思います。
来年以降も楽しみにしています。
■やきものワールド
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今年は作家さんのスタートがのんびり気味で(毎年そうだけどね!)、とにかく少しでも早くお客様のお手元へと日々バタバタしています。で、今週の瀬戸だよりが夜になってしまったのです…というのは言い訳になりませんね。すいません。
先週書きました「B−1グランプリin明石」。瀬戸の「瀬戸焼そばアカデミー」が審査委員特別賞を受賞されました!!長年にわたり瀬戸焼そばを通して、瀬戸の魅力をアピール、発信してきた成果と思います!おめでとうございます!!お疲れさまでした!!
■瀬戸焼そばアカデミー
現在、名古屋のドルフィンズアリーナで「やきものワールド」が開催中です。数年前まではナゴヤドームを会場に開催されていたイベントが会場をドルフィンズアリーナに変更して開催となっています。ドルフィンズアリーナ?…という方も多そうですが、愛知県体育館です。ネーミングライツ制度でバスケットのB−リーグの名古屋ダイヤモンドドルフィンズな名前を冠した施設名となっています。愛知県は結構ネーミングライツで名称が変わっている施設が多いように感じます。施設だけでなく歩道橋まで企業の名前が付いていますね。
やきものワールドは11月28日スタートで12月4日まで開催されています。チケットも手元にあり(一般1000円の入場料です)、昨日も近くのお客様を訪ねたついでに寄ろうと思っていましたが、時間がなくまだ行けていません。行けてもいないのにこうして書いてしまうのは心苦しいのですが、開催期間の関係もあるので書いちゃいます。
ナゴヤドームほどの広さではないにしろ、それなりの大きさはある会場です。全
国の産地からの焼き物が一カ所で見ることが出来るというのはなかなかない機会です。その他も企画展示も数々あるようです。瀬戸からは磁祖・加藤民吉の功績を展示しているようです。初期の瀬戸染付の展示も含めて、気になる展示です。
ワークショップや各種企画展示もあり、陶磁器の好きな方なら一日いても飽きないかもしれません。明日、日曜日こそは時間を作ってのぞいて見たいと思っていますが、のんびり時間をかけてみているというわけにはいきそうにないのが残念です。
■やきものワールド
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個人が書いているメールマガジンですので、なかなか伝えたいことがある時ない時、皆さんの興味があるものないもの、時々によりいろいろですが、これからもよろしくお願いいたします。
年末が近づくにつれ、干支の置物や御題茶碗の時期になって来ています。サンプルが遅れている作家さんもまだまだいらっしゃって(もう!!)、思うように進まずイライラは毎年のことです。例年の干支は「子」、御題は「望」となっています。
諸事情から今週は織部の置物を当店の窯で焼いております。うちには小さな電気窯があります。その窯のメーカーさんの電気窯としては一番小型のものだったと思います。それでも自作の何かを焼くには丁度いいサイズではあります。たぶん趣味の陶芸の窯を欲しいという方にはちょうどいいくらいの大きさと思います。とは言っても今回のような量では回数を重ねて対応するしかなく、2日おきに4回の焼成(今4回目が740度を超えたあたりです)を行っています。何かにつれ、この小さな窯であっても助けられることしばしばです。
以前にも書いたことがありますが、織部は窯から出たそのまま完成とは行きません。窯出し直後の織部は表面に酸化被膜があり、光を当たると油膜のような輝きを見せています。それを除去する作業が必要となります。
昔からの(伝統的な)方法は栃シブを使う(うちも基本的にはこれです)やり方になります。栃のドングリを集めて、そのハカマの部分を水に浸けます。それで出来た真っ黒な水に織部の器などを浸けるわけです。夏場なら1晩から1昼夜というところでしょうか。この方法のメリットはシブが表面の貫入(釉薬のひび割れ)に入り込み独特の風情が出てきます。織部以外でも黄瀬戸や灰志野の貫入のシブ入れというのもこの栃渋で行います(もちろん墨を使ったりと他の方法もあるんでしょうが)。
他には塩酸を使う方法もあります。貫入にはシブは入りませんが、時間はかかりません。問題は塩酸の入手が簡単ではない、扱うのも危険、しっかりとした水洗いが必要など。最近は入手がなかなか大変とも聞きます。
さて、今週は織部の焼き上がりとともにその栃シブ作業を行っているのですが、冷え込むようになったこの季節では水温が低くなかなかその効果が上がってきません。窯元などではその対策で水中に投げ入れるようなヒーターを使ったりされているようです。うちにはヒーターなどはありません。では、お湯を入れて温かくするというのも、どんどん薄めていくことになりますのでそれも出来ません。塩酸ならその時その時でお湯で希釈することになりますので、調整できそうですが急いで入手するのも大変そうです。
そこでちょっと調べたら「クエン酸」というのが候補に上がってきました。クエン酸。食品にも使われるすっぱいやつです。口に入れられるくらいですので安全です。どこで買えるんだということですが、一番手軽なの百均です。ダイソーの掃除用洗剤のコーナー。酸性の洗剤としても使われるんですね。そこで売っているクエン酸一袋でバケツ2杯分くらいの温水(かなり熱い)に溶かして、織部を浸けてみました。効果十分、数時間で酸化被膜はとることが出来ました。まあ、外で作業していますのであっという間に水温は下がってしまうことを考えればもっと短時間でも大丈夫でしょう。栃シブと違い透明な液ですので、変化も観察しやすいとも言えます。
コストと安全性、そして何より手軽さを考えると、これからは栃シブとクエン酸の併用で織部の処理はいこうと思った次第です。
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子どもの頃は本当に寒かった、という記憶があります。温暖化の影響か…というよりも昔の服装が暖かくなかったということじゃないかと思います。フリースもダウンもなかった時代です。昨夜も結構冷え込んだように感じました。このお薬師さまが終わると、瀬戸の秋は一気に深まるように思います。
今日と明日は「ゆるり秋の窯めぐり」が開催中の瀬戸ですが、赤津も品野も水野も山に近いので色付き始めた山々も楽しめるんじゃないでしょうか。
その窯めぐりのコースにもなっている品野から赤津に向かう途中に紅葉の名所「岩屋堂」があります。今夜からその岩屋堂のライトアップが始まります(17日まで)。
川をせき止めた夏の「天然プール」で人気の岩屋堂ですが、紅葉が美しさでも有名です。夏のプールのように水をためた鳥原川にライトアップされた紅葉が鏡のように水面に映る様子はかなりの美しさです。各地でこの時期はライトアップは行われますが、周りが暗いのでより光がより魅力的に輝きます。
毎年恒例のこのイベントですが、とにかく込み合うという印象です。期間中は名鉄バスが名鉄尾張瀬戸駅から臨時運行されます(無料ではない)。また、土曜日曜は臨時駐車場(道の駅せと品野)からシャトルバスがでます(こちらは無料)。
自動車で直接岩屋堂までというのは、明るいうちに駐車場が満車、渋滞でやっと着いたら終了時間、ということもよく聞きますのでお勧めは出来ません。尾張瀬戸駅からのバスや道の駅からのシャトルバスの利用がいいように思います。と言っても、周辺道路は混みあいますので、時間に余裕をもってお出かけください。くれぐれも暖かい服装でお出かけください。
■瀬戸・まるっとミュージアム(もみじまつり情報もここで)
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昨日は瀬戸陶磁器卸商業協同組合でせともの祭の反省会があり参加してきました。2日間天気に恵まれ、計39万人の来場があったこと(昨年は29万人)、大きなトラブル・クレームもなく無事終了したことなどの報告がされました。
9月のせともの祭からずいぶん時間がたっているように感じるかもしれませんが、関係団体との意見交換や反省会などが行われたのち、最後に当組合での報告になりますのでこんな秋の深まった時期になります。
好天のおかげで昨年より売り上げが伸びた店舗が多かったと報告もありましたが、うちはそれほどでも……というのが正直なところでした。いろいろ改善点も残されたようですが、これで今年のせともの祭も(本当に)おしまいです。
せともの祭、招き猫まつりなど9月から続く瀬戸のイベントですが、来週は「ゆるり秋の窯めぐり」が9日土曜と10日日曜で行われます。これももう恒例の秋のイベントですね。
瀬戸には現在焼き物作りを行っている中心の地域がいくつかあります。赤津、品野、水野が代表的なところですが、その地域の窯元や作家さんが工房を公開しおもてなしをするというのがこのイベントです。赤津窯の里巡りは23軒、しなの工房めぐりは14軒、水野窯めぐりは7軒。全部回るのは多分無理じゃないかと思うほどの軒数です。窯元それぞれが工夫してそれぞれのおもてなしを準備しています。またそれぞれのエリアでスタンプラリーや体験などが用意されています。当日は尾張瀬戸駅から各会場を廻る無料の回遊バスが30分おきに走るようです。
まるっとミュージアムのホームページで詳細は確認できます。
■瀬戸市まるっとミュージアム
このイベント、普段なかなか行けない工房に気軽に入っていけるということで人気です。もちろんそこで作られる瀬戸焼もその場で購入できます(ここ大事です、特に窯元にとっては!)。通常の販売ルートには並ばないような、訪ねていったからこそ出会える逸品に出会えるかもですよ!!
徐々に色付き始めている岩屋堂(品野と赤津の間になります)などの紅葉を眺めながら、ウォーキングしながらの窯めぐり。おすすめの秋のイベントです!
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今週は瀬戸信用金庫アートギャラリーで開催中の「瀬戸市無形文化財保持者展」を見てきました。
瀬戸市では現在7名の作家さんが無形文化財保持者として指定されています。「陶芸 黄瀬戸」の加藤廉平氏、「陶芸 織部」の加藤錦三氏、「陶芸 灰釉」の田沼春二氏、「陶芸 色絵磁器」の林邦佳氏、「陶芸 御深井」の加藤唐三郎氏、「有線七宝」の柴田明氏、「陶芸 練り込み」の水野教雄氏。有線七宝を除けば、瀬戸の伝統的で代表的な技法(釉)となります。その7名の作品がギャラリーの展示室に並びます。
■瀬戸信用金庫アートギャラリー
http://www.setoshin.co.jp/gallery/
ひとりひとりの作品はよく見かけますが(瀬戸市内では)、こうして一同に並ぶと瀬戸の伝統的工芸の現在が見渡せる感じがします。それぞれが時間をかけてその技法を高めていった結果が無形文化財保持者という称号である…そう思いながら作品を見ると作品1点1点がより深く感じられます。
「伝統」という言葉には古くから変化のないイメージを持ちがちですが、伝統は技法であり、その表現やスタイルは現代の陶芸となります。「伝統は絶えず進化しながら残っていく」という話も聞きますが、まさに今回の展示を見て感じるのは伝統的な技術の現代の姿そのものです。逆に見れば、新しい感覚のデザインでありながら、技法は伝統を守りその質を高められたもの。比較的コンパクトな展示室でしたが(だからこそ)濃厚な展示でした。
それぞれが別々の作風の作家さんですが、
この企画展は11月24日までとなっています。
常設で「瀬戸信用金庫所蔵 北川民次展」も行われています。瀬戸信用金庫は長年北川民次の作品を毎年カレンダーにしており、作品に添えられた「カレンダーにした際の北川民次の残したコメント」も合わせて読むと興味深いものがありました。
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瀬戸市内は台風の被害はほとんどなかったようです。事前のニュースなどでいつもより警戒された人も多かったようです。ホームセンターではテープやロープなど補強に使用する資材は売り切れ、またスーパーやコンビニでもパンなどの食品は品薄になっていました。今回は思ったより雨風が強くならなかったというだけで、いつこの地方にも災害が降りかかるかはわかりません。普段から備えなければとあらためて思いました。
さあ、10月も半ばを過ぎました。仕事の上では干支置物や年末向けの御題茶碗の製作や出荷が徐々に始まります。
来年の干支は「子」。ねずみ年となります。新しい十二支の始まりの年です。作家物の干支置物をコレクションされていたり、年末の挨拶に配られているというお客様もこの機会に別の作家さんに切り替える、もしくは新しくスタートされるということもあるように思います。12年間はひとりの作家さんをコレクションされるという楽しみ方が干支にはあるようです。
もちろん、作家物ではない手頃な干支も用意しています。ある程度量産されているものになりますが、ここ数年の傾向としてはメーカーも数量を絞ってきているようで、意外なほど早く人気のものは売り切れとなることが多いようです。
そして、御題茶碗の御題は「望」となっています。御題茶碗は新春の宮中歌会始の題にちなんで製作される抹茶茶碗となりまます。普段の作家さんの茶碗の価格と比較するとお値打ちになったいます。またその年だけの製作になりますのでこれもコレクションされるお客様も多くいらっしゃいます。今年の御題「望」はかなり茶碗としては難題になりそうです。どんな茶碗になるかは…私も楽しみです。
干支置物、御題茶碗、興味のある方はぜひ当店までお問い合わせください。このメールマガジンに返信すると当店に届きます。よろしくお願いいたします。(まだ、サンプルも届いていないのですが)
]]>大きな被害が出る可能性も高いと、警戒するニュースが流され続けています。全国各地に大きな被害が出ないことを、心よりお祈りしています。
何度かこの「瀬戸だより」でも書いているのですが、日本は器を手に持って食事をする食文化を持っています。コップやカップを別にすれば、他国の食文化にはあまりない特徴です。同じ箸の文化圏である韓国は箸とスプーンを使うのが基本です。金属製の器もあり、手に持つには向きません。
日本での(日本食での)器選びというのは器の大きさやデザインだけでなく、持ち心地やバランスも重要になるのは間違いありません。器選びは見るだけでなく持ってみることも大切になります。
樹脂製や金属製の器というのはキャンプであったり、例えば給食のような場面に置いて、軽いことが良い、また扱いが雑でも割れないことが優先という場合には仕方ないとしても……やっぱり普段からの食事は陶器の器にこだわらなきゃ、と思っていました(仕事柄ね)。持ち心地とバランスです。
うちの母、87歳になりました。ここ数年はさすがに年老いてきたという印象です。認知機能も低下してきました。気が付くと食事の際に器を持たず、食べるようになってきました。食べにくそうに、器に顔を近づけ、俗に犬食いと言われるような姿勢に。時々は声をかけたり注意をしたりはしますが、直ることはありません。
ところが、先日ちょっと体調を崩して母が入院したんです。その時に食事しているのを見たら、ちゃんと器を持って美味しそうに食事をしてるんです。気付きました、普段の器は母にとって重すぎたんだと。病院の器は樹脂製の軽いもの。バランスとか持ち心地とかでやっぱり陶器で、と思っていた自分には驚きでした。当たり前ですがその人に合った器というのがいいんですね。
退院後は急ぎ買い揃えた軽い樹脂の器で日々母は食事と摂っています。もちろん器を持って(百均のものですが)。
なかなか普段気付かないことを(そして当たり前のことを)知ることが出来た一件でした。やっぱり器選びは「使う本人の」持ち心地やバランスが大切です。
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■「陶工・河井寛次郎展」愛知県陶磁美術館
https://www.pref.aichi.jp/touji/exhibition/2019/t_kanjiro/index.html
今回の展示は京都国立近代美術館所蔵の川勝コレクションによるものです。極々初期の作品から晩年の作品までを網羅するコレクションを年代順に並べられています。すごい量です。
河井寛次郎と言えば京都の作家、民藝運動に参加、器形技法も様々……特に晩年の作風が頭に浮かびます。しかし、今回の展示は民藝運動以前の中国の古陶磁に範をとっていた初期の作品にまず驚かされます。作品群の技術的な高さと幅の広さ、完成度の高さ。とても一人のまだ若い作家(陶工という言い方の方が正しいのか)が作り上げているとは想像すら出来ません。そして、大正から昭和への時代の変わり目とともに民藝の作風へと変化していく様も年代順に並べられた展示はそれをわかりやすく見せてくれます。
ベースになる技術があってのその後の作風の展開。晩年に向かい自由になっていく、個性が研ぎ澄まされていくようです。どんどん器形や表現方法が自由になっていきます。それも偶然たどり着いた器形ではなく、計算と工夫が繰り返された必然としてたどり着いたものであることは、原形を元に作成された型を使った作品が多いことでもわかります。とにかくすごい、で最後まで一気に見た展示でした。
今月20日までという展示期間。あとわずかですが見て損はない企画展でした。
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■来る福招き猫まつり(チラシ)
http://www.seto-marutto.info/wp-content/uploads/2019/08/1d894bdf97681e7ea41b9b2b85efec74.pdf
せともの祭が終わったら行こうと思っていた展示がありました。「瀬戸現代美術展2019」(10月14日まで)。
■瀬戸現代美術展2019(Facebookページ)
https://www.facebook.com/setogendaibijutsu2019/?ref=page_internal
現代美術の展示です。陶芸の分野ではありません。
瀬戸と言えば、どうしてもせともの(陶芸)となりますが、実は陶芸に限らず様々な分野の活動をされている作家はいます。もともと陶芸という芸術はすそ野の広い芸術です。絵付の作業を考えれば、日本画や水墨画の素養が必要になります。デザインを考える上でデッサンは必要になります。立体物を考えるのは彫刻などの表現に通じていきます。箱書きをしようと思えば書道も必要になります。かつてはそのような勉強会・研究会が自発的に多くあったように思います(今も続いているかな)。また、最近では陶芸を志す人たちの中には別の美術の分野からスタートされた方も多数います。そして、ものづくりの街の空気に多くのアーチストが活動されています。陶芸だけでなく様々な芸術が瀬戸には息づいているのです(これは間違いない)。
時々、こうした現代美術の展示も行われています。今回の会場は「旧産業技術総合研究所中部センター瀬戸サイト」となっています。難しそうな会場です。もともとは通産省の名古屋工業技術試験所瀬戸分室であり(組織改編のため何度も名称などは変更されている)、陶磁器の技術開発やデザインなど研究試作する施設でした。2012年に閉所、瀬戸市に譲渡されています。今回はこの建物が会場です。
県立瀬戸窯業高校の南側にあります。中心市街地です。私が瀬戸窯業高校の専攻科に通っていたころはその入り口は毎日のように見ていました。が、国の施設の「試験場」は特に行く用もなく、「そこにあるのは知っているけど馴染みのない施設」でした。閉所もすぐ横の道は通るものの、ただただ静かな場所となっていました。今回、初めて足を踏み入れたことになります。
現代美術の作品はそれぞれの作家さんひとりひとりの部屋にわかれた展示になっています。一部屋が作家さんのインスタレーションの空間になっているわけです。油彩の香りのする部屋、明るい中に彫刻、絵画の展示、暗い中のプロジェクター映写……それぞれの個性的な作品は見ごたえありました。基本的に試験場時代の部屋そのままですので、水道や換気扇、配電盤などがあり、元の資料室、実験室、暗室などその雰囲気を残しています。その部屋の個性と作家の個性の混在が面白く感じました。今まで感じていた「知っているけど馴染みのない施設」は今はとてもユニークな場所であった(場所になった)ようです。
この施設は瀬戸市の所有になって、まだ活用法は未定のように聞きます。こうした展示スペース(個別の部屋を複数のギャラリー)の集合体など無限の利用法を想像して楽しくなってきました。この空間の今後も含めて、見ておくべき展示でした。
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今年のせともの祭の2日間は天候に恵まれ、特に土曜日は涼しい一日になったため朝から多くの人出がありました。もう夜の花火の時間には、こんなに人がいるのは「昔のせともの祭みたい」と思わず言うくらいの賑わいでした。
「瀬戸だより」でも書きましたが、今年は地元瀬戸信用金庫さんの呼びかけもあり、会場でのキャッシュレス決済が話題になっていました。当店もその準備をしてお祭りに臨みました。2日間で16件のキャッシュレス決済がありました。周辺の出店者にちょっと聞いて比較すると、多かったように思います。駅前でクーポンの配布もあった効果で、実際にそのクーポンを使っての決済も多くありました。何かと話題のキャッシュレスですが、今後はこうしたイベントでも利用が普通に行われるようになる…そんな流れも感じました。
キャッシュレスで決済したお客様が土曜日の早い時間にいらっしゃいました。その様子を知った地元テレビ局がキャッシュレスの取材ということで、ずいぶん長く当店の横で待機していました。次のキャッシュレス決済の客様にインタビュー出来るまで2時間半…無事にインタビューは出来ていましたが、粘り強い記者の取材姿勢に心打たれた気分でした。
お客様の数自体は例年よりはるかに多かったのは間違いありません。売上というと、まあ例年並み。細かなお買い物をされるお客様が多かったという印象です。それでも、お値打ちに(普段使いに)使える抹茶茶碗を多く用意しましたが、興味を示されるお客様が多く、実際普段からお抹茶を楽しむと言われる方がずいぶん増えているように感じました。
さて、せともの祭が終わってホッとしたのも束の間、来週末は「来る福招き猫まつりin瀬戸」が開催されます。当店は参加しませんので、純粋に楽しむ側に回ります。
■「来る福招き猫まつりin瀬戸」
http://www.seto-marutto.info/wp-content/uploads/2019/08/1d894bdf97681e7ea41b9b2b85efec74.pdf
人気の猫メイクは毎年多くの人が並びます。整理券も必要なところもあるようですので、メイク希望の方はお早めにメイク会場に行かれたほうが良いようです。
せともの祭が終わると、季節が変わる気がしますが、今年は確実に秋にスイッチが替わったようです。季節の替わり目、体調管理にもお気をつけください。
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■せともの祭
http://www.setocci.or.jp/setomonomatsuri/
毎年のことですが、余裕を持って準備しようとお盆の頃には思っているんです。でも結局、直前までバタバタで前日の搬入を迎える……。それどころか遅く遅くの搬入になって、全てを終えると日付がかわってしまっていることも。今回は多少早くに搬入を済ませましたので、明日の朝は例年の寝ぼけ顔はいくらか解消されていると思います。
昨年は2日間とも雨が降ったりと天候がはっきりせず、低調なせともの祭ですが今年は天候の心配はなく、そこまでの残暑酷暑にはならないようなので(暑さに関する感覚はここ数年変わってきていますが)絶好のお祭り日和となるのを期待しています。
地元の瀬戸信用金庫さんがORIGAMIPayを勧めていまして、会場では300円分のクーポンを配ってくれたり、それを使える廉売市や商店街の店がわかるマップも配布するようです。もちろん当店でも対応していますので、ぜひご利用ください。会場に出かける前に、まずはORIGAMIPayをスマホにインストールしてください(あ、当店はPayPayも使えます)。……というものの、うちは(たぶん他の多くのお店でも)実際お客様とキャッシュレス決済を行うのは初めてですので、あまり段取り良くとは行かないかもです。
とにかくせともの祭の2日間、廉売市の会場の駅前、パルティせと南側(川沿い)で皆さんにお会いできるのを楽しみに待っています!よろしくおねがいします!!
せともの祭が終わると、2週間後には「来る福招き猫まつりin瀬戸」がやってきます。合わせてお楽しみください!
■「来る福招き猫まつりin瀬戸」
http://www.seto-marutto.info/wp-content/uploads/2019/08/1d894bdf97681e7ea41b9b2b85efec74.pdf
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準備が進んでいるのか、進んでいないのか。間に合うのか、間に合わないのか。とにかくこの一週間はがんばるしかありません!!
今週はついに川沿い(会場)に看板が設置されました。駅前のパルティせと1階にはせともの人形も飾られました。これは菊人形の職人さんが菊で着物を表現するのではなく、湯呑などの蓋(陶器)の着物を着せた人形です。毎年、NHKの大河ドラマの題材に合わせて作られているのですが、実は今回はそれとは関係なく「藤娘」が飾られています。これは「いだてん」の視聴率がいまいちという理由でもなく、毎回人形の顔が俳優・女優に似ていないということでもなく、「舞台が昭和で着物を着ていない」というのが理由のようです。藤娘。なかなかいい出来と思いますよ!
■せともの祭
http://www.setocci.or.jp/setomonomatsuri/
今週の地元中日新聞の記事に「祭りの露店もキャッシュレス オリガミペイと瀬戸信連携」というものがありました。廉売市の出店170店のうち24店でオリガミペイで支払いができるとのことです。結構画期的です。せともの祭も支払いがスマートフォンをかざして「ピッ」(どんな音がなるのか知らないけど)って支払いが出来てしまうんですよ。瀬戸信用金庫さんがずいぶん頑張ってあちこち回ったようです。もちろん当店にもお誘いがあり、うちも「使える24店」の中の一つです!
さらに駅前パルティせとにある観光案内所と会場内の瀬戸信用金庫の支店では1200名に300円分のオリガミペイのクーポンをアプリに入れていただけるという大盤振る舞い!もちろんすぐ廉売市で使えます!当店の出店場所はその観光案内所の真ん前、てくてく30歩ほど(くらいだ)。もうここまで言えばおわかりですね!
オリガミペイはやってないけど、という方でも当店は今回からペイペイ(PayPay)にも対応しています。こっちのほうが普及率は高いと思います。ぜひぜひご利用を!!
キャッシュレス決済。今年のせともの祭のポイントになりそうです。
■「祭りの露店もキャッシュレス オリガミペイと瀬戸信連携」中日新聞
https://chuplus.jp/paper/article/detail.php?comment_id=676473&comment_sub_id=0&category_id=115
たぶん来週はせともの祭当日で、その次はせともの祭の反省のような「瀬戸だより」になると思います。その次の週は「来る福招き猫まつり」の日になりますので、早めにその話題もちょっと……と言いたいところですが、もうすでにせともの祭前から、猫関係の展示が始まっています。「瀬戸だより」でも書きました瀬戸市美術館の「平成から令和へ 日本招き猫大賞の20年」(9月29日まで)もやってますし「猫のポット展」も瀬戸蔵ミュージアムで始まりました(11月17日まで)。せともの祭と言いながらももう猫モードに入りつつありますね。
というわけで、当店も猫テーマの器を仕入れてきたり作ってみたり……猫好きの皆さん、ぜひご来店ください!
■「来る福招き猫まつりin瀬戸」
http://www.seto-marutto.info/wp-content/uploads/2019/08/1d894bdf97681e7ea41b9b2b85efec74.pdf
■「平成から令和へ 日本招き猫大賞の20年」瀬戸市美術館
http://www.seto-cul.jp/information/index.php?s=1561976394
■「猫のポット展」瀬戸蔵ミュージアム
http://www.seto-cul.jp/information/index.php?s=1567571128
繰り返しになりますがせともの祭は来週末14日・15日、当店の廉売市はパルティせと前(観光案内所前)の瀬戸川沿いです。昨年同様、廉売市会場からフェイスブックページにその様子などを出来る限りアップします。なかなかアップされない時は「よほど忙しい」と、やたらアップされる時は「ヒマなんだな」と思ってください。下記のフェイスブックページ、よろしくお願いいたします。
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今週は瀬戸市美術館で六古窯の特別展と同時に開催中の「平成から令和へ 日本招き猫大賞の20年」(9月29日まで)についてです。
■平成から令和へ 日本招き猫大賞の20年(瀬戸市美術館)
http://www.seto-cul.jp/information/index.php?s=1561976394
9月の「来る福 招き猫まつり」(今年は28日と29日の土日)で「にっぽん招き猫100人展」の大賞作家18名の代表作・新作を展示しています。
招き猫好き、猫好きの方というのは本当に多いといつも招き猫まつりを見て感じています。今回の展示も毎年招き猫まつりに来ているというファンの方から見ると、「あ〜あのときの作品だ」であったり、毎年見る馴染みの作家さんだったりだと思います。10年ひと昔なんて言いますが、20年続いているなかなか歴史ある「にっぽん招き猫100人展」になってきたことにも気が付きます。
この「にっぽん招き猫100人展」の大賞は入場者の投票によって決まるという方法をとっています(民主的な大賞です)。つまり100人展の展示中はまだ大賞は決まっていない、わからない状態です。後日、投票した人はその発表を目にし、「やっぱりこの作品はよかったもん」「そうか!この方をみんな選んだんだ」やら「えー!どうしてあの作品が大賞じゃないの?」とか「あれ?こんな作品あったけ?(見落としか、忘れです)」など、それぞれが再び作品の展示を思い出して楽しむこともできます。そういう20年をあらためて思い出しつつ、ながめる展示です。もちろん招き猫まつりは見たことがないけどという方であっても十分に楽しめることは保証できます。
「招き猫」という一つのテーマに沿っているものの、そこには様々な招き猫の解釈があり、作品として表現されています。リアルなもの、漫画やイラストが立体的になったようなもの。大きなもの、小さなもの。でもそこは招き猫、元気で景気いいことは共通しているように思います。
せともの祭の2週間後が(これは毎年変わらない)、「来る福招き猫まつりin瀬戸」。大きなイベントの続く9月の瀬戸です。この瀬戸市美術館の「日本招き猫大賞の20年」展は招き猫まつりの日まで続いていますし、今日から11月(17日)まで瀬戸蔵ミュージアムでは「猫のポット」展も始まります(ポスターの猫のポットはちょっとこわい…)。このあたりの展示はせともの祭、招き猫まつりとセットで楽しめますね。
例年はせともの祭が終わってじょじょに猫に染まっていく瀬戸ですが、今年は早くも猫まっしぐらな瀬戸のようです。
■「来る福招き猫まつりin瀬戸」(チラシ)
http://www.seto-marutto.info/wp-content/uploads/2019/08/1d894bdf97681e7ea41b9b2b85efec74.pdf
■猫のポット展(瀬戸蔵ミュージアム)
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瀬戸市美術館では現在特別展「日本六古窯を辿る」が開催中です(9月29日まで)。
■瀬戸市美術館「日本六古窯を辿る」
http://www.seto-cul.jp/information/index.php?s=1561975586
瀬戸を含む「六古窯」という地域がまとめて日本遺産に認定されてから、この六古窯という言葉をよく聞くようになって来ました。
■旅する、千年、六古窯
上記のホームページにもある通り、六古窯という言葉は古陶磁の研究家・小山冨士夫氏が「中世から現在まで生産が続く6つの産地(越前・瀬戸・常滑・信楽・丹波・備前)」の総称として名付けたものです。戦後すぐのことであったようですが、その後の調査でそれ以外にも鎌倉以前からの歴史を持つ産地があることがわかり、「代表的な6つの産地」のようになっています。
ここからは個人的な感想や想像が入りますので、意見の異なる方もいらっしゃると思います。何か違和感をいつも感じます。それは瀬戸以外の産地が鉄分を多く含んだ茶色っぽい土であることに対して、瀬戸は白い土で、さらに磁器までも生産している点、自然灰ではなく、施釉を古くから特徴にする点など。今回の展示を見てもなんとなくと言うか、あきらかに瀬戸だけ異質な感じがします。古くからの6つの産地という括りであるから仕方ないという見方もできます。しかし、戦後他の産地も「古窯」と呼ぶべき発見がなされても、追加されずにそのままの括りできているのもなんとなく……であります。
勝手な見方ですが、九州の磁器の産地(戦国時代に九州から技術が伝わる)、益子などの民芸で注目された産地(大正の終わり、昭和の初めから民芸活動)との線引として「六古窯」があるように感じます。そこには自らが愛し研究した、小山冨士夫氏の古陶磁(の産地)に対する愛があったのではないかと思えてくるのです(勝手な想像ですが)。
今回の展示、展示の点数自体は多くはありません(2階部分で別の展示「平成から令和へ 日本招き猫大賞の20年」があるため1階のみの展示)。ただ、6つの産地のそれぞれの特徴を示す展示には十分なっています。印象ですが、観覧者が普段より古陶磁に興味がある方が多いようで、グループで細かな意見を交わしながら熱心に見ている方がとても目に付きました。6つの違った産地ですが似通った壺などは細かに見ればそれぞれの特徴が比較できます。確かに興味のある方におすすめの特別展です。
2階で同時展示の「平成から令和へ 日本招き猫大賞の20年」(感想は来週書きます)も同じく9月29日まで(招き猫まつりの日だ!!)。
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暑いですがせともの祭に向けての準備もぼちぼち始めています。
当店のオリジナルの何かというのも毎年店に並べています。その製作のため釉薬を買ってきました。
釉薬というのは、陶磁器の表面をコーティングしているガラス質のもの(というのは説明の必要もないですが)。器を丈夫にし、美しくしてくれます。
瀬戸の場合は自然の草木の灰をベースにして長石などの成分、鉄や銅などの発色のための金属成分などで調合しています(実にざっくりした説明ですが)。それぞれの作家さん、窯元がオリジナルの調合によるそれぞれの釉薬を持っています。瀬戸のような土に発色成分のない産地では、釉薬はより発達し、色とりどりな釉薬はその特徴となっています。
調合はかつては経験的にコントロールされていましたが、現在はゼーゲル式を使って科学的に調製することが多いように思います。原料の化学分析表を元に、化学式を用いて調合していくやり方です。元になるゼーゲル式とテストピースがあれば、釉薬がいつもと違った変化を見せたときにも容易に対応が可能です。また、普段使っている原料が入手できなくなっても、他の原料で置き換えもやりやすいなどメリットがたくさんあります。オリジナルの釉薬を使いたいという時には、計算やテストピース作りは面倒ですが、ゼーゲル式で釉薬を調合していったほうが確実と思います。
とは言うものの、もっと手軽にという方には調合済みの釉薬を作ってくれる釉薬屋さんもあります。陶芸教室など趣味で陶芸をされている方なら、調合済みの釉薬を買ったことのある方もいると思います。陶芸教室にポリタンクなどに入れられ完成品として届けられた釉薬を見たこともあるでしょう。
量産を行う窯元などは安定した釉薬を大量に必要としますので、その場合でもこうした釉薬屋さんの助けというのは欠かせないものです。昔と比べると釉薬屋というのも減っては来ましたが、こうした(例えば粘土などの原料屋さんや型屋さんなど)陶芸を下支えする職業が身近にあるというのは瀬戸の強みと思います。
当店も本来はここの原料の調合から釉薬を作ってみたいとは思うのですが、時間もないので(いいわけだ)釉薬屋さんに出来合いの釉薬を注文してきました。多くの種類の釉薬を扱っていますので、テストピースを見て注文したり、自分の釉薬の希望を相談したり(例えば織部と一言に言っても透明感などいろいろな違いがあるので)して注文できるようです。しかしながら、釉薬は焼成条件によっても発色など変化しますし、土の性質でも焼き上がりは変わってきます。つくり手としては当然ですが自家調合しないとしても、それなりの釉薬の知識はあるべきと思います(以前に買ってきた釉薬同士を適当に混ぜるのを「調合」と言った人に会った時は驚きました)。
今はネットの陶芸材料ショップを利用して、織部、黄瀬戸など出来合いの釉薬が簡単に注文ができてしまいます。しかし、具体的にどんな織部が欲しいとかこんな釉薬はないかなどプロの要望にも応えられるのはやはりプロの知識と経験を持った釉薬屋さんになるのでしょう。実にありがたい存在です。
今年のせともの祭は9月14日土曜と15日日曜です!廉売市は名鉄瀬戸線尾張瀬戸駅下車で駅前になります。多くのご来場をお持ちしています!!
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今年のせともの祭は9月14日と15日の土日。ほぼ1ヶ月先。
準備は進んでいるか、と言われると……まだまだこれからと答えるしかない状態です。
今週はせともの祭廉売市の出店場所の抽選会がありました。そのお手伝いもしてきました。
午前中、受付に座ってやってくる出店者を迎えていましたが、市外からの出店割合が今年も増えてきているという印象でした。瀬戸の業者や窯元が中心だったのが数年前から他産地からの出店もオープンになってきました。
瀬戸以外の出店者が多いと聞くと「じゃあ、せともの祭じゃないじゃん」とちゃちゃを入れてくる方もいますが、何回か前の「瀬戸だより」でも書きましたが、瀬戸以外でも瀬戸の作るせとものに憧れ、それを目指して各地で「せともの」を作っていたことを考えれば、そんなにおかしなことでもないと思います。せとものという言葉はイコール「やきもの」であり、普段やきものを自然とせとものと読んでいることと同じです。
まあ、ややこしいことはややこしいですので、最近は地域ブランドとして「瀬戸焼」とし、メイド・イン・瀬戸を区別するようになっています。
見ていると、結構遠くからの出店者もあり「ちゃんと元が取れるのか」「赤字になっていないか」と心配していましたが、さほど出店が減らないところを見るとそれなりに仕事になっているのでしょう。
もっとも、単に商品を売るという面だけではなく、個人で活動されている方にはギャラリーなどで作品を発表するのとは桁違いの人の目に(数万人!)作品が触れるわけで、この先の作家活動や仕事にも広がりを与えるきっかけも十分期待できますね。
正規の出店は「揃いの赤い店名ののれん」や「販売した商品に貼る店名シール」などが義務付けられていますので、お祭りでお買い物の際は気をつけて確認してみてください。何か商品に問題があったり、後々追加で商品が必要になった時には連絡を取れますので安心です。抽選会で新規の参加者には新しいのれんを渡すのですが、その数が例年より多く感じられました。
せともの祭の抽選会のお手伝いというのは、個人的にはとても楽しいものです。専攻科時代の仲間や最近では会う機会が少ない方々にお会いできる機会でもあるからです。時間があれば近況報告をしたり、「どのあたりが当たった?」とか話をしたり。なかなか景気ということでは厳しい業界です。そんな環境で仕事を変わったりしていく仲間も多い中、頑張っている姿を見るのは勇気づけられる部分もあります。
で、今年の当店の出店場所は?ということです。すでにフェイスブックではお知らせしましたが、駅前のパルティせと南側(瀬戸川沿い)正面あたりになりました。
これからの1ヶ月、準備をしながら「瀬戸だより」にも情報など書いていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします!(下記フェイスブックページも要チェックです!)
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瀬戸市の人口は13万人……と、人に聞かれると長年答えてきましたが、最近は緩やかな減少が続き7月1日付では129,504人(瀬戸市ホームページ)となっているようです。市内各所で新しい宅地が造成され、新しい家がたくさん建っているのですが、それ以上に旧市街(中心部)の人口減少が進んでいるように感じます。瀬戸に隣接している長久手市が住宅地として人気であるのに比較してちょっとさみしくもあります。
ここ数年、市も新しく瀬戸で暮らすファミリーを獲得すべくプロモーション活動を続けています。先日も新しいパンフレットが市の施設に置かれていました。
そういった時に瀬戸の魅力として紹介されている点は(1)名古屋の中心部(栄)まで名鉄瀬戸線なら30分ほど、愛知環状鉄道で豊田市や春日井市方面にもアクセス良好。自動車でも各方面の高速道路にも接続しやすい。(2)豊かな自然に囲まれている。(3)ものづくりの伝統がある。そして何より(4)地価が名古屋市内や近隣の市と比べて安い。ということです。
地価に関しても(瀬戸市のパンフレットによると)名古屋市内の市街地が177,900円なのに瀬戸市内市街地は56,500円とかなり格安(平均価格 1平方メートルあたり)。中古住宅も探せば工房付など陶芸やその他の製作活動を行いやすい物件も多いようです(この点は瀬戸は強いです)。中心部から離れると車が必要な部分もありますが、逆に駐車場は複数台分も確保しやすいように思います。
自然豊かでゆとりがある住環境ということで、子育て家族に市は特にアピールしているようです。ただ、来年開校予定で5つの小学校と2つの中学校を統合し新しい小中一貫の公立校が準備中です。魅力的な学校になるようですが、学区が広く通学距離が長めだったりと、実際開校してみないとわからないところもあり該当学区は期待しつつも要チェックかもしれません。
瀬戸に住む魅力。間違いなく絶対と言えるのは「陶芸をやるには最高の環境」です!空き工房も探しやすく、各種材料や施設器具の入手、陶芸関連の教育機関や施設など充実……この点は間違いないと思います。
■瀬戸で住もまい!
上記は瀬戸市が用意している瀬戸に住んでいただくためのサイト。「住もまい!」は瀬戸の言葉で「住みましょう!」。引っ越しや家の購入を考えていらっしゃる方、瀬戸も候補に入れてみてはいかがでしょう?
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瀬戸市新世紀工芸館で「DESINE-The Respective Thought-」という企画展が開催中です。吉田守孝さん、田上知之介さんという2人のデザイナーの活動を展示しています。と言っても、共同でなにかの活動をされているというわけではなく、「歩んできた道のりも仕事へのアプローチも違っていますが(新工芸館解説)」ということです。
吉田さんは石川県出身で、金沢美術工芸大学卒、柳工業デザイン研究会に入所、柳宗理に師事。退所後はヨシタ手工業デザイン室設立。家庭用品を中心にデザイン活動を展開されているデザイナー。
田上さんは熊本県出身、愛知県立芸術大学陶磁専攻卒業。筑波大学大学院芸術先行プロダクトデザイン領域終了。以後、製陶会社でデザインに携わり、その後瀬戸に工房開設(〜2009年)など。現在は愛知県立芸術大学准教授。
それぞれが別々の活動をされているのですが「『手で考える』ということをデザイン思考の主軸にしている(新工芸館解説)」点で共通しているとのことです。
先日、ラジオ(地元のコミュニティFM)を聞いていたところ、この展示についての紹介がされていました。6月末に行われた作家によるキャラリートークが普段のギャラリートークの倍近く人が集まったような話を聞き、ちょっと興味が持ちました。確かにモノだけでなく話を聞いてみたくなる内容でした。
それぞれの作品が区別されることなく展示室に並べられています。基本的にとてもシンプルで使いやすそうな作品が多く、その共通点のせいか(特に器が並ぶ2階の展示部分は)解説プレートで作家を見てはどちらの作品かを確認しながらの鑑賞でした。しかし、比べてみると田上さんのデザインは器という分野のデザインを比較するとより陶磁器デザインのベースに立たれているように感じます。吉田さんは下の展示室から続くプロダクトデザインに共通する流れを器にも感じます。違うのは当たり前なのですが、2人を比較することによりそれぞれの個性が際立って見えてきます。「DESINE-The Respective Thought-」というタイトル、日本語では「デザインーそれぞれの思考ー」とされていますが、まさにタイトル通りの意図が伝わってくる企画展です。
デザインにおいてシンプルであることは強い力であり、ごまかしが効かない厳しいものであると思います。そのデザインが生まれる過程が展示から見えてきて見ごたえがありました。一つ一つが身近にある小さなものが多いので、手にとって触れてみたい衝動に駆られます。触らないようにという注意のプレートがそれを押し止めるのですが、触れたときにはもっと深い作家の意図が必ず見えてくるように思います。(いつも同じようなことを言っていますが)ああ、触りたい!!
学生時代、資格課程で博物館学なるものを学んでいたのですが「資料は1つで見るより別なものと並べて比較することでより深く理解が出来る」と教えられたのを思い出しました。この新世紀工芸館はよく別々な作家を複数(たいていは2人)並べ比較する企画展が多いように感じます。そういう比較により作家性を明らかにしようという意図を感じ、見る際も違いとか共通する部分をより意識していつも見ています。
「DESINE-The Respective Thought-」は9月23日まで瀬戸市新世紀工芸館で。入場は無料です。
]]>今週予定されていた「せともの祭の準備作業」も天候不良で延期になりました。来週また会場を実測して、出店場所を確定する作業を行います。せともの祭は9月14日土曜と15日日曜(9月第二土日)……カレンダー上では最も遅いパターンのせともの祭日程です。つまりはあと2ヶ月を切りました!!さあ、本格的に準備を始めなければ!!
「せともの」という言葉は文字通り「せとのもの」という意味ですが、一般的には陶器(焼き物)全体を示す言葉として使われています。このあたりの「せともの」という言葉のややこしさがあるようです。
今のせともの祭の「せともの」も後者の焼き物全体を示す意の「せともの」となっています。瀬戸の業者や窯元などの出店が中心になっていますが、他産地からの出店も増えています。逆に美濃や他産地の同じような焼き物のお祭り・イベントにも瀬戸から出店される方も少なくありませんので、まあ相互乗り入れが行われているわけです。
ここで問題になるのが、純粋に前者の意味、つまりは「せともの=メイド・イン・瀬戸」ととらえていらっしゃる方からすれば、せともの祭で瀬戸以外の産地のものが並べられているのは「???」となるのも理解できます。ややこしいです、実に。焼き物一般を表すせとものと瀬戸のものを表すせともの…両方正解なだけに、ややこしい。そのややこしさを解消するために瀬戸は地域ブランドとして「瀬戸焼」を使っています。これは間違うことなく「瀬戸焼=メイド・イン・瀬戸」となります。
せっかく瀬戸のせともの祭に行くのだからメイド・イン・瀬戸のものを買いたいという方は廉売市で「これは瀬戸焼ですか?」と確認することもいいと思います。当店は廉売市で瀬戸以外のものも並べますが、瀬戸のものは分かりやすく区別できるようにはしようと思っております。
現在の焼き物全体を「せともの」呼ぶのはどうしてか?というのは概ね瀬戸で作られて出荷された焼き物が質がよく全国的に産地名とともに広がったということと思われています。(ここからは私個人の「多分そういうことだろう」を多く含んだ話になります。違う点もあるかもです)
鎌倉時代に瀬戸でそれまで日本では作られていなかった施釉陶器が作られ始めます。もちろんそれは中国の影響もあった(技術的に)と思います。日本国内でも中国から距離のある内陸の瀬戸の地に他の地域を超えて技術が伝わったというのはちょっと謎を感じます。加藤景正(藤四郎)の陶祖伝説では全国を巡った後に瀬戸の地で理想の土に出会ったという事になっています。
ともかく当時は瀬戸が施釉陶器を産み出す最先端の技術を持つ産地だったことは間違いありません。そこから出荷される焼き物は珍重され他の今までの焼き物とは区別され「せともの」と呼ばれて行くようになります。たぶん、ここまでは「せともの=メイド・イン・瀬戸」のみのせとものです。
すると次に何が起こるだろうか?せとものを手にした各地の有力者(この時代に大名とか殿さまとかいう呼び方が正しいかはわかりませんが)は「うちの国(土地)でもせとものを作りたい」となるでしょう。職人を瀬戸に修行に出す、瀬戸から職人をスカウトする、ということが行われたに違いありません。江戸時代に瀬戸から九州に磁器の製法を伝えた加藤民吉のように瀬戸から各地方に施釉
陶器の技術は広まっていったのでしょう。「うちの国でもせとものが作れるようになった!!」「うちの村からもせとものを売り出していける!!」という段階になり。瀬戸という一点から出荷されていた「せともの」は多くの産地から「せともの」の名のもとに一気に広がったと考えます。「◯◯せともの」という地域の名前をつけたせとものの名称があったというのをなにかの折に読んだ記憶があ
ります(出典がよくわからないのでごめんなさい)。ここにおいて瀬戸を離れて「せともの=一般的な焼き物全体」になったのではないかと想像します。古くから施釉陶器を焼いている産地というのは、瀬戸からの影響を受けている(直接か間接か、その大小は違えど)ことは間違いないように思いますがどうでしょう?
瀬戸から始まった多彩な「せともの(焼き物)文化」の広がりと現在を楽しむのがせともの祭じゃないかと思います。そしてそこでメイド・イン・瀬戸である瀬戸焼の品物も手にとっていただければと思います(さらにそこがうちの店ならなお嬉しい!!)。
ぜひ、今年の9月14日土曜と15日日曜のカレンダーに印を付けていただき、2ヶ月後廉売市会場でお会いできればと思います!!
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瀬戸は暑い街です。とてもとても暑いです、夏は。この地方で夏の暑さと言えば、毎年記録的な暑さを記録する岐阜県の多治見市となりますが、県境を挟んですぐ隣となります。多治見にはアメダスの観測所があり、瀬戸にはありません。正式な比較ができないだけで差はない、日によっては負けていない気さえします。瀬戸にも観測所を置いてほしいといつも思います。ものすごく暑い思いをしているのに、記録が残っていないのはちょっと……いや、かなり悔しい。
という瀬戸ですが、市立の小中学校の教室には冷房がありません(職員室にはありますが)。暑い暑い中で授業は行われています。今年度中の冷房の設置を目指していましたが、夏には間に合わなかったようです。まだ体が暑さに慣れていない今の時期が体力的にはきつい、という判断もあり、今年は全校一斉に夏休みを1週間早くスタートすることに決めたようです。早めたということでその終わりは1週間早くなり8月の終わりには2学期がスタートします。
なかなかの英断だったと思います。しかし、今年の7月は梅雨空の下とても涼しいわけで……こればかりは予想しようもありませんね。ともかく子どもたちは夏休みスタートです。まあ、高校などは通常通りの日程で夏休みなので、小中学生と高校生がいる家庭では夏休みが都合1週間長いわけで、長い夏休みがさらに長く感じられるかもしれませんね。
来週は岩屋堂も近い品野地区では恒例の品野祇園祭も行われます(20日夜)。そろそろ梅雨明けのニュースが西から聞こえて来るようです。梅雨明けになれば岩屋堂の天然プールもまた賑やかになるでしょうね。瀬戸の(暑い)夏もいよいよ本番です。
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「練り込み」という技法をご存知でしょうか?最近は注目されることも多く、目にする機会も増えているように感じます。
器の表面に筆で文様を描くのではなく、土そのものに顔料を混ぜ込み発色させています。様々な顔料を土に混ぜ込むことで多彩な色合いを出し、それを組み合わせることで模様を作り出します。中国では唐の時代には始まっていますので技法自体はとても歴史のあるものです。わかりやすく説明するには「金太郎飴」に例えることが多いようです。金太郎飴のように着色された土を組み合わせ模様をつくり、棒状のそのパーツをたくさん合わせて塊りにしそれを板状に切り出し(たたら)、それを使い器を形成する……というのが(本当に簡単に説明すると)練り込みの技法です。
最初は数色の色を混ぜ合わせマーブルの様な文様が始まりと思います。現代ではより細かな精密な文様、ポップな文様に進化しているようです。
この練り込み技法、実に手間のかかる作業です。土に色を着ける…表面上に絵を描くわけではないので、表面に見えない部分にも顔料が必要です。通常よりはるかに多い量で顔料が必要になります。顔料の価格の高いものはそれ相当に費用も掛かります。土を組み合わせる…土と土の接着面が増えるということは、その部分の接着がきちんとされず隙間ができると(わずかでも)水漏れが起きます。模様が細かくなればなるほどそういうリスクも増えます。さらには土の組み合わせで文様を作る過程、器の形に成形する過程で、せっかくの繊細な文様が崩れやすい、また器自体の形もゆがみやすくなるので細心の注意が必要です。
とにかく手間と技術が必要とされる技法です。それだけに価格も高くなりがちです。しかし、通常の(筆での絵付など表面的な装飾)とは違った独特な味わいがあります。製作過程が複雑な分、作家ごとの個性が出やすいのでその点も鑑賞する楽しみではないかと思いますよ。
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寒い日が続いていますが、瀬戸の街は今日からちょっとだけ春になっています。
恒例の「第18回 陶のまち瀬戸のお雛めぐり」が今日からスタート(2月2日 〜 3月3日)しました。毎年の行事ですが、瀬戸中が雛で飾られる1カ月。春が近づくのが感じられるイベントです。
雛めぐりの中心になる瀬戸蔵にはシンボルともなる「ひなミッド」が飾られています。高さ4メートルでの4面のピラミッド型巨大ひな壇・ひなミッドには1000点もの陶磁器・ガラスの創作雛が飾られています。今朝、見てきたのですがすでに多くのお客さんが写真に撮ったり眺めたりとひなミッドを囲んでいました。
期間中は市内で様々なイベントや展示が行われていますし、飲食店では雛めぐり特別メニューも用意されています。一足先に春を感じられるイベントです。
瀬戸蔵ミュージアムで行われているで企画展「建物のキオク −瓦・タイル・テラコッタ−」が行われています……と言っても、明日2月3日までが期間です。いつもこんな紹介パターンですいません。
瀬戸は陶磁器の産地、様々な器が生産されていますが、瓦やタイルなども作られていました。建物を飾る様々なパーツもせとものが使われています。市内でもそれらは見られます。今も深川神社の屋根は美しい織部の細やかな細工のされたものですし、赤津の雲興寺の本堂の大屋根は釉薬の施されたモザイクのような美しいものです。今回の展示では、今は失われた建物のパーツが展示されています。鬼瓦などは(特に磁器製の瑠璃釉鳳凰鬼瓦などは)それ自体が美術品として通用するほどの美しさです。
普段は(もしそれを見つけても)建物の一部としてなんとなく見逃してしまいがちなんものですが、こうして展示されると「これも瀬戸の美術工芸品」と再発見できます。(明日までの展示というのが…すいません)。
同じ瀬戸蔵ミュージアム内で別の展示「ガラス乾板で写された昔の瀬戸の風景」も行われています。こちらの会期は4月21日までですので十分時間はあります!
大正から昭和初期に撮影されたものになります。当時の瀬戸の街、建物はもちろん、人々の生活や陶磁器作りの現場など興味深い画像がいっぱいです。働く人の息遣いや当時の空気まで感じられるようです。作品の一点一点のコメントもわかりやすいし、手前に置かれた関連資料(個人的には磁器製の当時の現像タンクなども見入ってしまいました)も展示に深みを与えています。
「建物のキオク」の展示を楽しみに見に行ったのですが、この写真展は思わぬ拾い物でした。瀬戸を知っている人は懐かしさが、知らない人でも当時の瀬戸の賑わいや職人仕事のことが伝わると思います。第1回目のせともの祭の様子など貴重な資料もありますよ。
ぜひ、このまま写真集とかにまとめてくれないかなあ、簡単なものでもいいから。それだけの価値ある写真です。